連載衣袋宏美のデータハックス
クッキーはどこまで正確にユーザーを特定できるのか? [アクセス解析Q&A]

衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) 2010/6/10(木) 10:00 (39)この記事をはてなブックマークに追加(34) 印刷用印刷用
この記事を読むのにかかる時間: 約 2.5
衣袋宏美のデータハックス

質問:クッキーでユーザーを特定する方法があると聞きました。どれぐらいまで正確にユーザーを特定できるのですか?

答えクッキーだけで「どこのだれ」という個人を完全に特定することはできません。クッキーができるのは、「以前にアクセスしたときと同じブラウザである」という「ユニークなブラウザ」の特定で、その目的にはクッキーは比較的優れた方法です。

解説まずクッキーについて説明します。

クッキー(Cookie)は、正確には「人」ではなく「同一ブラウザ」を追跡するための仕組みです。たとえばAmazon.co.jpに自分のIDでログインしてブラウザを終了させた数日後に、またブラウザを立ち上げてアマゾンのページにアクセスすると、自分のIDで自動的にログインしている状態になっています(図1)。この動作にはクッキーが使われています。

Amazon.co.jpのログイン状態
図1:Amazon.co.jpのログイン状態

このようにクッキーは、Webサイト運営者やインターネット広告配信業者などがユーザーのアクセス履歴を取得するためなどに一般的に使われています。

クッキーの情報は、ページや画像などにアクセスする際に、ウェブサーバーからブラウザに対して「この情報をクッキーとして保存」として送られてきて、各ブラウザがファイルなどの形でパソコン内に保存しているものです(JavaScriptがクッキーを保存することもあります)。クッキーが保存されていると、同じサイトにアクセスするときにブラウザが自動的にサーバーに情報を送る仕組みになっています。

クッキーは、「個人」に対してではなく、「個々のブラウザ」に対して発行されるので、同じパソコンであっても、違うブラウザを使えば、異なるクッキーが発行されます。逆に言うと、別の人が同じパソコンの同じブラウザを使うと、クッキー上は同一視されます。つまり厳密に言えば、同一人物の特定はできず、同一ブラウザを特定するだけです。

クッキーには、セッションクッキーと永続クッキーの2種類があります。

  • セッションクッキー ―― ショッピングカートなどで同じセッション(同一ユーザーの一連の利用行動)の間の行動だけを追跡するためのクッキーで、ブラウザを閉じるなどセッションが切れれば消滅します

  • 永続クッキー ―― セッションが切れてもパソコンに記録が残っているものですが、未来永劫に保存されるのではなく、有効期限が設定されているということです。広告効果測定ツールやアクセス解析ツールが使用しているクッキーの有効期間は30日、45日、90日などサービスによってさまざまですし、ユーザーが手動で削除することも可能です。

これとは別に、ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーという区分があります。これはクッキーの保存の仕組みではなく、「そのときブラウザで表示しているページ」と、クッキーを設定しているサーバーとの関係を表します。

  • ファーストパーティクッキー ―― そのときに閲覧中のページと同じドメイン名から発行されるクッキーで、Amazon.co.jpなどECサイトが自社サイトのログイン状態やカートの状態を保持するために発行されるような場合に使われます。

  • サードパーティクッキー ―― そのときに閲覧中のページとは異なるドメイン名から発行されるクッキーで、広告配信サービスやアクセス解析サービスなどの別ドメイン名から発行されるクッキーのことです。

アクセス解析ではファーストパーティクッキーを使う場合もあれば、サードパーティクッキーを使う場合もあります。サードパーティクッキーを使うケースが多いのですが、計測ドメイン名の運営者が意図しない利用のされ方が皆無ではない(特定の2サイト利用者の重複利用状況などが簡単にわかってしまうなど)ため、ファーストパーティクッキーを使うオプションを用意しているサービスもあります。ちなみにGoogle Analyticsではファーストパーティクッキーを使っています。

サードパーティクッキーを使う広告配信サービスでは、そのサービスを利用するすべてのサイトを対象として横断的にそのユーザーのアクセス履歴を把握することが可能になり、行動ターゲティングなどが可能となるわけです。

しかしこれをプライバシーの侵害だと考える人もいます。そのためブラウザの設定で、ある程度クッキーをコントロールできるようになっており、セキュリティ対策ソフトの多くは、サードパーティクッキーを検出・除去する機能を備えているものがあります。

Chromeのクッキー(Cookie)動作設定ダイアログ
図2:Google Chromeのクッキー(Cookie)動作設定ダイアログ

この機能を有効にし、定期的クッキーを削除するようなことを行っていれば、同じブラウザでも別のクッキーが発行されるため、アクセス解析ツール側では別人のアクセスというように判断されます。

このように厳密に言うと、クッキーでのユーザー判定も100%正確ということにはなりませんが、IPアドレスなどで判断するよりは精度は上がると考えてよいでしょう。

■丸2日でアクセス解析をマスターする「アクセス解析ゼミナール」を、 アクセス解析イニシアチブが4月14日と4月21日に開催します → 詳しくはこちら(3月中に申し込むと早割あり)

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Web Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

編著に『ネット視聴率白書2009〜2010』、監訳書に『Webアナリスト養成講座』がある。ブログ:Insight for WebAnalytics

(39)この記事をはてなブックマークに追加(34)
あなたの評価 : なし 平均 : 2.5 (投票数:11)
日本赤十字社 東日本大震災 義援金募集

今日の用語

重複コンテンツ
同じドメイン名内、または他のドメイン名にわたって存在する、「内容は同じだがURL ... →用語集へ

インフォメーション

Web担のメルマガを購読しませんか?
Web担の記事がコンパクトに毎週届くメールマガジン「Web担ウィークリー」は、10万人が読んでいる人気メルマガ。忙しいあなたの情報収集力をアップさせる強い味方で、お得な情報もいち早く入手できます。

Web担に広告を掲載しませんか?
購読者数10万人のメールマガジン広告をはじめとする広告サービスで、御社の認知向上やセミナー集客を強力にお手伝いいたします。

サイトマップ
RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

さくらインターネット株式会社株式会社KDDI ウェブコミュニケーションズYahoo!リスティング広告at+link
at+linkウェブアンテナ株式会社日本レジストリサービスWindows Azure
株式会社キノトロープ株式会社アイレップ株式会社ニューズ・ツー・ユーシックス・アパート株式会社
Urchin from Googleオートノミー株式会社株式会社サイバーエージェント富士通株式会社