初代編集長ブログ―安田英久

ネットマーケティングの主役はユーザー+データ+ストーリーに ~4誌連動コラム最終回

第13回のお題は「ネットマーケティングの主役は誰に」。そして最終回なのです。
Web担のなかの人

このコラムは、Web担当者Forumと「日経ネットマーケティング」「Markezine」「ASCII.jp Web Professional」各誌の編集長が、毎回共通のテーマでネットマーケティングを語るコーナーです(バックナンバー)。

4サイト連動コラム、第13回のテーマは「ネットマーケティングの主役は誰に」です。

他誌編集長のコラムも同時に公開されていますので、併せてご覧ください。

今の、そしてこれからの「ネットマーケティングの主役」は、次の3つが絡み合って役割を果たしていくでしょう。

  • ユーザー
  • データ
  • ストーリー

それぞれについて述べていきましょう。

ネットマーケの主役はユーザーに

「ネットマーケティングの主役」というお題でまず出てきたのが「主役はユーザー」という言葉。

米タイム誌が「今年の人物」として「あなた(You)」を選んだのは、2006年のこと。あれから3年、FacebookやTwitterが劇的に普及し、さらにネットの主役=ユーザーはその程度を増していっています。

既存のマスメディア的な、一方的に企業のメッセージを伝える広告が効果を出すシーンがなくなるとは言いません。でも、それだけではネットを使う意義が薄くなってしまいます。

ネット上でのユーザーは、視聴率の構成要素としての無言の受け手ではありません。感情や言葉をもってネット上で行動している、生身の人間なのです。その人たちが何を感じ、何を考えているかを知り、その人たちの言葉に耳を傾け、その人たちの言葉の力を借り、その人たちの情報の流れを借りることで、マス的な広告とはまったく異なる手法で、気持ちや行動の喚起が可能になっていくでしょう。

もし「主役はユーザー」に納得がいかなければ、Facebookに登録して使ってみてください。この「主役はユーザー」の感覚は、身をもってソーシャルな世界を体感しないと、言葉だけではわからないと思います。

ネットマーケの主役はデータに

もうはるか以前から、ネットマーケではデータを最大限に活用することが重要だと言われていますが、その傾向は強まることはあれ、弱まることはないでしょう。

広告ならば、単なるクリック数やクリック単価ではなく、最終的なCPAに至る部分まで、正しくデータを取得して判断していくことで、費用対効果を高められます。コンバージョン最適化やユーザビリティ向上でも、アクセス解析のデータが力をもつでしょう。

そして今後は、A/Bテストの重要度が浸透し、日本でもさらに使われるようになっていくことが期待されます(もしA/Bテストやったことがなければ試してみてください)。

ただし、注意しなければいけないのは、取得できるデータがすべてではないこと。

たとえば、最近では広告の間接効果が注目されていますが、こういったデータは以前は取得できなかったものですし、今でも完全ではありません。また、ブランディング目的のアクションの効果を完全に測定できる仕組みは存在しません。

データはあくまでも手段の1つ。目的の達成状況を判断できるデータが何かを考え、仮説にデータを照らし合わせて判断するといった、「データに振り回されない」データの利用を心がけないと、思わぬ失敗をしてしまいます。

ネットマーケの主役はストーリーに

一気に視点が変わりますが、ネット時代にないがしろにされがちで、でも非常に重要なのが、「ストーリー」ではないでしょうか。

ここでいうストーリーとは、商品が作られた背景、顧客がなぜ購入したのかの理由、担当者の思い入れ、どのように製品が使われているのかのシーンなど、客観的でもなく、論理的でもない物語を指しています。

広告や販売ページで価格やメリットを訴求することは悪くありません。ユーザーが知りたがる客観的な情報を適切に提示しておき、さらにユーザビリティを向上しておくことは重要でしょう。

でも、マーケティングメッセージを受け取る相手は、人間なのです。そこには必ず心の琴線があり、人間の心の動きが感じられるメッセージには「へー」「おっ?」と反応します。それがストーリーなのです。

前述の「主役はデータ」は、突き詰めればどんどんドライな方向にいきますが、それ一辺倒になるのではなく、「人間」が介在していることが見える「ストーリー」を併せもつことで、もっとマーケティングは良い方向に行くことでしょう。

3点、どれも根拠となるデータや具体的に何をどうすればいいのかを示せていませんが、いかがでしょうか。あなたの考える「ネットマーケティングの主役」がほかにもありましたら、ぜひコメントなどで教えてくださいませ。

◇◇◇

2008年7月に開始し、掲載間隔を変更したり掲載媒体を増やしたりしながら続けてきたこの各誌編集長連動コラムですが、2010年3月分の今回が最終回となります。

また、別の形でこういった企画ができればと思っておりますが、しばらくは各誌のサイトでそれぞれのコンテンツをご覧くださいませ。

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