企業のためのソーシャルメディア・マーケティング入門
7つのソーシャルメディアと連携! シックス・アパートの生中継イベント事例(最終回)

Twitter以外のソーシャルメディア活用について、シックス・アパートの事例をもとに説明
企業のためのソーシャルメディア・マーケティング入門

このコーナーでは、企業がどのような方針でソーシャルメディア・マーケティングに取り組むべきか、企業規模が大きくないBtoB企業のソーシャルメディア担当者の1人として、わたくし高橋真弓がマーケティングへの活用方法に悩む企業の担当者のために、導入するにあたっての必要なステップや担当者としてもつべきスキル、アカウント運用に便利なツールなどを伝えていきます。

前回までの内容で、企業がTwitterを導入するにあたっての疑問に対するアドバイスとして、企業のTwitter活用ノウハウを説明してきました。しかし、ソーシャルメディアと呼ばれるものはもちろんTwitterだけではありません。世の中には星の数ほどのソーシャルメディアが混在し、それぞれにユーザーがついているのです。今回は、「じゃあTwitter以外のソーシャルメディアって、企業が使えるもので他に何があるの? どう使えばいいの?」という点について、シックス・アパートの事例を紹介しつつ、説明していこうと思います。

ソーシャルメディアとは何か

Twitterが登場する以前から、ブログやSNSなどを活用したソーシャルメディア・マーケティングは注目されていましたが、そもそも、ソーシャルメディアとは何なのでしょうか。ソーシャルメディアの定義は諸説あるのですが、「一般ユーザー同士のつながりやコミュニケーションによってコンテンツがどんどん生まれていくメディア」といえるのではないでしょうか。では、Twitter以外にどんなソーシャルメディアがあるのかを見てみましょう。

日本でメジャーなソーシャルメディアはどんなものが存在するの?

と疑問に思われた方は、参考までに次の図をご覧ください。

代表的なソーシャルメディア.SNS:mixi,GREE,Facebook,プロフ.特化型SNS:この指とまれ!,COOKPAD,pixiv,MySpace,LinkedIn,モバゲータウン,Smart.fm.ソーシャル・ブックマーク、ニュース:はてなブックマーク,Delicious,Buzzurl,newsing.クチコミサービス:@cosme,価格.com,フォートラベル,みんなの就職活動日記,食べログ.Q&Aサービス:大手小町,Yahoo!知恵袋,OKWave,教えて!goo.匿名コミュニティ:2ちゃんねる,はてな匿名ダイアリー.写真・スライド共有サービス:Flickr,Picasa,フォト蔵,SlideShare.動画共有・配信サービス:YouTube,ニコニコ動画,Ustream.マイクロブログ:Twitter,Tumblr.ブログサービス:アメブロ,ココログ,ライブドアブログ,Movable Type.TypePad,WordPress,Yahoo!ブログ,Seesaa,FC2など
代表的なソーシャルメディア

それぞれのサービスの規模感や、利用しているユーザー層などというセグメントまで織り込んだ図を描くのは非常に困難だったので、「一般ユーザーによってコンテンツがどんどん生み出されていく形態をとり、日本である程度使われていると思われるソーシャルメディアのサービス」を、私の独断と偏見も交えつつ、カテゴリ分けしてみました。一口に「ソーシャルメディア」といっても、こんなにたくさんのサイトやサービスが混沌と日々切磋琢磨しながら存在しているということは感じ取っていただけたのではないかと思います。

じゃあ我が社はどれを活用すればいいんだろう?

これだけソーシャルメディアがあることがわかっても、どれを活用すればいいのかわからずに一層混乱してしまうのではないでしょうか。こればっかりは、「自社の製品やサービスに合わせた最適なソーシャルメディアを選択し、うまく組み合わせて上手に活用しましょう!」としか言いようがありません(ごめんなさい)。

1つアドバイスをさせていただくと、まずはこれと思ったソーシャルメディアを個人で体験してみてください。第1回で、個人でソーシャルメディアを体験してくださいとお話しましたが、ソーシャルメディアに参加して体験することで、ユーザーの属性や、ソーシャルメディア上でのユーザーのつながりの特徴などが見えてくるはずです。

7つのソーシャルメディアを使い分けたシックス・アパートの事例

そんなわけで、米国西海岸・シリコンバレー出身のMovable TypeやTypePadのブログのプラットフォームを開発している、ソーシャルメディア畑のシックス・アパートという会社は、どのソーシャルメディアをどのように利用しているのか、中小規模のIT企業の一例として、参考までにご紹介します。ちなみに代理店など、外部の方の手は一切借りず、すべて自社でコツコツ運用しております。

