注目企業のネットビジネス戦略
月間億単位の広告をチェック、リスティング広告のスパムや不正クリックと戦うYahoo! JAPANの裏側

ヤフーが取り組む、リスティング広告の品質を高めるための審査や不正監視について聞いた

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noスパム広告 no不正クリック

ヤフーでは、2002年にリスティング広告のサービスを開始してから現在まで、不適切な広告が配信されたり、広告主の利益が損なわれたりしないように、広告審査や不正クリックの監視活動などを行っている。

これまで、同社では表立って広告の審査体制や不正行為への対策などは公表してこなかったが、リスティング広告のクオリティ向上に向けた活動を紹介するWebサイト「Yahoo!リスティング広告 クオリティセンター」を一般公開した。いわゆる広告クリエイティブに関する情報ではなく、掲載する広告と広告掲載面のクオリティ向上に向けた活動を紹介しているのが特徴だ。

ヤフーが取り組む、リスティング広告の品質を高めるための審査や不正監視の活動について、また、クオリティセンターを公開した目的や目指すところについて、クオリティセンターの担当であるヤフー株式会社 広告本部 リスティング企画部 部長の水上智臣氏に伺った。

クオリティセンターの目的については、記事の最後を参照ください。

リスティング広告の普及とともに、スパム広告も増加

●編集部 昔と比べ、広告主の数はかなり増えたと思いますが、広告の審査体制はどうなっているのでしょうか。

ヤフー株式会社
広告本部 リスティング企画部
部長
水上智臣氏

●水上 今と比べると昔のリスティング広告はシンプルだったのですが、最近はいろいろなシステムが入ってきて複雑になってきています。いわゆる広告の不正クリックですとか、あまりユーザーにお届けしたくないような広告や商品も増えてきていて、弊社ではそれを管理して、広告主や提携パートナー(広告掲載サイト)、広告を見てくれるユーザー、利害関係者にとって有害なものをモニタリングする活動をしています。

おかげさまで、いろいろなお客様に使っていただけるのは嬉しいことですが、リスティング広告の穴を狙ってくる人は相当数いてですね……。たとえば、リスティング広告は夜中でもアカウントを開設して広告出稿を始められます。これは、正しく使っていただければ、明日急にセールをしたいといったときにも広告を出せて、すばらしいことだと思います。ただし、審査の手薄な時間帯を狙って変な商品を売ろうとか、詐欺を働こうという人たちがいるのも事実です。野放しにしているわけでなく、夜中でも監視をしているのですが、システムのすきまや、弊社のアルゴリズムやルールが追いついていないところを狙って出稿を繰り返してきます。いろいろな技術でそういった人の特定はしているものの、他の広告原稿と比べて対面でやり取りをしているわけではなく、さらに今は入稿サポートツールもでまわり、低コストで入稿管理ができるようになったため、こうした人たちは増えてきています。

●編集部 どんな広告も必ずどこかで人の目を通るのでしょうか。

●水上 広告されている商品やサービスの内容など、すべてを人の目では見ているわけではありません。では、一部しか見ていないのかといわれるのですが、キーワードもタイトルも説明文もURLも全部システムのチェックを通るので、そこでリスクに関するフラグが立ったものを優先的に人の目で見ます。掲載前に見るものもありますし、掲載後に見るものもあります。また、フラグが立ったものだけを見ているわけではなく、今だと今日ニュースで話題になったもの、昨日今日で急に検索数が増えたものなどといった基準で審査すべき広告主や広告を抽出して見ています。

では優先度の低い広告はどういったものかというと、システムがまったくもって何のリスクもないと判定したものなどがそれに該当し、ニュースで話題になったり検索数が急増したりと、特定の条件を満たさない限りは、それほど重点的には見ません。システムの判断で、ほとんどリスクの要素がないと思われる広告も優先度は低くなります。他にも掲載順位などを加味して審査の優先度を調整しています。たとえば、今だと人気のキーワードには250社ぐらいが入札しているのですが、掲載順位で250位の広告は何十ページもめくらないと人目に触れることはありませんので、それよりももっと上位に表示される広告から優先して人を投入しています。

広告のリスクにはいろいろな見方があります。景品表示法や薬事法などの触法的なものもあれば、公序良俗に反するものもあります。また、一部には行政のルール作りが追いついていない領域もあると考えており、何らかの法律に反するわけでなくとも、公序良俗に反するものはチェックしています。たとえば、先日「別れさせ屋」という、弊社で工作系と呼んでいる広告の掲載を止めました。今はまだ掲載している競合やネット広告は多いと思うのですが、社会的な影響があるようなものは自主的に判断して止めるようにしています。いろんな切り口から審査と監視を行い、チューニングしているのです。

半年間の専門トレーニングに合格した担当者が審査する

●編集部 審査をしている専任の担当者というのはどういった人なのでしょうか。

●水上 弊社のなかで「デビュー」と呼んでいるのですが、実際に入稿されてきたものをその人の裁量で審査するまでに半年ぐらいかけます。半年間でなにをやっているかというと、専門知識を身につけるトレーニングをしています。いろいろな見方で広告を審査するので、ツールを覚えるだけでも大変なのですが、そちらよりも、薬事法だったり景品表示法だったり、あとは一般的な広告ルールを覚えることにトレーニングの時間を割いています。

審査の一例をあげると、薬事法などはインターネット広告と親和性がよくありません。たとえば、化粧品には広告表現として使える効能・効果の範囲というものが決められていて、一般的には“しわ”を消すとは書けない。ただ、消すとは書いていないのですが、ランディングページの動画で“しわ”が消えるような表現をしていて、これはどうやって判断すべきかといった判例が、8年ぐらいやっていると数多くたまってきます。個々の事例を東京都の薬事課に問い合わせたり、厚生労働省の通達を確認したりというふうにして収集・整理していて、これらを審査担当者に1つひとつ教えており、優秀な人は半年ぐらいでトレーニングを終えてデビューしています。

PCとモバイルでは基本的なガイドラインは同じですから、どちらの審査業務もできるようにトレーニングします。1つ違うのは、モバイルはすべて実機で審査していることです。弊社としては、なるべくユーザーと同じ環境で広告を審査したいと思っていて、PCも何種類かのブラウザを用意しています。

具体的にはいえないのですが、3桁ぐらいの人で審査をしていて、これだけの人を育てるとコストも手間もかかるのですが、こういった人たちが弊社の広告品質を担保しています。

●編集部 新しいビジネスモデルには判例がない場合がほとんどですが、その場合の判断は。

●水上 担当者にはいくつかレイヤーがあって、不正に強い人、薬事法に強い人、さらにスーパーバイザー級の人たちがいるので、その人たちが各審査をしている人からの意見や出稿を取りまとめて、そのうえで、どうやって審査して掲載を止めるかというのを協議しています。本当に判断に迷うようなものがあると、弊社の法務を通じて厚生労働省や所轄官庁に確認をしてもらうことをしています。

また、新しいビジネスモデルに関して不明な部分が多いからといって、即座にそのビジネスモデル自体を掲載禁止にしてしまうようなことはありません。まず苦情やトラブルなどがないか、もしあればその内容はどういったものかなどを吟味したうえで、掲載されている個々の広告主の広告内容を精査します。どういった基準でどんなパターンなら掲載を止めるべきなのか、審査ポイントをどこにおくか、トラブルの原因となりうるのはどういう部分なのかといったことを毎週の会議で審査担当者と協議しています。

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