【レポート】根拠のないサイトリニューアルはNG、第4回エンゲージメントセミナー

ビジネスの成果にアクセス解析はどのように貢献できるのか、セミナーの様子を伝える

1月18日、NECビッグローブ主催、ロフトワークとNECが共催する第4回Webエンゲージメントセミナー「Web・ソーシャル戦略をビジネス成果につなげるアクセス解析」が開催された。ビジネスの成果にアクセス解析はどのように貢献できるのか、講演の様子を伝える。

※この記事は、ロフトワークに掲載されたレポートをWeb担当者Forum向けに編集して掲載しているものです。ロフトワークのレポートでは、講演資料のダウンロードが可能です。

ビジネス成果を最大限にするWeb戦略

株式会社ロフトワーク
代表取締役社長
諏訪 光洋氏

セミナーの第1部は、「ビジネス成果を最大限にするWEB戦略」をテーマにロフトワーク代表取締役社長の諏訪氏が登壇。諏訪氏は、シリーズを通したテーマのエンゲージメントについて簡単に振り返ったうえで、「そもそもWebは発展のスピードが速いのに、そこに戦略は必要なのか?」という疑問を会場に投げかけた。3年前にはNo.1を誇っていたSNS「MySpace」はいまや見る影もなく、現在好調のFacebookも3年後にどうなっているのか誰にもわからない。これまで「SEOを効かせたプロモーションサイト(ランディングページ)をつくり、SEMにもお金を払い、Flashでブランドを訴求するということに比重を置いてきた企業のWeb戦略は、大きく変化しつつある」と指摘した。

こうしたWeb戦略の変化の理由は、プラットフォームの多様化にあると諏訪氏は話す。「2010年に登場したiPadや人気のiPhoneではFlashが使用できないため、2010年のFlash Promotionは非常に下火になりました。象徴的な例がトヨタのブランドサイトで、トップページにはFlashが使われていません」。多様なモバイルデバイスの成長スピードはPCの普及よりも速く、ガートナーレポートによると2013年までに全世界を通じ、携帯電話がPCに変わってインターネットアクセスの最も一般的なデバイスになると、データを示しながら説明する諏訪氏は、2012年までにFacebookがソーシャルネットワークの統合とWebのソーシャル化のハブの役割を担うと分析。これからのMarketing3.0の時代には対話と行動を通じて信頼を得、目的を共有し、より良い関係を構築するエンゲージメントこそが重要になるという考えを示した。

エンゲージメントというとTwitterやFacebookなど直接ユーザーと交流することと思われがちですが、これはエンゲージメント全体のごく一部でしかありません。たとえば、コーポレートサイトのアクセス解析からもユーザーの声を拾い上げることは可能です」と話す諏訪氏は、一過性の施策で終わるのではなく、これらを複合的にエンゲージメントサイクルとしてとらえ、PDCAをまわすことが重要だと指摘して講演を終えた。

リニューアル計画に必須のアクセス解析

NECビッグローブ株式会社
ビジネスサービス事業部 部長
山本 隆範氏

第2部に登壇したのは、NECビッグローブの山本隆範氏。まず山本氏は、先日、NECビッグローブの顧客300社程の担当者にアクセス解析についてアンケートを取ったところ、「十分やっていますよ」と答えられたのはわずか15%程度だったことを伝えた。理由として「時間や予算、人員の不足や思ったような効果が上げられなかったから」という声があったと話す山本氏は、「PDCAを回せていないとわかっていても、できていないのが実態。しかし、できているところとそうじゃないところでWebビジネスに格差が広がっている」と指摘。また、最新のトレンドは大事な話なのでキャッチアップするのも大事だが、まずはアクセス解析を前提としたサイトリニューアルを進めるべきだと語った。

では、Webサイトのリニューアルで考えるべきこととは何か。山本氏は、リニューアルで考えるべきこととして次を挙げた。

Webサイトのリニューアルで考えるべきこと
  • アクセス解析は必須項目に
    • Before/Afterでのアクセス解析を実施
    • 提案依頼書(RFP)にはアクセス解析のプランを入れる
  • 提案検討時の注意
    • 提案の検討時にはリニューアルの効果測定やアクセス解析のことを考えていないものや、分析結果をふまえず凝ったデザイン案を持ってくる提案には要注意
    • 誰のためのデザインなのか考える。企業サイトはデザインありきではない

また、山本氏はアクセス解析ツールの導入について「アクセス解析ツールには有料・無料ともに多種多様なものが揃っています。なかでもGoogle Analyticsは無料でよく使われていますが、それなりにリスクはあるということは理解するべきです」と話し、アクセス解析ツールは比較検討するために継続して利用できなければならず、無料ツールを利用している場合は、ある日突然仕様が変わったりするリスクも考えておく必要があるとした。それぞれのサイトの特性に合わせたり、複数を併用する案も提示された。

さらに、データの収集方法はすべてがデジタルではないことを指摘。アンケートやインタビュー、展示会やセミナー来場者からのリアル活動での接触も重要で、それにWebサイト解析を加えるべきだという考えを示した。

NECビッグローブでは、分析サービスとして2010年にリリースしたASPサービス「WebMil」のほか、企業側から提供してもらったデータからレポートを作成する「WebMilレポート」などでアクセス解析をサポート。そのほか、実際に行ったアクセス解析をもとにしたリニューアルの事例を挙げ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンからは担当者も来場し、効果についてのビフォアーとアフターが生の声で語られた。