シックス・アパートのサイトにある、ソーシャルメディア・コミュニケーションというページでは、公式に運用しているソーシャルメディアのサービスとアカウント、そしてそれらの運用方針を公開しています。

  1. ブログ:TypePad(Six Apart KK
    目的:企業の公式プロフィールとして利用

    ブログサービスのTypePadは、それぞれのソーシャルメディアアカウントをリンクさせた、公式プロフィールとして利用しています。このプロフィールページを見れば、シックス・アパートのソーシャルメディアのアクティビティが一覧できるようにしています。

  2. マイクロブログ:Twitter(@sixapartkk
    目的:公式サイトの更新情報やユーザーに役立つ情報を発信

    前回までの連載でご紹介させていただきましたが、更新情報は自動的に、ユーザーへ向けたお役立ち情報はわたしがつぶやくといったように使い分けています。

  3. 写真共有:Flickr(sixapartkk's photostream
    目的:広報が撮影した公式の写真を公開

    イベントやオフィスの写真など、広報が撮影した写真はすべてFlickrにアップしています(プロアカウントを利用)。ここにアップした写真は、広報ブログに利用したり、ユーザーとシェアしたりしています。

  4. 動画配信:Ustream(sixapartkk
    目的:イベントの中継に利用

    シックス・アパートが主催、または共催するイベントの中継に利用しますが、活用頻度は年に数回です。

  5. スライド共有:SlideShare(Six Apart KK
    目的:セミナーのフォローアップのための資料を公開

    自社セミナーなどで使った社員のプレゼン資料は、すべてここにアップしています。来られなかった方と来ていただいた方へのフォローアップには欠かせません。

  6. 動画共有:YouTube(SixApartKK
    目的:公式の動画コンテンツを公開

    自社で所有する動画を公開していますが、なかなか動画コンテンツを用意できないので、一番更新頻度が低いです。

  7. ソーシャル・ブックマーク:Delicious(Six Apart KK's Bookmarks
    目的:シックス・アパート関連の情報まとめページとして利用

    シックス・アパート製品に関するニュース、ブログ記事などを日々チェックし、こつこつとほぼ毎日ブックマークしています。ユーザーの方は、ここからシックス・アパートに関するニュースやブログ記事をチェックすることができます。

「適材適所」なソーシャルメディアサービスを利用し、ユーザーの方々の利便性もかんがみた結果、上記のツールが選ばれ、毎日コツコツと1人の担当者(私です)によって運営されています。それぞれのサービスは、写真や動画などのコミュニティが構築されているため、シックス・アパートのコミュニティ以外から、ソーシャルメデイアを通じてトラフィックを増やすことができます(更新頻度はそんなに高くないのですが、日々コツコツストックしていくことが大事!)。

さまざまなソーシャルメディアを連携して、効果を最大限に上げる方法

2009年から、特にネット系の無料のイベントが行われる場合は、Twitterのハッシュタグを用意し、Ustreamで実況中継を行って講演を見聞きできるようにすることで、その場にいなくてもソーシャルメデイアを通して参加できるようにするイベントが多く見られるようになってきました。

これまでは、イベントというと参加した人だけが情報を得られるというクローズドなものでした。しかし、無料の一般向けのイベントであれば、ソーシャルメディアを最大限に活用すれば、会場のキャパシティに依存せず、ソーシャルメディアを通じて、できるだけ多くの人の目に触れさせることができ、そして情報をシェアしてもらえるようになります。最近はそのようなオープンなスタイルのイベントが増えてきていますが、当然の流れだといえるでしょう。

今年6月に、シックス・アパートではSix Apart Media Dayというイベントを開催し、リアル(実際のイベントの場)とソーシャルメデイア(ネット上の場)をインタラクティブに行き来できるようなイベント設計を行いました。ここで実践したソーシャルメディア活用のポイントを箇条書きにしてみます。

イベント前

  • イベント参加者の方へのリマインドメールや、公式のTwitterアカウントでイベントのハッシュタグ(#SAMD)を何度も告知した
  • 講演資料は事前にスライドシェアにアップロードしておいた

Twitter上でイベントに関する質問を受け付けるために、また参加者や興味を持った人がコミュニケーションをしやすいように、ハッシュタグを告知しました。講演資料は、Ustreamで中継を見る人にもわかりやすいように、事前に公開しています。

