プレスリリース・ニュースリリースの書き方&活用基礎講座

3.リード見出しに沿って重要事項を先出しに

3.リード
見出しに沿って重要事項を先出しに

オリジナルのリード

株式会社インディビジョン(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:板倉 広高)は、求職者向けに特化した企業情報検索サイト「COPO」の運営を2009年1月19日に開始いたします。厚生労働省が発表した11月の有効求人倍率は、2008年10月から0.04ポイント悪化して0.76倍となり、12ヶ月連続で1倍を割り込みました。インディビジョンでは、現在運営する転職・派遣・アルバイトサイトのほか、「COPO」のオープンを通じて、雇用情勢の厳しさが増す中での求職活動を積極的に支援していきます。

続いて、リードの最初の文の「株式会社インディビジョン(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:板倉 広高)は、求職者向けに特化した企業情報検索サイト『COPO』の運営を2009 年1月19日に開始いたします」についてみていきます。まず「株式会社インディビジョン(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:板倉 広高)」の部分は、会社名の前に会社の業務を一言で表す言葉を入れる必要があります(連載の4回目参照)。このままだとリリースの受け手にとって「株式会社インディビジョン」がどんな会社なのかがわかりません。本社名の後に書かれている本社所在地や代表者の氏名以上に、会社の一言説明は重要です。

オリジナルのリリースの後半の「当該会社の概要」に書かれている「インターネットを活用した情報サイトの開発および運営」の文を多少縮めて「情報サイト開発・運営の株式会社インディビジョン」とすれば、読み手がすぐにわかるうえ、記事になる場合にも、この「情報サイト開発・運営の株式会社インディビジョン」のフレーズをそのまま使ってもらえるでしょう。

本社所在地は「神奈川県横浜市」となっていますが、政令指定都市の場合は区までを記載します。さらに県庁所在地の場合、都道府県名は不要です。「当該会社の概要」によると西区なので、ここは「本社:横浜市西区」とします(連載の4回目参照)。代表者名は問題ありません。

その次の「求職者向けに特化した企業情報検索サイト「COPO」の運営を2009年1月19日に開始いたします。」も、基本的にはそのままでいいでしょう。ただ、最後の「開始いたします」が丁寧過ぎる表現なので、自然な言葉として「開始します」にします(連載の3回目参照)。これらを合わせると、リードの最初の文は次のようになります。

添削後のリード(1文目)

情報サイト開発・運営の株式会社インディビジョン(本社:横浜市西区、代表取締役社長:板倉広高)は、求職者向けに特化した企業情報検索サイト「COPO」の運営を2009年1 月19日に開始します。

続く、2番目の文には注意が必要です。「厚生労働省が発表した11月の有効求人倍率は、2008年10月から0.04ポイント悪化して0.76倍となり、12ヶ月連続で1倍を割り込みました。」となっています。雇用情勢が悪化している現状を、公的データを使って明示しているのですが、リリースの読み手が最も知りたい情報は新たなサービス「COPO」の特徴です。まずは、見出しの2行目にある「6万社を超える企業の給与・福利厚生・財務情報等を一括検索」に関する内容について詳しく書くほうがいいでしょう。雇用情勢悪化に関する説明の重要度は、添削後の見出しでも3行目に位置しているように、「COPO」の特徴説明の次になります。

最後に、見出しをベースにして少し文章を付け加え「上場・未上場合わせて6万社以上」「給与・福利厚生・財務情報」「一括検索」という特徴を組み合わせます。次のようなパターンはいかがでしょうか。

添削後のリード(2文目)

COPOは、上場・未上場合わせて6万社以上の給与・福利厚生・財務情報をさまざまな観点から一括検索できることが特長です。

そして、その次に雇用情勢悪化の話になります。しかし、ここで元のリリースにあるような詳細なデータを示す必要はなく、リードでは開始するサービスがどんな社会的な意義を持っているかが伝わればいいため、データは本文の後半に書くことにします。元のリードの最後に書かれている文章をほぼそのまま活かしながら、見出しとはやや違う表現を使います。

添削後のリード(3文目)

厳しさを増す雇用情勢の中、COPOのオープンによって求職活動を積極的に支援していきます。

ここまでの結果、リードをまとめると次のようになります。

添削後のリード(全体)

情報サイト開発・運営の株式会社インディビジョン(本社:横浜市西区、代表取締役社長:板倉広高)は、求職者向けに特化した企業情報検索サイト「COPO」の運営を2009年1 月19日に開始します。COPOは、上場・未上場合わせて6万社以上の給与・福利厚生・財務情報をさまざまな観点から一括検索できることが特長です。厳しさを増す雇用情勢の中、COPOのオープンによって求職活動を積極的に支援していきます。

これで、見出しで述べた内容と完全に対応したわかりやすいリードになるのではないでしょうか。読み手としては、このリリースが伝えたいニュースは、「インディビジョンが求職者向けに特化した企業情報検索サイトをオープンすることで、6万社以上の給与・福利厚生・財務情報を一括検索できる特長がある。それは雇用情勢が悪化する中で、意義のあるサービス」だと瞬時に理解できます。記者が記事にする場合も、このリードの流れを踏襲できます。たとえば新聞記事風のリードは次のようになります。

