ビジネス目的別企業Webサイト成功の法則
地域社会×企業サイト―企業CSRサイトを有効に機能させるための法則

CSR活動をWebサイトでどのように伝えるべきか具体例を示していきます。

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ビジネス目的別企業Webサイト成功の法則

この記事では、企業のWebサイトが持つ役割を、対象とするユーザー(ステークホルダー)とサイトのビジネス目標の2軸に分け、それぞれのケースに合った事例と対策を具体的に紹介していきます。各記事の最後には、チートシート形式としてまとめたPDFファイルを掲載しています。全17パターンの業務に直結する実践的なノウハウの中から、あなたのサイトに合ったものをぜひ活用してください。

この記事の進め方
背景 背景 テーマごとのWebサイトの現状を説明
課題 課題 そのテーマに関して、Web担当者の多くが抱える問題を提起
サイト構築のポイント ポイント データ全体を通しての重要ポイントを解説
コンテンツの具体例 コンテンツ 数ある具体的なコンテンツの例を提示
リスクと解決策 リスク 陥りやすい間違いやそれらをうまく回避するためのヒントなど
サイトの要素 要素 サイトに必要な要素の洗い出し
サイト構造図 構造図 サイトの構造図や位置づけなど
成果の判定指標 判定指標 サイトの成果を判定するために確認する指標
補足事項 補足事項 その他補足事項

対象ユーザーとサイトの目的ごとにまとめた全17パターンの記事一覧はこちらからどうぞ。

地域社会×企業サイト―企業の社会的責任を果たすための法則

これまでの記事では、企業活動のうち消費者向けや法人向け、サプライヤー向けといったビジネス視点でのWebサイトが果たす役割をご紹介してきました。今回と次回の2回は、CSR活動における、企業のコミュニケーションチャネルとしてのWebサイトについてお話ししたいと思います。第1回は「CSR」についてお伝えしていきます。

背景企業の社会的責任とは

「CSR」という言葉は皆さんも聞いたことがあるでしょう。CSRサイトやCSRコンテンツなど、Webサイト制作の現場でもしばしばテーマにあがります。CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)とは、まだ明確な定義としては定められておらず、国や企業によって違いはあるもののおおむね以下のように認識されています。

企業が自社の利益のみを追求するだけではなく、すべてのステークホルダー(消費者や投資家に加え社会全体などの利害関係者)を視野に経済・環境・社会など幅広い分野での社会全体のニーズの変化をとらえ、それらをいち早く価値創造や市場創造に結び付けることによって、企業の競争力強化や持続的発展とともに経済全体の活性化やより良い社会づくりを目指す自発的な取り組み

出典: 社団法人 経済同友会が発表した第15回企業白書『「市場の進化」と社会的責任経営』の要旨をもとに編集部で加筆している。

大企業の経営破たん・倒産、企業の不祥事がもたらす社会的な影響(失業者の増加や経済状況の急激な悪化)などを背景に、日本だけでなく世界各国でCSRに取り組む企業が増えています。ISO(国際標準化機構)での整備も始まり、今後世の中に広く定着することは間違いないでしょう。

参考: 社会的責任に関する将来の国際規格ISO 26000への参加(リンク先はPDF)

課題CSR≠イメージ向上プロモーション

企業各社の取り組み具合にも左右されることですが、WebサイトだけをみてもCSRに対する理解は企業ごとに格差があるようです。皆さんのサイトにおけるCSRコンテンツとは何でしょう? 環境に考慮していることやゴミ拾いをしていること、地域のお祭りに参加していることなどに対する紹介ページを作り、情緒的で詩情豊かな文章で飾られたエンターテイメント的な要素としてCSRコンテンツを掲載しているケースもしばしば見受けられます。これらは「CSR=イメージ向上プロモーション」という誤ったとらえ方をしていることが背景にあると思われます。

これは、われわれのような外部の制作会社の担当者も、CSRを何となく程度の理解で企画を提案してしまっていることが原因といえます。そのような誤った認識にとらわれないように、企業のWebサイト担当者として正しく理解しておく必要があります。CSRの意義を正しく理解したうえで、自社がどのような活動を行っているのかを把握し、それらの告知チャネルとして有効に機能させることが企業のWebサイトに求められているのです。

