これからのネット社会で最も重要なのは信頼 - Hondaのウェッブ戦略2010

WAIS JAPAN 2009の基調講演、Hondaのウェッブ戦略2010の様子を伝える

[基調講演1 Hondaのウェッブ戦略2010]
メディアは買うから生成する時代に
ホームページでコミュニケーションを最適化

2009年10月2日、Webサイト活用&マーケティングに関するイベント「Web担当者Forumミーティング WAIS JAPAN 2009」 が東京で開催された。今回は「今だからまるごと全部成功事例」をテーマに、成功事例に特化して講演やセミナーが行われた。ここでは、当日の基調講演1の様子、本田技研工業株式会社 渡辺氏の講演をお伝えする。

自社サイトをメディア化してコミュニケーションコストを削減

写真:渡辺 春樹氏
本田技研工業株式会社
営業開発室マーケティング戦略BL
渡辺 春樹氏

はじめに基調講演の壇上に立ったのは、本田技研工業の渡辺氏。渡辺氏は、まず前提として、2010年までにホンダがWebサイトで取り組もうとしていることはなにか、「Webサイトの目的は何かというと、一生懸命作れば商品が売れるとかはまったく考えていません。あくまで、コミュニケーションコストの削減だけしか考えていない」と語った。

目標を立てたのは96年で、当時からWebの世界が訪れ、顧客とのコミュニケーション方法が変わり、宣伝・広報・営業も変わる必要があると考えていたという渡辺氏。メーカーと顧客をつなぐコミュニケーションには、宣伝、PR、営業という3つのメディアがあったが、これらが大きく変わり、顧客と直接話すチャンスを作れるというのが当時の考え方で、そのために企業サイトを作ったという。それまで宣伝には毎年数億円かけていたというが、そのコストをWebサイトに使い、自社サイトで50%ぐらいの情報が取れれば、その他のコミュニケーションコストを半分まで削るというのが基本的なモデルだという。

また、渡辺氏はプロセスごとのメディアの意味と価値を考えることが重要だと指摘。車を購入する場合では、購入に無関心な「通常期」、購入を検討する「検討初期」から「検討後期」、最後に「購入」という4つプロセスがあり、ステージごとにメディアの重要性は異なる。ホンダのWeb戦略では、コスト削減を目的としているので、どのプロセスにおいても、テレビ、新聞、雑誌といったオールドメディアより自社サイトを強くしていくといい、すでに検討段階では目標は達成していることを話した。

Webサイトをハブにしてマスメディアの効果を測定

プロセスごとにメディアの効果を考えることが、真のメディアミックスには必要であるとする渡辺氏。そのためには、1つ1つのメディア効果をリアルタイムで測らなくてはいけないが、ネットの普及によりそれが可能になったと、いくつかの実例を解説。

たとえば、A車とミニバンB車において、マスメディアへの投資金額との相関関係を見たところ、リアルメディアでのキャンペーンがサイト訪問者数に影響することが明確であるとし、リアルの広告効果がわからないという時代ではないとした。

また、日ごとにメディアに宣伝を出すことで、効果を切り分けてさまざまなメディアの効果をリアルタイムに見ることもできるという。ある耕運機の宣伝において、地方テレビ、全国テレビ、東武線のOOH、西武線のOOHなどの宣伝を日ごとに行ったところ、西武線で宣伝したときのサイト訪問者数が多く、効果の違いとともに、製品に興味のある人がその地域に多いことが明らかになった。

宣伝だけでなく、日々のアクセスを見ていくことで、パブリシティの効果がどのように広がり、どのくらいの人が来たかも明確にできる。ホンダのサイト「ホンダドッグ」のコラムが新聞に掲載されたときには、そこから新聞社サイト、2ちゃんねるへと広がりサイトへのアクセスが急増し、2億円相当の広告効果があったという。こうした効果が得られたのも、各メディアのハブとなる自社サイトがあったからこそである。

双方向で大切なのは信頼 ――2020年への戦略とは

13年間、ほぼ目標通りに推移してきたという渡辺氏は、最後に2020年の企業サイトへの提言を語った。そのなかで、渡辺氏は未来のウェブマスターに必要な役割として、情報の品質を管理する「品質管理」の役割、会社にとって良い情報の出し方を設計する「編集長」の役割、顧客にすぐに対応する「お客様相談室」、顧客情報を改善やリスク回避に役立てる「マーケティング研究室」があると話す。「これからのネット社会で最も重要なのは信頼だと思います。お客様を適切にもてなさないと、Webサイトはメディアとして確立しない。普通のメディアもそうですが、自社サイトは最も大事。信頼を失うと誰も居なくなります」(渡辺氏)

ブランドの源泉は信頼にあるという渡辺氏は、最後に、すべてに対して完全に応えることは不可能でも、誠意をもってベストエフォートで対応する体制を作らなければ、企業は信頼を確立できないだろうと語った。

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