今回のリリースを新聞記事で取り上げた場合のリード例

情報サイト開発・運営のインディビジョンは、6万社以上の給与・福利厚生・財務情報が一括検索できる求職者向け企業情報検索サイト「COPO」を1月19日開設する、と1月16日発表した。雇用情勢が悪化する中、求職活動を積極的に支援するという。

ニュース記事の書き方は各媒体によってそれぞれですが、リリースのリード部分がしっかりしてさえいれば、記事の方向性は明確になります。

4.本文
重要事項を文章としてしっかりと読ませる

オリジナルの本文

「COPO」では、上場企業が開示している有価証券報告書や東洋経済新報社等から提供を受けた企業データを基に、上場・未上場合わせて6万社を超える企業の情報が一括検索できます。各企業の給与・福利厚生・財務情報等を様々な観点から詳細に検索できるほか、求職者が最も気になる各企業の口コミ情報や求人情報を掲載することで、求職者にとってより利便性の高い情報を提供いたします。

【「COPO」のURL】
・http://co-po.jp/

【「COPO」の主なコンテンツ】
・給与情報
 └ 各企業の平均年収や有給取得状況を閲覧できます。
・福利厚生情報
 └ 各企業の福利厚生制度概要が閲覧できます。
・財務情報
 └ 各企業の財務情報・収支状況をグラフによって閲覧できます。
・口コミ情報
 └ 一般ユーザーの方から寄せられた各企業の「社内レポート」「面接レポート」
「給与レポート」の閲覧と投稿を行うことができます。
・求人情報
 └ インディビジョンが運営する求人サイトの求人情報が閲覧できます。

次にリリース本文です。手直ししたリードに続く本文としては、元のリリースの書き出しで問題ないでしょう。リリース本文は「『COPO』では、上場企業が開示している有価証券報告書や~」と、COPOのサービスの詳しい説明から始まっています。見出しでリリースのポイントを短い言葉で言い切り、リードではリリースで伝えるべき内容の大まかな説明をし、本文ではリードに書いた点に関して、重要な項目から補足説明をしていくというのがリリース構成の原則です(連載の3回目参照)。その意味で、開始するサービスについての説明から本文を始めるのは基本を押さえた正しい方法です。ただ、最後の「情報を提供いたします」は「情報を提供します」に直します。

サンプルリリースの本文の2つの文は、このままでいいでしょう。ただし、本文はこの2つの文=1段落しかなく、その後には、URLとコンテンツの箇条書きしかありません。これでは、読み手は非常に物足りなく感じます。箇条書きはチラシやプレゼンテーション資料を連想させてしまいます。確かに特徴として示している順番通り「給与・福利厚生・財務情報」について項目を立てて一言ずつ説明しているのですが、これを文章でとして読みたいのです(連載の6回目参照)。給与情報はこんな内容、福利厚生情報はこのような情報が見られる、と文章として説明するといいでしょう。

添削後の本文(2段落目の前半部分)

「給与情報」は、各企業の平均年収や有給取得状況を提供。「福利厚生情報」では各企業の福利厚生制度の概要が閲覧できます。「財務情報」として各企業の財務情報・収支状況をグラフで見ることも可能です。

ここまでが、見出しやリードで紹介してきた内容の詳細ですが、初めて出てくる項目「口コミ情報」「求人情報」がこれに続きます。サンプルのリリースとともにいただいたプレス向けのプレゼンテーション資料(※2009年1月16日リリース発表時点のもの。現在のサービス内容とは一部異なる)を基に例文を作ってみました。

添削後の本文(2段落目の後半部分)

さらに、一般ユーザーから寄せられた各企業の「社内レポート」「面接レポート」「給与レポート」の閲覧・投稿で構成した「口コミ情報」のコーナーもあり、ユーザーのレポート投稿によって各企業の企業満足度、残業時間、社風、面接に関する生の声を知ることができます。「求人情報」では、インディビジョンが運営する求人サイトの求人情報を提供します。

ここまで見て来たリリース本文をまとめます。

添削後の本文(全体)

「COPO」では、上場企業が開示している有価証券報告書や東洋経済新報社などから提供を受けた企業データを基に、上場・未上場合わせて6万社を超える企業の情報が一括検索できます。各企業の給与・福利厚生・財務情報等をさまざまな観点から詳細に検索できるほか、求職者が最も気になる各企業の口コミ情報や求人情報を掲載することで、求職者にとってより利便性の高い情報を提供します。

「給与情報」は、各企業の平均年収や有給取得状況を提供。「福利厚生情報」では各企業の福利厚生制度の概要が閲覧できます。「財務情報」として各企業の財務情報・収支状況をグラフで見ることも可能です。さらに、一般ユーザーから寄せられた各企業の「社内レポート」「面接レポート」「給与レポート」の閲覧・投稿で構成した「口コミ情報」のコーナーもあり、ユーザーのレポート投稿によって各企業の企業満足度、残業時間、社風、面接に関する生の声を知ることができます。「求人情報」では、インディビジョンが運営する求人サイトの求人情報を提供します。

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