ポイント「Webサイトのユーザー」を広げて考える

Webサイトの関係者は、企業担当者も制作会社もユーザーを狭義にとらえがちです。しかし、あなたの会社のCSR活動で対象となるのはステークホルダー(あなたの企業を取り巻く人々)全体なのです。Webサイトを企業のコミュニケーションチャネルとしてみた場合、ユーザーになりえる人はそれだけ多方面にいるということです。

キノトロープコンサルティングでは、企業Webサイトリニューアルプロジェクトの冒頭でヒアリング調査を実施します。クライアント企業のビジネスを把握することと、どのようなステークホルダーがいて、どのようなコミュニケーションをしているか、そこでどのような問題があるのかということを中心に、各ステークホルダーの担当者にインタビューをします。そうすることでユーザーのニーズを総合的にとらえることができ、Webサイトの設計やコンテンツとして提供すべき事柄の優先順位を判断することが可能になります。

今、皆さんが読んでいる本特集「ビジネス目的別企業Webサイト成功の法則」も、これまで実践したヒアリングやプロジェクトをもとに、いろいろなステークホルダーごとにWebサイトが成し得られる事柄や、目指すべき方向性をまとめてきました。売り上げを上げる、マーケティングをする、サポートをする、ブランディングをする……今現在でもWebサイトが果たす役割は多岐にわたっていますが、今後CSRが企業活動として定着することを考えれば、あなたが担当するWebサイトの役割はさらなる広がりを遂げるでしょう。企業Web担当者として、これまでの狭義なユーザーにとらわれない柔軟な発想が求められるのです。

企業を取り巻くステークホルダーはおおよそ下記のように分類されます。

  • 消費者
  • 産業界
  • 従業員・労働者
  • 学術・研究分野
  • 政府・団体

CSR活動の分野・領域を知る

ISOとして制定されることで、より詳細かつ具体的な定義がなされますが、現時点ではまだまだCSRの定義は流動的です。日本総研が、2002年から毎年行っている「CSR経営動向調査」には、CSRとしての企業の取り組み分野が下記のようにあげられています。取り組みは大きく2分野にわかれ、それぞれがさらに分岐をしています。参考としてご紹介したいと思います。

  • 環境分野
    1. 環境コミュニケーション
    2. 環境マネジメント
    3. 環境パフォーマンス
    4. サプライチェーン・マネジメントの観点からの環境対策
    5. 生物多様性
    6. 事業機会としての環境問題対応
  • 社会・ガバナンス分野
    1. 企業統治
    2. 公正な経済取引
    3. 顧客に対する誠実さ
    4. 労働慣行
    5. 仕事と生活との両立支援
    6. グローバル市場への的確な対応
    7. 社会活動への積極関与
    8. 社会的課題の解消に資するビジネス

出典: 日本総研 CSR経営動向調査/2008年度

コンテンツCSRとして有効なコンテンツ

それでは、企業サイトにおけるCSRコンテンツについて、具体例をあげていきましょう。CSRとはそもそもWebサイト上だけでのことではありません。本来の企業活動において重要な取り組みについて、それらをどのようにCSRコンテンツとしてWebサイトで伝えることができるかをまとめました。

  1. 指針・考え方

    CSRに関する考え方やビジョンを説明します。抽象的な概念論ではなく、具体的な施策の背景となるポリシーについて、ステークホルダーの共感が得られることを目指します。CSRとは、企業が社会的責任を果たすことで、その企業と社会全体が「持続可能」となることが本質的な狙いです。そのため、ここで説明する事柄も、今現在~将来・未来社会について述べるべきでしょう。遠くを見据えたうえで、振り返って現時点~直近のアクションの必然性につなげるのです。

  2. 具体的な実施事項・プラン・体制

    環境保護活動や社会貢献など、あなたの会社が行っている取り組みについてまとめます。ポイントは下記の通りです。

    • なるべく平易なわかりやすい表現・用語でまとめる
    • なぜ、それらの取り組みを実施するのかを提示する(必然性)
    • その取り組みがステークホルダーにどのような関係があるのかを説明する(メリットや効果、影響)
    • 具体的なアクションプランやスケジュール、予定を示す
    • 実施体制を示す

