PR 2.0の現場から
B2B企業が認知と信頼を得るためのネット情報発信術/アイテックジャパンの場合

OEM提供が中心のB2B企業がどうやって情報発信していったのか。

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PR 2.0の現場から
ネットPR時代を生きる広報&マーケティングパーソンへ

多くの企業ウェブサイトのオーナーが広報部であるというのは、ご存知のとおりです。

従来の広報の仕事に新しくサイトの運営が増えたと同時に、インターネット時代のPR活動としてマスメディアが対象の広報活動からインターネットを通じたあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションへの変化にも対応しなければなりません。

広報のプロフェッショナルがウェブサイトのオーナーのプロフェッショナルになるためには、大きな意識改革が必要です。

この連載では、試行錯誤の中、成功のルールを発見しつつある企業の広報担当者から、成功のルールを導き出すまでのプロセスやノウハウをレポートしてきます。

神原 弥奈子(株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役社長)

アイテックジャパンホームページ
株式会社アイテックジャパン
http://itec.ad.jp/

インターネットの登場で、あらゆる企業が自社メディアを持つようになりました。この状況は、積極的にマスマーケティングを展開してきたB2C企業だけでなく、B2B企業においても同じです。

今回ご紹介するアイテックジャパンは、携帯向け開発において強い技術力を持つにもかかわらず、直接販売ではなくOEM提供をしているため、その知名度はほとんどありませんでした。そんなアイテックジャパンが、ニュース発信することでネット上での存在感はもちろん、ビジネスの拡大を実現してきました。今回は、B2B企業の情報発信戦略について、アイテックジャパンの代表取締役である飯田さんにお話を聞きました。

ホームページはお客さまを連れてきてくれない

飯田 幸彦 氏
飯田 幸彦 氏
株式会社アイテックジャパン
代表取締役 兼 CEO

モバイル向けCMSの「KAM(携帯アドマーケティング)」を主力商品としてASP(SaaS)で提供しているアイテックジャパンの創業は1997年。10年以上に渡る社歴の中、どうやってビジネスを継続、拡大していったのでしょうか?

業務としては開発があり、さらにSaaSですからシステムの管理とデータセンターの運用もしています。CMSやSaaSというイメージが強いのですが、実は弊社はサービスを作っているだけで、システムを利用する企業さんに直接販売はしていないのです。開発したサービスはOEM提供し、OEM先から利用企業さんに販売してもらっています。すべてがB2Bです」(飯田氏)

創業当時はどうやってビジネスを展開しようと考えていたのでしょうか?

最初に開発したのはグループウェアで、ユーザーは2社だけでした。そのあとは、レンタルサーバーの事業もしながら、細々とやっていました。現在の主力商品であるKAMも、開発当初はなかなか売れませんでした。最初はWebサイトさえ用意していれば人はくると思っていたんですね(笑)。当時はSEOなんかなかったですが、検索して来てくれると思っていた。世界中から問い合わせがあると思っていたのですが、1年くらいは全然問い合わせがなくて、すごく不安でした」(飯田氏)

現在のOEMパートナーも、当時のOEM先が展示会に出展した際に自社の紹介をさせてもらったのがきっかけとなったそうで、「イベントに出展すれば、こんなに簡単にお客さんがきまるんだ、と思いました」という飯田さん。実際には「技術力をコアにしてやっていけばいいんだ、という方向性は見えていたにもかかわらず、どうやって成長していけばいいのかがわからなくなった」(飯田氏)と打ち明けます。

唯一のマーケティング活動

相手がベンチャー企業の場合、取引先を検討している大企業は、先方がどんな会社か知るためにまず訪問をするケースが多いようです。当時のアイテックジャパンのオフィスは銀座の雑居ビル。問い合わせがあっても、オフィスに来てもらったあとは連絡が途絶えるということが何度かあり、「アイテックジャパンは変な会社ではない、と伝えたかった」(飯田氏)といいます。

そんなときに、偶然知ったのがニュースリリースという考え方でした。セミナーに参加してみて「こんなことがニュースになるんだ」(飯田氏)と気付いたといいます。

みんなが“すごいね”と言うことしかニュースにならないと思っていたのに、企業の事例のニュースリリースの話を聞いて、“こんな内容でも紹介してもらえるチャンスもあるんだ”と思い、とりあえず1年だけ、やってみようとチャレンジした」(飯田氏)

“ニュースリリースで見ました”という問い合わせがあったときは、うれしかった」という飯田さんですが、一方で、開発元が認知されるということをOEM先の方が嫌がったりしないのでしょうか?

黒子の我々がニュースを出すことでOEM先が困ることのないように、直接販売はしていませんということも明記しました。実際にお問い合わせいただいたお客さまをOEM先に紹介するので、OEM先にも良い影響があったのです」(飯田氏)

自社で情報発信するときにも、パートナー企業への配慮を欠かさないというアイテックジャパン。ニュースリリースの活用で、既存のOEMパートナーとの信頼関係を深めることもできました。

契約が、最高のコンバージョン

担当者の方が持つだろうと思われる不安を取り除くのに、ニュースが役立っている」という飯田さん。積極的にニュースリリースで情報発信をすることで、問い合わせが増えたそうですが、企業からの問い合わせは、どういう形が多いのでしょうか?

ほとんどがWebサイトの、お問い合わせフォームからです。大手通信会社さんも、ニュースをみてWebサイトにきていただいたことから、契約につながりました」(飯田氏)

問い合わせをしてきた人に聞くと、事前に検索エンジンで会社に関する情報を検索していることがほとんどだとのこと。そこに表示されるアイテックジャパンのニュースリリースが、企業としての信頼性をアピールしていたというわけです。

アイテックジャパンのニュースリリースは、開発関連のもの以外に、会社のセキュリティに関する情報も多くみられます。ISMS (情報セキュリティマネジメントシステム)や総務省が推奨する「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」の認定取得のお知らせだけではなく、プライバシーマーク更新のリリースもあります。取得したときだけでなく、更新したというリリースを見れば、ちゃんと運用ができているということをアピールすることになります。

一方で飯田さんは、「価値のないものを情報発信することによって、スパムみたいなものになるのはいやですね」とおっしゃいます。情報の質についてもしっかりとしたこだわりを持って発信するのが、アイテックジャパン流の情報発信です。

ニュースリリースを始める以前と以後では、問い合わせの数はどのくらい違うのでしょうかと聞いてみると、「昔はほとんどなかったので、比較しようがありません」(飯田氏)とのこと。ゼロから始めたニュースリリースを活用したマーケティング。その成果は、「契約が最高のコンバージョン」だとおっしゃるのも納得です。

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