プレゼンテーション共有サービスのスライドシェアで事前に資料を公開

イベント中

Ustream

Ustreamは、カメラとインターネットに接続環境さえあれば誰でも生中継ができる動画配信サービス。専用アプリケーションを使えばスマートフォンでも中継できる。Twitterとの連携機能もあり、同じ動画を見ているユーザー同士で情報を共有できる。日常の様子やイベントなどの中継を「だだ漏れ」と呼ぶことがある。
http://www.ustream.tv/

  • Ustreamでの実況中継(Ustreamの実況中継「だだ漏れ」で有名なそらのさんに中継作業を依頼した)
  • シックス・アパート公式Twitterアカウント(@sixapartkk)では、専任の担当者を配置し講演内容のフォローアップ、参加者とのコミュニケーションに徹した(Ustream中継の音声の対応や、会場の温度の対応、質問の受付など)
  • Twitterからきた質問を拾い、イベント会場で講演者にフィードバックした
  • Ustreamで録画した動画は、アーカイブしておいた

イベント開催中は、Twitterで参加者とリアルタイムにコミュニケーションを行いました。セミナー最後の質疑応答の時間は足りなくなってしまいがちですが、Twitter上でいろいろな質問をリアルタイムに受け付けるこができます。講演最中でもちょっとした要望や疑問を拾いやすいですし、講演でわかりづらい点をすぐにフォローすることもできます。

イベント中はTwitterで参加者をフォロー。管理には第3回で紹介したHootSuiteを使いました
イベントの様子はUstreamで実況中継してアーカイブ。音声の乱れなど、中継に関する要望も受け付けました

イベント後

Togetter(トゥギャッター)

Togetterは複数のつぶやきを1つにまとめた、つぶやきリストを作れるサービス。特定のテーマやイベントに関するつぶやきを集めてアーカイブできる。
http://togetter.com/

  • Flickrにイベントの様子の写真を公開した
  • Togetterでイベントに関連するつぶやきをまとめ、アーカイブして公開した
  • その日のうちにソーシャルメデイア上に置いた、写真や講演資料、動画やつぶやきのまとめなどをすべてブログにまとめて公開した
  • 当イベントについて書かれているブログ記事をDeliciousでブックマークした

イベント開催後に欠かせないフォローアップのために、講演資料や当日の様子を公開しました。シックス・アパートからお伝えする情報だけでなく、会場に来られた方やUstreamを見た方のつぶやきなど、ソーシャルメディア上の情報もまとめています。

イベントの様子を撮影した写真はFlickrで公開

このようにシックス・アパートでは、Twitterも含んだソーシャルメディアサービスをフル活用して、リアルとソーシャルを組み合わせてイベントを実施したり、日々の情報をストックしたり発信したりしようと試みています。しかし、これだけのソーシャルメディアを活用するのは簡単ではありません。イベントの進行役や撮影役はもちろん、Twitter専任の担当者やUstreamでの生中継を管理する担当者が必要になりますし、リアルタイムに来る質問に対応しつつ講演者にフィードバックしなくてはいけませんから、クローズドなイベントと比べて工数が大きくなります。

連載のはじめにもお話しましたが、ソーシャルメディアの効果をきちんと評価するためにも、目的と目標を決めておくことが大事です。ちなみに、シックス・アパートのソーシャルメディアを活用したイベントでは、直接来場できなかった方以外にも、インターネットやソーシャルメディアを通じて最大限に情報を伝えることができたのが最大の効果でした。イベント後の数日間はいつも以上にTwitterのフォロワー数が伸び、各種ソーシャルメディアの閲覧数も増え、自社サイトへのトラフィックも増えました。また、イベントに直接来場していない方からも、サービスについてのお問い合わせも多数いただきました。ソーシャルメディアを活用すれば会場のキャパシティに関係なく、無限のユーザーに対してアプローチできる可能性があるのです。特に無料イベントの場合、ソーシャルメディアを活用しない手はないでしょう。

◇◇◇

実際のイベント開催を例に、ソーシャルメディアの活用方法を紹介してきましたが、シックス・アパートで利用しているサービスはすべて無料で利用できるものばかりなので、まずはこっそりアカウントを取得して、こっそり始めてみてはいかがでしょうか。そこからどのように活用できそうか、模索してみることをおすすめします。

さて、ひとまず「企業ためのソーシャルメディア・マーケティング入門」は一段落となります。タイトルの通り、入門的な内容なので、ソーシャルメデイアマーケティングについて語り尽くしたわけではありませんが、日々公私共にソーシャルメディアにどっぷりつかった、中小企業の担当者の知見から、お話できることをまとめてわかりやすくお伝えしたつもりです。

ソーシャルメディアをこれから始める人も、すでに始めている人も、参考になれば幸いです!

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