マキコミの技術
ネットでは「ギブ&テイク」よりも「ギブ&ギブ」 | マキコミの技術 #4

見返りを求めずに与え続け、情報の発信を続けていく「ギブ&ギブ」が、大切になります
マキコミの技術

ブログ、ツイッターの達人が説くネットマーケティング
達人としてソーシャルメディアの最前線で活躍を続けるコグレマサト氏といしたにまさき氏が説く、ソーシャルメディア・マーケティングの指南書。

※この記事は、書籍 『マキコミの技術』 の内容の一部を、Web担の読者向けに特別に公開しているものです。
今回は、第3章 “つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神” のなかから、“ネットでは「ギブ&テイク」よりも「ギブ&ギブ」” の内容をお届けします。

「ギブ&テイク」は、今のネットではうまく行かない

人になにかを提供してなにかを得る、「ギブ&テイク」の考えかたは、シンプルでわかりやすいものです。しかしソーシャルメディアでは、少し考えかたを変える必要がありそうです。少し前なら「相互リンク」、ツイッターなら「相互フォロー」が、「ギブ&テイク」のひとつの典型です。しかし、そのような、義理や形式的な付き合いで作られたルートを流れる情報の価値があまり高くないことは、ネットで活動を継続している人なら、誰もが気付いてしまっています。

また、第一章でも「下心は見透かされる」と述べましたが、情報を出す代わりになにかを得ようと考えても、たいていはうまくいかないものです。これは、ブログブーム以降特に強くなっていると感じる経験則です。考えかたとしては「ギブ&テイク」ですぐに回収しようとするのではなく、見返りを求めずに与え続け、情報の発信を続けていく「ギブ&ギブ」が、大切になります。

どちらの考えかたにもとづいてブログの記事を書いても、内容にさほど大きな違いはないかもしれません。しかし「テイク」に意識がありすぎると、例えば商品のレビュー記事ならば、最後の結論が「ここで買えます」のように購入を強く推しすぎてしまったり、欠点について寛容になりすぎてしまったりと、微妙な差が生まれがちです。そして、その微妙な差によって、読者は「もっと安い店を探してみよう」とか「他の記事も読んでから考えよう」などと思うようになります。

ネットではすべての記録が残りますから、この微妙な差も蓄積され、だんだん大きな差として見えるようになります。一方、「ギブ&ギブ」の精神で活動を続けた記録もすべて残ります。すると、見ている人はきちんと見てくれているもので、困ったときに誰かが手を差し伸べてくれたり、この人のアフィリエイト広告経由で買い物をしようと考えてくれたりして、いつかは自分のところに返ってくるものです。

広いネットの中では「ペイ・フォワード」で

「ギブ&ギブ」の精神は、言い替えれば「情けは人のためならず」ということでしょうか。行為でも、情報でも、誰かになにかを与えるということは、その相手のためになるだけではなくて、めぐりめぐって自分にも返ってくるものです。

だから、与えるときに見返りをセットで考える必要はありません。特に広いネットの中では、想像もつかないところから、ある日見返りに相当するものがやってくることがあります。

英語で言えば「ペイ・フォワード(Pay it Forward)」となり、「次の人に報酬を渡そう」といった意味合いになります。これは同名の映画があります。映画「ペイ・フォワード」は、受けた恩を施してくれた相手に直接返すのではなく、別の誰かに対して、そのときの自分ができること(また、得意なこと)をすることで返す、その誰かはまた別の誰かに……という運動によって社会をよくしていこう、という考えかたがテーマになっている作品です。

ギブし続けたものが、いつか返ってくる

ネットでのつながりというものは、性善説と言ってよいかもしれませんが、ほとんどがお互いの良心にもとづいて、よかれと思って協力し合っていくものではないでしょうか。簡単な例で言えば、知り合いがわからないことで困っていたら一緒に調べてあげる、友人が主催するイベントの告知を手伝う、というようなことです。

少なくとも、ぼくが見ている範囲では、そうした小さな「ギブ」の積み重ねが、ネットの黎明期から続いています。もちろん中には「利用してやろう」という気持ちで近づいてくる人もいないではありませんが、自然とそうした狙いでのつながりは、途切れていくものです。「ギブ&ギブ」の気持ちで付き合っているからこそ、よい友情関係のようなつながりが継続していくのではないでしょうか。

