企業ホームページ運営の心得
ネット通販とは“さびたつるぎ”。通販をはじめる前の一歩

ネット通販は手放しで儲かりません。ネット通販成功はノウハウや地道な努力に支えられています
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百伍十九

拡大するネット通販……だが

2009年の通販販売市場は4兆円超に達すると報じられました(富士経済)。冷え込む景気もなんのその、EC市場は着実に裾野を広げています。そんな時代背景から「ツイッター」と同じぐらい多い相談が「ネット通販」についてです。「売れるモノはなんでも売る」のは「商売人」として正しい姿勢で、販売チャンネルが増えることには大賛成です……が、まずネット通販の「現状」をレクチャーするのはホームページ屋の「説明責任(アカウンタビリティ)」。

儲からないこともあります

ビジネスには「勝ち組」と「負け組」があり、ネット通販もこの摂理から逃れることはできません。ところがネット通販未経験者は、振れば小判がでてくる「打ち出の小槌」のように安易に「儲かる」と考えている人が多く、儲かるという「前提条件」の書き換えからはじめます。

ある、ECコンサルタントの告白

次に大企業や著名企業と同じ土俵で戦うことになると伝えます。たとえば、セブン&アイ・ホールディングスは傘下のイトーヨーカドーの「ネットスーパー」に止まらず、ネット通販事業に本格参入を表明し、2012年度には1,000億円を売り上げると目標を打ち出しています。さらに「ユニクロ」の通販事業の年商は2009年8月期で約188億円。つまり、通販市場を押し上げているのはインターネット黎明期のような「中小企業の成功例」ではないのです。また「アマゾン」は2010年3月31日までの期間限定で「送料完全無料」としており、中小企業の資本力で真正面から立ち向かうことは無謀です。

さらにネットショッピングモールへの出店については、あるモールの元営業マンの言葉を紹介します。

正直な話、ひいきはあります

モール内で多くの広告費を使う企業と、そうでない店舗の扱いが異なると元営業マンはそっと教えてくれました。しかし、これは当然のこと。広告はモールの重要な収益源で、お得意様をひいきするのは商売の世界では常識です。モールとは「場所の提供」の契約を交わしているに過ぎず、「広告費」をだせる金持ちに有利な世界はリアルと同じだと説明します。

オチこぼれたる由縁は

一般的にモール側は「店舗運営」のノウハウを提供し、質問があれば適時答えるものですが、ずぶの素人は運営を始めて途方に暮れます。

なにから聞いていいかわからない

なにをどう質問してよいかわからずに口を閉ざします。モールの「相談員」としても、質問されなければショップの抱える課題や問題がわかりませんし、結果的に放置となるのは、ビジネスの世界は「できない子供に合わせる」という考えがないからです。さらにモールの場合、出店しているだけでも「ぼちぼち」は売れるので、自分が「負け組」だと気がつかないことも問題です。失敗と気づかない限り次のステップへ進めません。

もちろん、モールにもメリットはあります。しかし、モールに「出店するだけで儲かる」時代は過ぎました。もし手放しで儲かるのなら日本の景気などとっくの昔に回復しているはずで、モールで生き残るには資金力に加えて相応の努力が必要と結びます。

はなし半分という現実

成功例は疑えと伝え、「説明責任」で締めくくります。

ある金属加工業がネット通販で「成功」したと地元で話題になりました。これまでBtoBの製造販売を行っていましたが、不景気から売り上げが低迷しています。そこで技術を活かした「民生品」を製造し、ネットで販売したところ「売れた」というのです。早速いくら儲かったのかと、数字を尋ねます。

数字を尋ねた理由は前回のツイッターに関するコラムのとおり。すると「2年間で1,000本売れた」とのこと。売価は1本1,000円。総売上は100万円。単年度は50万円。月平均4万円ちょっとの売り上げです。僅かでも売り上げを立てる姿勢はすばらしいのですが、この数字で「ネット通販の成功」と頷くことに抵抗がありますし、「金属加工」という技術があったればこそで、すべての業種にも当てはまるものではありません。

往々にして「社長」が語る成功例は話が大きくなります。あるいは、社員の犠牲は伏せて「結果」だけ語ることも少なくありません。

イヤな話をする理由

私が「説明責任」からはじめるのは、2つの理由からです。ネット通販への取り組みを検討する企業の多くは「業績」への不安を抱えています。特に中小企業の場合、少ない予算と人員をやりくりしてチャレンジしますが、甘い幻想の末に待っているのは売れないという絶望です。命令を下した社長は社員の能力とやる気を疑い、社員は社長の無知と経営手腕を嘲笑うようになります。あらかじめ「厳しい現実」を示すことで、売れなかった時の不協和音の発生を最小限に抑える狙いが1つです。反対に上手くいったらこんな心配など笑い話で、私が「嘘つき」と罵られればすむだけのことです。

そしてもう1つの理由は「虫除け」です。ネット通販は必ず儲かると盲信するタイプは、私のような業者に丸投げする傾向があり、その「依存心」や「依頼心」の反動から失敗はすべて押しつけられ、「トラブル」となるのは過去の経験則から明らかです。このタイプは耳障りな情報を嫌い遠ざかる習性をもつので「厳しい現実」で追い払います。

イヤな話をしない理由

成功例を語る「ホームページ屋」をよく見聞きします。ホームページを開設すれば見積もり依頼のメールが舞い込み、ネット通販からは24時間注文が殺到すると煽ります。ホームページ制作への自信の表れと見ることもでき、すべてを否定はしません。しかし、私が営業マン時代にクライアントと交わした会話を思い出してしまいます。

なんか、美味しい儲け話ない?
あったら、誰にも教えずに私がやります

ネット通販は「打ち出の小槌」ではなくドラクエに登場する「さびたつるぎ」。鍛冶屋が磨いてようやく使い物になります。使い方をマスターすれば大企業(ラスボス)にだって負けませんが、スライムを倒して経験値を上げるような地味な作業も必要なのです。

今回のポイント

ネット通販に裏技はない。

「ネガティブ」な話しに真実が隠れている。

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