連載BtoBメーカーのウェブ活用
ウェブ活用の現状と可能性/BtoBメーカーのウェブ活用 第1回

気賀 崇(イントリックス株式会社) 2010/6/29(火) 08:00 (54) この記事をはてなブックマークに追加(45) 印刷用印刷用
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ウェブの特性を使い切るために:積極的な情報公開姿勢

最後に、ウェブの特性を使い切るために必要な心構えについて言及しておきたい。それは、「なるべく多くの情報を積極的に掲載する」という姿勢である。積極的な情報公開と言えば、迫られて渋々出しがちな事故や不祥事に関する情報を自ら進んで出す、の意で語られることが多い。もちろんそれも含むのだが、ここでは企業のことを“余すことなく”伝える姿勢と捉えたい。

例えば米国のBtoBメーカーサイトでは、研究者のブログや連絡先一覧などが良く見られる。日本では、「会社の統一見解とずれたらどうするのか?」「機密事項が漏れたらどうするのか?」「ライバル企業に引き抜かれやすくなる」などの心配が先に立つところだ。しかし米国企業は、対外コミュニケーションの窓口を一本化してしまうと埋もれてしまいがちなナレッジを公開することのメリットが、それらマイナス要因を上回ると考えている。

情報掲載量に制限がなくなった利点を最大に活かすには、企業が持つあらゆる公開可能な情報をウェブに掲載した方が良い。米国企業サイトでは他に、数十年前に遡った過去製品情報、製品マニュアルなど、無制限の情報スペースという特徴を上手に活かした情報発信を見つけることが出来る。ネットは国防総省にルーツを持つ米国生まれの仕組みだが、積極的な情報発信姿勢と無制限の情報スペースという特徴が噛み合っているのも、ともに米国ならではの特性だからかもしれない。

だから、ネットの利点を活かすためには、日本企業ももっと様々な情報発信を行うべきだ。これまでは、情報を持っている企業側が、情報を持っていない顧客側に対して優位である“情報の非対称性”が収益の源泉だった訳だが、インターネットの普及によって、両者の情報格差は徐々に縮まりつつある。ある情報を企業が出さずとも、誰かが別のサイトで書いてしまうような時代なのだから、そろそろ「出せる情報・今ある情報」の発信に止めるのではなく、「訪問者が欲しがる情報」の発信へとの発想を転換することが必要だろう。

今まで企業は、情報量の制約を理由に、伝えたいことのみに力点を置いたコミュニケーションをしてきた。結果的にアピールの巧拙が売上を左右する側面があった。しかし、製品に関して余すことなく伝えられるようになったということは、第三者が書く口コミも含め、一製品に関する極めて多角的な情報とその選択が顧客側に委ねられつつあるということである。とすれば、アピールのあまり得意でない、しかし製品の品質そのものには絶対の自信を持つ日本のBtoBメーカーにとっては、製品のことをより伝えやすくなったという意味で、大変有利な時代が到来したと言えるのではないか。もちろんそれは、ネットを上手に活用できたら、という条件付であることは言うまでもない。

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第1回 ウェブ活用の現状と可能性
第2回 企業購買プロセスのウェブ化(1)
第3回 企業購買プロセスのウェブ化(2)
第4回 BtoCウェブサイトに学ぶ
第5回 連結視点とグローバリゼーション

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気賀崇氏

気賀 崇

イントリックス株式会社 代表取締役社長

1994年慶応大学総合政策学部卒業後、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンに入社。ニューヨーク本社の国際株式投資部にて日本/アジア株のアナリストを務める。海外インターネットビジネスへの投資に携わった後、2000年サイエント株式会社入社。eビジネス戦略策定に従事する。2007年サイエント ジャパン株式会社取締役に就任。サイト群・グローバリゼーション事業の責任者として、機械・電機・精密機器・通信・制御機器・事務機メーカーのサイト群プロジェクトをリード。2009年8月、イントリックス株式会社を設立。代表取締役社長に就任。BtoB企業を中心に連結/グローバル視点でのWeb活用を支援している。(社)日本産業広告協会 BtoBコミュニケーション研究会 WEB部会座長

※この記事は、社団法人日本産業広告協会(IAAJ)の発行する月刊誌『産業広告』に掲載の連載を、著作権者の許諾を得て転載しているものです。

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