    それぞれの実施事項に応じて内容やボリュームは異なると思いますが、上記のポイントに配慮した説明をすべきです。特に企業統治(内部統制やコンプライアンスなど)に関する取り組みの場合は、どのような体制で臨んでいるか、チェックや監査はしっかり整備されているかを図式化して説明できるといいでしょう。

  3. 報告と成果

    前項の実施事項について行った結果を説明します。目標数値などを掲げた場合は成果が達成されたかどうかの説明も必要です。CSR活動報告として印刷物を発行する企業も多いですが、単に印刷物をPDFに変換したものをダウンロードできるだけではいまいちです。しっかりとしたダイジェストやサマリーをまとめて、大量のPDFをみなくてもユーザーが容易に把握できるようなコンテンツに仕上げましょう。

  4. 外部からの評価

    自社のCSRの取り組みについて、社外からどのように評価されているかを説明します。企業の格付けや銘柄としての優良性を評価する機関などが、CSRの社外評価機関といえるでしょう。CSR活動の評価は、企業の社会的業績として多くの人々によって検討されるため、株価に反映されやすい点だといえます。商品の欠陥などの不祥事やスキャンダルなどで、社会的責任を果たしていないと判断された企業では、売り上げや株価が落ちる恐れもあります。

  5. 双方向であること

    CSR活動においてWebサイトが果たすべき役割は説明責任を果たすことです。そのため、企業が一方的に掲載した情報が本当にユーザー伝わっているのか、わかりやすいのかを検証することが必要です。いくつかの企業のCSRコンテンツでは、Webサイトを訪れたユーザーに対し「ここに書かれている内容が理解できましたか?」「実際の取り組みと説明内容に差異はありませんか?」といったアンケートを実施し、アンケート結果を開示するといった双方向の機能を展開しています。ユーザーからの意見を取り入れて説明内容を改善していく、これこそCSR活動におけるコミュニケーションチャネルとしてWebサイトが果たすべき役割だといえるでしょう。

リスクCSRコンテンツの失敗がもたらす悲劇

上記にあげたような有効なコンテンツを用意すればすべてうまくいくかというと、そんなに簡単ではありません。必ずどこかに落とし穴が潜んでいるものです。Web担当者が陥りやすい問題点を挙げてみました。個別に詳しくみていきましょう。

社内の他部署と連携を

CSR担当部署が専門の部署として存在する企業もあれば、複数の部署に担当が分かれている企業もあります。後者は、企業統治に関する施策は専門の部署があるものの、環境保護活動や社会貢献については総務部、労務については人事部、取引の公正・公明性については購買部といったように細かく分かれているケースが大多数のようです。

企業のCSR活動を説明するコンテンツをWebサイトで制作・維持していくには、これら多くの部署と連携する必要があります。あなたの企業のWebサイトが、これからCSRコンテンツを作成するというときには、ぜひ社内のヒアリングと現状の把握から進めてください。会社が実施しているCSRの取り組みが誤って伝えられたり、掲載されていなかったりということがないように注意しましょう。Webサイトでコンテンツ化することで、顧客サポートなど複数の部署にまたがる事柄が社内横断の施策としてまとまっていった成功例も存在します。

更新を前提にした拡張性のある設計を

IRコンテンツほどではないですが、CSRコンテンツについても更新は必要です。コンテンツの例であげた「指針・考え方」「実施事項・プラン・体制」「報告と成果」などは、少なくとも年度ごとの更新が必要になります。ただし、CSRコンテンツの場合はIRコンテンツとは異なり、すべてのコンテンツが年度ごとにアーカイブ化されるのではなく、それぞれの施策の中で経年とともに施策内容の変化や成果の有無について説明するのが望ましいです。また、CSR活動自体が過渡期にあることから、現在実施していない分野についての取り組みが将来的に追加される場合も想定されます。つまり、CSRコンテンツは更新とコンテンツ拡充の両方が成り立つように拡張性をもって設計することが必要だといえます。

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