これからの企業Web IBMが提唱する企業Webクオリティー【WAIS 2009レポート】

Webサイトの品質・リスク管理の重要性とその方法

[特別講演レポート]
これからの企業Web
IBMが提唱する企業Webクオリティー

数百から数万ページにも上る大企業のWebサイトでは今、品質管理やリスク管理の難しさが大きな問題になっている。特別講演「これからの企業Web~IBMが提唱する企業Webクオリティー」では、Webサイトの品質・リスク管理の重要性とその方法が主題となった。

さまざまなリスクに浸蝕され
はじめている大手企業Webサイト

バーチャルコミュニケーションズ株式会社 島田氏
バーチャルコミュニケーションズ株式会社
代表取締役社長
島田憲治氏

2階ホールでは、WAIS JAPANのゴールドスポンサーによる2つの特別講演が行われた。14時から実施されたのが、バーチャルコミュニケーションズ株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社による「これからの企業Web~IBMが提唱する企業Webクオリティー」だ。

この講演ではまず、バーチャルコミュニケーションズ代表取締役の島田憲治氏が壇上に上り、大規模エンタープライズサイトに潜むさまざまなリスクを解説。そうしたリスクを洗い出し、Webサイトの品質を向上を図る「IBM Rational Policy Tester」(以下Policy Tester)の導入事例を紹介した。

バーチャルコミュニケーションズは、1992年に設立され、日本や中国で「Webマーケティング」、「Webクリエイティブ」、「Webテクノロジー」の3事業を展開。後述するみずほフィナンシャルグループのほか、大手電機メーカー、大手飲料メーカー、大手コンビニチェーンなど多岐の業界にわたって、Webビジネスの価値最大化をサポートしている。

同社の島田氏は、現在の大手企業Webサイトを取り巻く状況を、次のように説明する。まず「外部環境」としては、大手企業のWebサイトは数十万人のユーザーが利用しており、売上や企業ブランドに大きなインパクトを与える存在となっている。一方で「内部環境」は、Webサイトは数百を超えて数千~数万以上のページで構成されており、数十人以上の社員、多数のデザイン・制作ベンダーとその社員が、日常的にランダムにページを追加・変更している状況にある。

その結果、大手企業のWebサイトは統一的な管理が困難になっており、コンプライアンスやブランド価値毀損、信用逸失、機会損失といったさまざまなリスクに浸蝕されはじめているのが実状だという。大手企業Webサイトでは新たなコンテンツが日々追加されており、「従来の担当者・制作ベンダー任せの品質管理、リスク管理は限界に達している」と島田氏は強調する。

そこで今、世界の大手企業で導入が進んでいるのが、Policy Testerだ。島田氏によればPolicy Testerとは、「企業マネジメントやWebチームを守るための高性能CTスキャン」の役割を果たすツール。Webサイトの全ページを"スキャン"し、どんな問題がいくつ潜んでいるか、どの問題を優先的に解決すべきかを示してくれる。これにより、Webサイトへの統制(内部統制)を包括的に実現し、品質とリスクを統一的に管理できるようになるという。

成功事例として、みずほフィナンシャルグループのケースを紹介。同社ではPolicy Testerを導入した結果、Webサイトに潜んでいた多くの問題点をほぼすべて解決することに成功。その後も新たな問題点をほとんど発生させずにWebサイトを運用しているという。そしてPolicy Testerの導入メリットとして、(1)ユーザーに直接影響を与える問題から順に優先順位を付けて対応することで、少人数体制のまま最小限のコストで改善できる、(2)数多くのWeb管理業務を統合整理でき、本来の業務に集中可能となる、(3)ブランディングの基礎となるWeb品質の向上と継続的な維持が実現できる、(4) 企業内においてWebサイト品質を維持する業務の重要性が認知される、という4点が示された。

「米国ではデルやサウスウエスト航空のように、売上の大半をWebサイトが稼ぐケースも珍しくない。今後、Webサイトは企業を代表する自社メディア及び基幹店として、提供責任と品質が求められる時代になっていく」と島田氏は講演を締めくくった。

図 企業Webクオリティーへの施策

Webサイトの品質・リスク管理
は経営者のリスクヘッジにもなる

日本アイ・ビー・エム株式会社 雨宮氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業 ラショナル事業部
Watchfire 製品担当
雨宮吉秀氏

島田氏に続いて、日本アイ・ビー・エム株式会社SW事業Rational事業部の雨宮吉秀氏が登壇。Policy Testerの詳細な機能が紹介された。

Policy Testerは膨大な企業Webサイトを自動で検査し、統一的なビュー(ダッシュボード)により時系列で状況を把握することができる。検査項目は企業のWebサイト運営方針に即してカスタマイズ可能で、ユーザーの役割や権限に応じてビューを変えることができる。なお言語は日本語、英語をはじめ8カ国語に対応している。

導入形態としては、通常のライセンス購入方式とSaaS方式の2種類が用意されている。前者は、開発中の未公開ページのチェックができるなど運用のフレキシビリティが高く、長期利用や大規模サイトでコストメリットがある。一方、後者は、導入・運用が容易ですぐに検査結果が得られること、それほど規模の大きくないWebサイトであればコストメリットが大きいこと、いつでも専門家の助言が得られることなどが特長だ。

「北米ではプライバシー保護違反やアクセシビリティ欠如で多額の賠償金を請求されるケースが多発している。経営者のリスクヘッジとしても、Policy Testorは役立つ」
雨宮氏は最後にこのように延べ、壇上を後にした。

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