Web担当者たるもの、かくあるべし 「Web担道」秘伝の書

競合とガチで戦うか、一点突破でニッチを狙うか

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競合とガチで戦うか、一点突破でニッチを狙うか

あなたの今の状況は、完全ではないにしろ、自社サイトでアピールすべき商品・サービスを深く理解して、そのユーザーとなるであろうターゲットのことも理解し、さらに競合がどういう動きをしているかを理解した段階だろう。基本の”型”はできつつある。次は、Web戦略をどう組み立てていくか、を解説していこう。

「後発なので奇抜な方向で行ってみようと思います」
後発であることはメリットでもありデメリットでもある。奇抜さを狙うことも一つの戦略だが、それ以前に、自社のサービス・商品を知り、ユーザを把握し、きちんと先発の競合他社サイトを研究することが必要だ

(1)後発なら、同じ土俵で戦ってはいけない
~バズワードに惑わされるな~

ここまでの段階で、流行りもののWebサービスや、自社とはまったく関係ないビジネスモデルの書籍などは読まなくてかまわない。なぜなら、中途半端な戦術やすでにでき上がっているWebサイトのビジネスモデルの知識は、あなたを迷わせる可能性があるからだ。

さらに、サイト集客のためにSEO、SEM、メディア出稿の必要性を聞かされることもあるだろう。しかし、自社サイトに少ない予算で効果的に集客しなければならない状況、後発で競合もいる状況であれば、それらの施策が正しいか、一回疑ったほうがよい。周りがやっているから、自社でもやるべき、という施策では、競合に勝てないどころか、Webサイトのプロジェクト自体が消滅しかねない。

後発で戦うなら、競合と同じ土俵で戦ってはいけない。あなたが考えるべきことは2つ。1つは、効果的な集客ができる「勝ちパターンの集客元」を1つでも良いから見つけること。2つ目は、その“勝ちパターン”を積み重ね、最適な獲得単価を見つけ、獲得数を確実に増やすことだ。

後発で戦い、同じ土俵で戦ったがために失敗した施策例

フランチャイジー(特約店)を集めたい企業Aは、後発ながらも競合他社と同様に、FCに興味が高い人が訪れるWeb広告媒体に広告を出稿した。想定通り、資料請求や問い合わせ、説明会への参加申し込みは一定数以上あった。しかし、その後、実際にフランチャイジー契約した方の情報経路を追跡調査したところ、先述のWeb広告媒体経由のフランチャイジー契約者は、ほぼゼロだったという。

では、契約者の情報経路はどこからだったかというと、90%以上が自社Webサイトへのダイレクトアクセス、または企業Aの社名検索でアクセスしてきた人たちだった。もちろん、広告で認知したが、広告をクリックせずに社名検索やダイレクトアクセスするというケースもあるだろう。しかし、数字は正直だ。

ここでの教訓は、「競合がたくさんいる場で戦うと勝率は下がる。アクセス数やリード指数だけで判断すると危険」ということだ。

(2)外部パートナーは必要か? その選別のポイントと役割分担

では、どうすれば最適な集客方法が見つかるのか。まずは、社内でかつてWebサイト立ち上げを行った先輩がいれば、その人に聞くのが一番だ。もしいなければ、外部のパートナー(広告代理店やWebコンサルタント、制作会社など)に聞こう。やはり、餅は餅屋。コンペ形式で数社から提案を受ければよい。

ただし、ここで1つ注意すべきは、Webで何をするかを外部パートナーに預けてはいけないことだ。丸投げはダメ。あくまでWebサイトで何をやるかを決めるのは、あなたの会社だ。あなたが立ち上げるWebサイトのゴール、そして扱う商品・サービス、対象とするユーザーについて、あなたが決めて、外部パートナーへしっかり伝えなければならない。外部パートナーも人の子だ。情熱的に自社製品やサービスについて語るあなたから話を聞けば、あなたを助けたい、となる。外部パートナーからリスペクトされるようなWebサイト担当者であるべきだ。

コンペ形式で、外部パートナーを選ぶ際に、どんなところを見て選別すればよいか。おそらく、一般的な外部パートナーであれば、提案内容自体に大きな差はないかもしれない。プレゼンを受けるときも、論理的に考えると納得できる話が多いだろう。迷ったときは、あなたの最初の原点に戻ればよいのだ。

TIPSサイト制作はどの制作会社に発注する?

サイトの制作をどこに発注するか。予算が少ない中で、制作費でほとんど予算を使ってしまったら、サイト集客に予算を使えない。ポイントは、なるべくシガラミがない会社で、豊富な実積を持っていることだ。規模の大小は関係ない。2~3人でやっているWeb制作会社でも優秀なところはある。具体的な探し方としては、検索してもいいし、Web担当者Forumで見つけてもよい。いくつかのサイトを見れば、今のあなたなら、ここ良さそう、という会社を数社は見つけられるはずだ。

(3)ターゲットに刺さる「モノ」を、刺さる「場所」に送り込む

成功事例を1つ紹介しよう。環境関連のサービスを提供する企業Bは、そのサービスを年間で契約してくれる個人ユーザーを探していた。サービスの特性上、ガンガン広告を出して売り込むということもできないし、広告予算自体が少ない。

そこで施策として、広告出稿先を複数のジャンルに分け、各ジャンルにまた微妙に属性が異なるメディアサイトに、広く薄く出稿した。そのなかから“勝ちパターンの集客元”であるメディアCを見つけることができた。メディアCは、語学関連の情報メディアサイトで、他の広告出稿先に比べ、圧倒的にCPA(この場合では、サービスを年間契約してくれるユーザーを獲得する)が良かったのだ。メディア運営者に直接ヒアリングを行うと、メディアCのユーザーは、F1層が多く、学習意欲・自己啓発意欲が高く、さらに一般的なF1層に比べ真面目な方が多い、ということがわかった。企業Bへ当初提案されたターゲットは、環境に意識が高く、比較的富裕層で、年齢的にも30代中盤から50代の男女を想定していたが、あえて広く薄く広告出稿したことで、見えなかったターゲットが浮き彫りになった。企業Bは、当然、追加予算を投入し、さらに契約数を伸ばしている。

ここでの教訓は「比較検討ではなく、自社だけを見てくれる土俵を探す!」「自社の商品・サービスを改めて見つめ直すこと」。ターゲットに刺さるモノ(コンテンツやクリエイティブ)を、刺さる場所(メディア)に送り込む、これがきっちりハマっているかどうかで、“打ち手”の手法、精度が変わるという点だ。

◇◇◇

次回は、少ない予算に対して、どう対応していくべきか、を説明しよう。

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