企業ホームページ運営の心得
ネットビジネスの本質は大量投下のイスとられゲーム

1つでも多くのイスを置いて座ってもらう、イスの提供合戦がネット世界で繰り広げられています
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百六十参

メルマガは消えてゆくのか

ヤフー運営のメルマガスタンド「Yahoo!メルマガ」が2010年4月20日で終了します。2006年8月の開始は、メルマガスタンドとしては最後発でしたが、強力なブランド力や国内最大級のトラフィックを原動力に、どこまで伸ばすことができるのかと注目していたのですが、ブログの普及に反比例したメルマガの衰退という時代の流れには勝つことができませんでした。あるいは「ナンバーワン」が好きな孫正義さんにとって、業界1位の獲れない事業はいらないのかもしれません。

ただし、これは「メルマガの終焉」を意味するものではありません。そしてメルマガがなくなることはないでしょう。それはネットの「ゲームのルール」からみれば明快です。

配信限定するのは何故か

老舗のメルマガスタンド「E-Magazine」の発行画面にログインすると「【重要】配信数削減の御協力のお願い」と表示されます。1日に複数回メルマガを発行する利用者がおり、システムへの負荷がかかりすぎるので控えてほしいというお願いです。無料メルマガスタンドは掲載される「広告」で運営されていますが、ブームの落ち着きに加えて、不況が冷え込ませる景気はIT業界にも例外を許しません。メールサーバーへかかる負担を「増設」で対応するのは難しくなっているのです。

複数回のメルマガ発行に「ゲームのルール」が見えます。平たく言えば「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」です。メルマガスタンドにとっては迷惑な話ですが、発行した回数は利益に比例します。約22億通の迷惑メールを送りつけ2,000万円儲けていた2年前の事件は記憶に新しいところです。ちなみに、単純計算すると1通当たりの売り上げは「0.009」円。詳しい手口はつまびらかにしませんが「機械任せ」なら悪い金額ではありません。

ネットツールの本質は

フジテレビは、地上波でアナログ、デジタル、ワンセグ、そして衛星放送はBSにCS3局(ワン、ツー、ネクスト)。さらにラジオの「ニッポン放送」で7局。ネットでは「フジテレビオンデマンド」に動画共有サイトの「ワッチミー!TV」で動画を配信し、さらに「Gyao」へ出資もしています。地上アナログが停波になるとしても、なぜこれほど「局」が必要なのでしょうか。これを解くカギは「ワンセグ」です。

「ワンセグ」は地デジ放送参加の必須条件ではありません。高画質・高精細という時代の流れに逆行し、ワンセグ用の「粗い画質」に加工した映像と文字情報を用意している理由は「イスとられゲーム」。「下手な鉄砲~」と対をなすゲームのルールからです。

「イスとられゲーム」は用意したイス(商品サービス)に座ってもらえれば、イスをとられた側(提供側)が勝ちとなるゲーム。インターネット社会のゲームのルールでは、「イス取りゲーム」とは勝者の定義が異なります。つまり「ワンセグ」という「イス」を並べなければ、外出先という「市場」の参加者にすらなれないのです。「多チャンネル」を用意するのも同じ理由です。

ツイッターも「イスとられ」

ネットも「イスとられゲーム」です。メルマガ、ブログ、自社サイトと、1つでも多くの「イス」を置きます。ツイッターも「イス」の1つでしかありません。だから「ツイッターでビジネスが変わる」などという煽りを目にすると、微苦笑を抑えることができません。「イス」がゲームのルールを変えることはなく、それは「エマニエル夫人」が腰掛けた籐椅子だとしても同じだからです。

ネット通販の著名店はさすがに「ゲームのルール」を理解しており、しっかりツイッターに参加しています。イスを用意するためのコストはほぼ無料で、ツイートも日頃発行しているメルマガや更新しているブログからの「コピペ」で事足ります。

そして石の粗製乱造が始まる

ところであなたは、いくつの「ブログ」を運営していますか。実は「ミラーサイト」と称して、まったく同じ内容の記事を複数の「ブログ」に投稿するのは珍しいことではありません。1回の投稿で複数のブログに同時掲載できるサービスもあります。「ミラーサイト」とは、本来は「本家」へのアクセス集中やトラブルの補完サイトとして使われるものですが、それを3つも4つも用意するのは「イス」を増やして「とられる」ため。

「アメブロ」や「楽天ブログ」のようなブログサービスは、自社のブログサービスを盛り上げるために「ランキング」や「注目」「新着」といった仕掛けを用意しており、運良く取り上げられれば「読者増」を期待できます。これも「イスとられゲーム」で、ブログという「イス」を置いておかなければ、ランキングに参加できません。

だからメルマガはなくならない

ツイッター礼賛者は「すべての情報が手に入る」という表現をしますが、これはリテラシーを持つもののごう慢に過ぎません。確かにツイッターの中にはさまざまな「ニュースソース」や「見識」が溢れていますが、非IT業界で働く多くの「普通の人」はそのすべてを目に通すほど暇ではなく、「整理」された情報を好むものです。ツイッターに比肩して「ネット界」で盛り上がりを見せる「ユーストリーム」も同じです。「ダダ漏れ放送」に付き合う時間は「普通の人」にはありません。もちろん「イスとられゲーム」の「イス」として、「ダダ漏れ」に終始付き合える暇人用のコンテンツを用意するのもありです。「ユーチューブ」などと併用して「イス」を用意している企業はすでにあります。

一方、編集して整理された情報を求める人もいます。非IT業界で毎日仕事に追われている「普通の人」にとっては、思いつきで並べられる「つぶやき」より、読者へのメッセージが編集された「メルマガ」を好みます。「メルマガ」がこれからもなくならない理由です。そしてもちろん「メルマガ」も「イスとられゲーム」の「イス」です。

「とられ」ゲームの難点はイスの数が異常に多くなることです。企業やネットサービス会社はさらなる有利を目指し、イスを大量生産して投下しており、その結果、参加者が身動きできなくなくなりつつあるのが今のネット界です。

今回のポイント

「商売」だけを考えれば情報をまき散らすほうが有利。

節度と利益の塩梅を決めるのはモラル……だけ、残念ながら。

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