最後に山本氏はアクセス解析を活用し、成功するための5カ条が提案された。

アクセス解析活用 成功の5カ条
  1. アクセス解析を抜きにしてWebサイトリニューアルを語るべからず
  2. 面倒くさいことはアウトソースすべし
  3. 解析サイクルを決めておくべし
  4. サイトに合ったKPIを実施すべし
  5. 継続は力なり

楽天経済圏を支えるアクセス解析

楽天株式会社
編成部アクセス解析・最適化推進チーム
清水 誠氏

最後に登壇したのは、楽天株式会社の清水誠氏。清水氏はネット企業である楽天のアクセス解析の取り組みについてその立ち上げから説明した。いまでは楽天、と検索するとアクセス解析というキーワードが次の候補になるほど、同社のアクセス解析の実績は注目されている。

楽天グループは13年前(1997年)に創業、当初は楽天市場というEコマースだけだったが、吸収合併や事業の立ち上げによって、現在では同社が抱えるサービスの数は約40まで拡大。そうしたなか、清水氏がアクセス解析の全社導入にあたり行ったのが、新たに全事業部にわたって権限を持つ編成部アクセス解析・最適化推進チームを結成したことだ。

アクセス解析・最適化推進チームを結成

チーム結成によってアクセス解析の導入に関する契約と権限を一元化し、各事業部がアクセス解析のための予算を確保する必要や、個別にアクセス解析を発注・契約する手間による時間のロスをなくした。そのうえで、まだ導入していないサービスへの導入のサポート、データを活用したレポートの作成、使ったデータを活用してもらうための講習会といった社内啓蒙活動などを推進してきたという。

アクセス解析は効果測定のために使うことが多いですが、編成部という制作側の部門が主幹となって進めたことで、開発したプログラムの費用対効果を測ることなども対象にできるというメリットもあります」と話す清水氏は、楽天が成功に至った3つの要素を紹介した。

楽天経済圏内の循環を効果測定
根拠のない変更はしない。A/Bテストで効果を検証
  • Marketing
    • 楽天経済圏内がきちんと循環しているかどうかを効果測定
    • 経済圏のなかでユーザーシナリオを考えて検証する
    • クロスユースの取り組みによるグループ内での回遊強化
  • Technology
    • 検索機能のROI
    • 貢献度、費用対効果の測定機能
  • UserExperience
    • 常に実験、常に改善。しかし根拠のない変更はしない
    • トップページの要素もA/Bテストで効果を検証して確定
    • それぞれのサービスでのPDCA強化

また、データなしで主観的に判断すると誤る可能性が高くなることを指摘し、きちんと仮説を立てて、指標を明確にしたうえで改善していくことがポイントだと実例を交えて解説した。

では、なぜ楽天のアクセス解析は成功したのか? 清水氏は振り返ってみると、元々楽天がWeb企業であったことが大きく、複数の事業部のものをまとめて行ったため、単価が下がったこと、アクセス解析ツール提供会社からも大口の顧客として手厚いサポートを得られたことなどを挙げた。

これを楽天ほどの大企業ではない、小・中規模の企業ではどのように真似ればよいのだろうか。清水氏は最後に、企業のアクセス解析導入のポイントを紹介し、講演を終えた。

  1. 社内で多くの人の役に立つ
    • 個人のゴール達成は企業のゴール達成にもつながる
    • 非マーケティング部門もサポートする
    • 現場の負荷を減らす
      レポートを自動化して制作の手間を減らす
  2. わかることより知りたいことを
    • 結果をKPI、そして要因に分解していく
  3. 改善サイクルは長期と短期が必要
    • 小さい改善ばかりではなく、大きい改善を行う
      小さい最適を数多く行うと疲弊してしまう
    • 解析の粒度を変える

全セッション終了後に行われたトークセッションでは、楽天の清水氏に対してほかの登壇者からの感嘆の声が続出。事前にとったアンケートのなかでは、「今やっていることが正しいかどうかわからない」などの声があったが、それに対し清水氏は「アクセス解析イニシアチブなどコミュニティや団体が勉強会や交流会をやっているので、同じ立場の解析担当の方たちと話をして、ヒントを得たりしてみては。まだ開拓中の新しい分野なのでお互いに話すことでレベルアップしていく」と語った。

第5回セミナー「トリプルメディア時代のWeb戦略」2月15日開催

全5回のWebエンゲージメントセミナーの最終回、第5回Webエンゲージメントセミナー「トリプルメディア時代のWeb戦略」が2月15日に東京で開催される。NECビッグローブ、NEC、ロフトワークらが、トリプルメディア、トリプルスクリーン時代における企業の最適なWebマーケティングを考えるセミナーの詳細はこちら

第5回Webエンゲージメントセミナー概要

  • 日時:2月15日(火)14:00~16:45(受付:13:30~)
  • 場所:ゲートシティ大崎 ウエストタワー 地下1階 ルームD(東京都品川区大崎一丁目11-1)
  • 参加費:無料
  • 定員:100名
  • 主催:NECビッグローブ株式会社
  • 共催:株式会社ロフトワーク、NEC
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