企業ホームページ運営の心得
楽天市場に学ぶカンタンにPVを稼ぐ方法

サイトの基礎体力であるPVを伸ばすための戦略について
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百七十九

非科学的Web時代

いまから10年以上前に「eビジネス」というブームがありました。“e”とは“electronic”の頭文字で、e-mailやEC(電子商取引)と、インターネットや電子機器をビジネスに活用しようというもので、米国IBM会長の提言に端を発するとされています。対米追従路線を堅持する日本のIT業界は、一も二もなくeビジネスに飛びつきました。そして、「e」というロゴマークを持つ運送会社にまでベンチャーキャピタルが出資を持ちかける狂乱が、後に「ITバブル」と呼ばれる時代です。

この当時、サイトの価値は「PV」で示されていました。PV=ページビューとは見られたページ数を指し、上場企業となった某社は黎明期、アルバイトを総動員して自社サイトを「クリック」してPVを稼いでいたらしいと噂されたのは、PVが「広告価値」と同義と考えられていたからです。もちろん、こうした「自家発電」は何の意味もありません。そして時代と共にPVへの注目は減りましたが、今でも大切です。PVとはサイトの基礎体力、サイトを訪れる訪問者(新規ユーザーとリピーター)の数が増えれば、PVも増えてきます。

今はなきSEOの効能

ホームページは見られて「ナンボ」。数百万円を投じたサイトであっても、誰も訪問しなければお金をドブに捨てたのと同じです。また、LPOも訪問者が少なければ正確な効果測定は行えず、KPI(重要業績評価指標)も分母が小さければ統計の誤差が大きく、ブレ幅は民主党のマニフェストを軽く超えてしまいます。つまり、一定の訪問者がいなければ各種方法論も真価を発揮できないのです。それは「無回転シュート」を蹴れても、90分間走る体力がなければプロのサッカー選手になれないのと同じです。

訪問者を集めてPVを伸ばす手法の王道は「SEO」で、かつてコンテンツに無関係なアイドルやAV女優の名前を埋め込む「SEO」が流行したのも基礎体力の向上が狙いです。もちろんこの方法は立派なスパムですのでご注意を。

売る気のない通販サイト

工具通販の「ヤスリ.jp」の当初のサイト開設理由は「オリジナル工具」の受注でした。「カップラーメンの麺を切るカッターのためのヤスリ」や「調味料が入った小袋をどこからでも切ることができるようにするためのヤスリ」などを開発し販売していた同社では、その取引先拡大が一番の狙いだったのです。しかし、SEOにおいて問題が発生します。

「調味料が入った小袋をどこからでも切ることができるようにするためのヤスリ」を欲している客が「ネットで検索」する「キーワード」が想像できなかったのです。

SEOは1ページに1キーワードが基本で、ビッグワードになれば1サイトで1キーワードという世界です。あれもこれも詰め込んで散漫になっては逆効果になりかねません。そもそもその「加工」がヤスリの仕事であることは知られていません。

楽天市場ご自慢のSEO効果

オリジナル工具の大半は「現時点」では存在しないモノです。存在しないモノに名前はありません。そこでオリジナル工具を「欲している人々」が「検索」するとしたら、市販品のヤスリの名前ではないかと仮説を立てます。セカンドベストでもサービスインを優先するのはネットの世界での定石で、仮説が間違えていたらその時点でやり直します。

「調味料が(中略)のヤスリ」ではなく「テーパー ヤスリ」「挽切 ヤスリ」といった市販品のヤスリの名称を並べるために「通販ページ」を開設しました。つまり「商品名」による「SEO」で、ヤスリを探す客を捕まえ、PV=基礎体力の向上を狙います。

インターネットの重要な原則である「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」に準じている手法です。単純に考えると、10ページと1000ページでは訪問者が訪れる確率に100倍の差があります。1つの商品を1ページに割り当てる「通販サイト」なら、楽にページ数を増やすことができ、間口を広くすることができます。そしてこれは黎明期の楽天市場が自慢していた「楽天市場にないものはない」と重なります。

枯れ木も山の賑わいというが

あるインタビューで楽天の三木谷浩史社長は幻の焼酎とされる「魔王」を引き合いに出し、「楽天市場で探せば売っている店が何軒もある」と豪語していました。その商品点数の多さが集客力となり、楽天市場の出店者にとってのメリットになると続けます。平成22年7月26日現在、楽天市場には「61,311,295点」の商品が出品されています。契約企業数は「106,448」ですから、単純に1社当たり約576点=商品ページを持っている計算です。たしかにこれだけのページ数があれば、多くの訪問者を集めることが期待できます。

もっとも、楽天市場全体の訪問者数と出店者単位での利益はトレードオフになりません。全体の訪問者数が増えても、それが各店に平等に配分されるワケではないからです。また、楽天のシステムで「完売」や「在庫切れ」の商品も検索結果として表示されるのは「ないものはない」という開き直りに見えてしまいます。

誰も知らなければ存在しないのと同じ

多くの人の目に触れることがビジネスのスタートです。誰かの目に触れなければ、優れたサービスも秀逸な商品も売れることはありません。ネットの世界では、現実の店舗のように店先を通りがかった客を捕まえることはできず、いかに集客するかが大きな課題となります。業種やビジネスモデル(収益方法)、営業戦略によって異なりますが、現時点での経験則からブログを除いた「コンテンツ」で毎日300PVを越えてくると、商売としての実感が得られるようになります。それが商売用の最低限の「基礎体力」というのが経験則からの数字です。これを越えて初めて、LPOやKPIの出番となります。

「取扱商品が少ない」や「通販していない」というサイトが、訪問者を集めてPVをあげるためのコンテンツの作り方、増やし方については次回「横展開編」にて。ちなみに「ヤスリの名前」のようにマイナーな商品名はライバルが少なく「ぬるい市場」が多いことも魅力です。

最後に余談を。「eビジネス」のブームを私は冷めた目で見ていました。それは「E電」が定着しなかったことが理由ではありません。「OA化」や「ペーパーレス」を見てきたからです。特にペーパーレスは数年に一度、オリンピックのようにやってきては定着せずに消えていき、今の「iPad狂想曲」も同じ系譜で捉えております。

今回のポイント

PVは基礎体力。

商品の数だけページを作り、間口を広く。

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