連載衣袋宏美のデータハックス
ユーザーのサイト内行動をどう分析するか?——回遊分析(2) [アクセス解析tips]

衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) 2010/5/13(木) 10:00 (47)この記事をはてなブックマークに追加(31) 印刷用印刷用
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衣袋宏美のデータハックス

ユーザーの回遊状況を把握する2つの指標

アクセス解析ツールには、たいてい見やすいところに「人気ページランキング」が表示されるようになっている。しかし人気ページランキングをいくら丁寧に眺めても、そこからユーザーの回遊行動に関する何か有益な分析結果を導き出すことは至難の業である

人気ページランキングというのは、指標で言うならページごとのページビュー数だけを多い順に並べて見ているにすぎない。サイトを訪れたユーザーが、どのページをどのように閲覧しているか、すなわちユーザーの回遊行動を把握するには、人気ページランキング(ページビュー数)だけでなく、

  • 1回(セッション、訪問)あたりのページビュー数
  • 1人(ユニークユーザー)あたりのセッション数

を見てみよう。ページ別、あるいはコンテンツグループ別にページビュー数、セッション数、ユニークユーザー数が把握できるアクセス解析ツールであれば、次のような計算式で計算できる。

  • 1回あたりのページビュー数 = ページビュー数 ÷ セッション数
    ユーザーが1回サイトに来訪するごとに何ページぐらいを閲覧しているかの平均値がわかる。
  • 1人あたりのセッション数 = セッション数 ÷ ユニークユーザー数
    サイトの利用頻度が読み取れる。

これらは、ページビュー数、セッション数、ユニークユーザー数という3つの基本指標から割り算で簡単に算出できる指標だ。

PV数やセッション数を絶対値で見るのではなく、このような比率にしてしまうことで、異なるページ同士、カテゴリ同士、コンテンツグループ同士を比較できるようになり、ユーザーのコンテンツ消費の傾向がよりわかりやすくなる。できれば、これをサイト全体、コンテンツグループ別、ページ別に算出してみよう。

ニュース、商品関連ページ、読み物ページ、FAQというコンテンツグループを持つ一般的なWebサイトを想定した場合、1回あたりのページビュー数と利用頻度の数値の多寡により、おおよそ下図のような分布となることが多い。

ユーザーのサイト内行動をどう分析するか?

もちろんこれが理想形であるとか絶対であるということではないが、コンテンツ別のあるべき姿をはかる目安にはなるだろう。「1回あたりページビュー数」と「1人あたりセッション数(利用頻度)」が算出できたら、上図と比べてみて、自分のサイトがどのような利用分布になっているかを確認しよう。

たとえば、社名や商品名、ブランド名などが広く一般に知られており、ほとんどのユーザーがトップページから入ってくるのが主流のサイトであれば、ユーザーの流れはトップから下の階層へ順番におりて行く形になるので、ページビュー数はその流れに沿って減っていく感じになるだろう。

あるべき姿になっていない場合、ページのデザインや表現、ナビゲーション、リンク構造といったものをチェックしよう。分析のためには、コンテンツグループ別にディレクトリが別になっているなどといったURL構造の最適化もされていることが望ましい。

経路分析の代わりにシナリオ分析をする

コンテンツ別の利用ページ数と利用頻度の傾向を把握したら、次はユーザーの動線・経路の分析にとりかかろう。

アクセス解析ツールには、たいていどのようなページ遷移でユーザーが動いて行ったかを集計する経路分析の機能が備えられている。しかし、ユーザーごとの経路を詳細にたどって丹念に分析するのは、得るものが少ないのでお勧めできない。なぜならば、ユーザーがたどる経路は無限にあり、経路パターンが多すぎるため、「太い導線」、すなわち典型的な遷移パターンというものが存在しないことが多いからだ。ユーザーも人それぞれユニークな動きをするので、こちらもやはり動きを大雑把に捉えるということが大事だ。

では具体的にどうするのか。たとえば、

  1. 商品トップ
  2. 商品詳細
  3. カート
  4. 購入

という流れで購入に至るサイトならば、途中の細かい行ったり来たりはどうでもいい。この流れに沿ってどれだけ途中で脱落していったのかを把握できれば十分だ(もちろん、「カート→購入」のステップは寄り道すべきではないので、例外的に各ステップすべての詳細経路遷移を見るべきところだ。こちらは別途コンバージョン分析の項で取り扱う)。

こういった大雑把な流れを確認したい場合には、シナリオ分析が有効になる。シナリオ分析を提供しているツールの多くは、主要ステップのURLを順番に登録しておくだけで、同一セッションでシナリオ通りの順番でユーザーが動いたかどうかをレポートしてくれる。シナリオ分析の発展系で、人をキーに追うこともできるとなおよい。最近の広告効果測定ツールでは、間接効果(コンバージョンに至ったセッション以前に同一ユーザーが訪れたセッションを、コンバージョンに間接的に効果を及ぼしたセッションとして計測すること)をカウントするものも多いが、これはその応用の1つである。普通のサイト分析においても、セッションをまたいだシナリオ分析ができればこちらも非常に有効である。

最初の訪問では一般的なキーワードで検索してサイトに直接入ってきて、2回目の訪問は会社名で検索してトップページから入って会社概要やプライバシーポリシーを確認し、3回目の訪問では商品ページと価格を確認して購入(コンバージョン)したなどといったことがわかれば、購入を確信させるコンテンツは何かといったことの手がかりを知ることができるだろう。

経路分析では、このように自分で想定した仮説をシナリオにいくつか登録しておいて、そのシナリオの正当性を確認するということが重要になる。最初に触れたユーザーの動向分析でも同様だが、分析で重要なのは、分析に先立って仮説なりあるべき姿をきちんと想定するということなのだ。

まとめ

  • ユーザーの回遊状況を把握するには、1回あたりページビュー数と1人あたりセッション数の指標をチェックしよう
  • ユーザーの動線を確認するのに有効なのは、遷移分析ではなく、シナリオ分析である

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衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Web Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

編著に『ネット視聴率白書2009〜2010』、監訳書に『Webアナリスト養成講座』がある。ブログ:Insight for WebAnalytics

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