メールマガジン時代の、読者から友人になった人たちのことを考えても、ブログになってから知り合った人たちのことを考えてみても、そうです。企業でも同様で、以降で詳しく紹介しますが、豚組やサントリーの取り組みも、その場の損得で考えれば、ユーザーの要求に付き合うことは割に合わないことだったかもしれません。しかし、長い時間をかけてめぐりめぐったものが、今は返ってきているようです。

ぼく自身の経験で「ギブ&ギブ」の最たるものだと思っているのが、Jリーグ「浦和レッズ」の専門誌「浦和レッズマガジン」で連載をすることになったことです。

もともと地元ということもあり、シーズンチケットで年間のホームゲームはすべて観戦するほど浦和レッズは好きなのですが、ネタフルでも開設当初から観戦レポートを書きつづるなどしてきました。また、トークイベントがあれば会場に馳せ参じ、頼まれてもいないのにツイートし、まとめ記事をブログに書くなどもしていました。スタジアムからのツイートで中継をしたことも、何度もあります。基本的には、スタジアムなどの現場に来られない人に少しでも情報を届けて、役に立ててもらったり、一緒に楽しんだりできれば、という気持ちからでした。

そのようにしていたら浦和レッズマガジン編集部の人の目に留めていただいたらしく、連載のオファーをいただきました。一サポーターでしかないぼくにですから、正直なところかなり驚きました。嬉しさもありましたが、それよりも驚きのほうがはるかに大きかったのです。

まさか、自分が浦和レッズに関連するメディアで原稿を書く日が来るとは、これっぽっちも想像したことはなかったのですから。「なんで?」と聞かれても、結果的にそうなった、としか説明することができません。ただ、ひたすら情報を出し続けることで目に留めていただくことになった、ということは言えます。

もう一つ、同じく地元の話になりますが、よく地元の気に入っている飲食店——「和浦酒場(日本酒がおいしい)」や「ブラット(半熟うずらベーコン巻が最高)」のことをツイートしたりブログで書いたりしています。

それを読んでくれた人が浦和に興味を持ち、「浦和に行ってみたい」と言ってくれたり、都内からも実際に足を運んだりしてくれるようになりました。そうした「浦和詣で」はこの一年で何度も経験し、ぼくは案内をしたり、一緒に参加させてもらったりしています。

地元が注目を集めることで、町おこしにも一役買えているかなと思います。ぼくにビジネス的な意味での見返りがあるわけではありませんが、浦和に皆が来てくれることは誇らしくもありますし、地元で一緒に楽しめることは、嬉しいことです。[コグレマサト]

(イベントは終了しました)マキコミセミナー3/28開催

『マキコミの技術』の筆者2人が登壇するセミナー「ソーシャルメディア時代に見直すブログ術 &一歩踏み出すマキコミ術」が3月28日(月)にお茶の水で開催されます(参加無料)。

詳しい情報&申し込み → http://fansfans.jp/campaigns/detail/303

マキコミの技術
  • マキコミの技術
  • コグレマサト・いしたにまさき 著
  • ISBNコード:
    978-4-8443-2958-9
  • 定価:本体1,500円+税
  • 電子書籍版:1,050円(税込)
  • インプレス

この記事は、書籍『マキコミの技術』の内容の一部を、Web担の読者向けにオンラインで特別に公開しているものです。

ブログ、ツイッターの達人が説く
ネットマーケティング

2007年3月に「クチコミの技術(日経BP)」を出版し、ブログやツイッターの達人としてソーシャルメディアの最前線で活躍を続ける2人の著者が説く、ソーシャルメディア・マーケティングの指南書。

ツイッターの流行などによってネットとリアル(現実社会)が近づいた現在、ネット上でのコミュニケーションが、リアルでの行動にもダイレクトに影響を及ぼすようになっています。そうした時代に、企業とユーザーが「巻き込み」「巻き込まれ」てよい関係を築くための技術について、著者の経験を元に解説。

「マーケティング」「ブランディング」の枠に留まらない、ネット活動の総合的な指南書です。

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