知って得するドメイン名のちょっといい話
ドメイン名の登録者は誰ですか?/知って得するドメイン名のちょっといい話 #14

トラブルの中でドメイン名の登録者として知っておくべきこと
JPRS通信 知って得するドメイン名のちょっといい話

2007年3月に大きなニュースになったRegisterFly事件から1年半が経過した。最近でも、Best Registration Services(BRS)がレジストラ認定を解除されるなど、レジストラの業務終了というこの種の事件は続いている。今回は、こうしたトラブルの中でドメイン名の登録者として知っておくべきことについて触れる。

レジスト「リ」とレジスト「ラ」

まず最初に、ドメイン名の登録管理の構造をおさらいしておきましょう。レジストリとレジストラという名前については聞いたことがある方が多いと思います。

レジストリはTLDごとに1組織ずつ存在し、そのTLDの全てのドメイン名の登録情報を一元管理しています。これをもとにDNSを運用し、インターネットで利用可能にすることが仕事です。そして、レジストラはドメイン名サービスの窓口となり、ドメイン名の新規登録や更新などの手続きを提供します。1つのレジストリに対してレジストラは複数存在し、利用者に多様なサービスを提供しています。

ところで、このレジストリとレジストラの関係は、「小さな」レジストリモデルと「大きな」レジストリモデルの2つにわけることができます。2つの違いは、ドメイン名の登録者に関する情報を管理するのがレジストリかレジストラか、という点にあります。

小さなレジストリモデルは、.comや .netなどで採用されています。このモデルでは、ドメイン名を誰が登録しているか、という情報はそれぞれの窓口であるレジストラが保有し、レジストリには伝えられません。レジストリは単に、ドメイン名がどのレジストラによっていつ登録され、いつまでが登録期限かという情報と、DNSの運用に必要な情報のみをもっています。

一方、大きなレジストリモデルは、.jpや.infoなどで採用されています。このモデルでは、ドメイン名の登録者情報はレジストラ(.jpでは指定事業者)を通してレジストリに伝えられ、レジストリにおいて一元管理されます。保有する情報が多いため「大きなレジストリ」と呼ばれるわけです。

画像:図1レジストリモデル
図1 小さなレジストリモデルと大きなレジストリモデル

レジストラの業務終了とは

レジストリ・レジストラのモデルの差こそあれ、ドメイン名の登録には必ずレジストラが介在し、利用者へサービスを提供しています。

そして、不幸にしてレジストラが何らかの理由でサービスの提供ができなくなることがあります。理由はいくつか考えられます。レジストラ企業の経営的破綻、サービスの継続提供が難しくなったと判断されたときなどの契約解除などです。

冒頭で述べたRegisterFlyやBRSなどは、このような理由でレジストラであり続けることができなくなったわけです。すると、そのレジストラの管理下にあったドメイン名は登録を継続できなくなります。とはいえ、ドメイン名がなくなってしまうわけでもありません。ICANNもJPRSも、ドメイン名の登録者保護という方針を掲げており、レジストラが業務終了になった場合には、どこか新しいレジストラの元に管理を移して登録や更新を継続できるようにしています。

しかし、利用者であるドメイン名の登録者から見たら、今のサービスが突然受けられなくなり、新しいサービスへと移行しなければならないわけですから一大事です。しかも、元のレジストラの業務終了が円滑(という表現も変ですが)でない時ほど、大きなトラブルの原因になります。

元のレジストラが経営破たんしたときなど、サービスが機能していない場合には、業務終了と新しいレジストラへの移管についての案内が十分になされず、登録者が混乱するということもあります。しかし、もっと深刻な事態になることもあるのです。

「誰が登録しているか」が大切

レジストラの業務終了では、ICANNやレジストリによって新しいレジストラが選定され、そこへ一括で移管される、という手順が取られることが多くあります。これは、1つのレジストラが管理しているドメイン名の数が多いため、登録者がそれぞれ新しいレジストラを選んで移管手続きを行うのに時間がかかるためです。業務終了するレジストラからは速やかにドメイン名を他のレジストラに移す必要があるため、まずは一括で別のレジストラに移管し、必要があれば登録者はそこからまた新しいレジストラへの移管手続きを行うことになります。

小さなレジストリモデルでは、登録者情報は元のレジストラから新しいレジストラへと提供されます。ただし、元のレジストラが機能不全に陥っている場合、移管の手続きが進められません。2007年のRegisterFly事件がこれに該当します。このようなトラブルを回避するため、gTLDのレジストラには登録者情報を外部に保管する義務があり、業務終了の際にはその情報を新しいレジストラへ提供する仕組みがあるのですが、十分に機能していたとはいえません。この事件以降、ICANNは情報保管義務がきちんと行われているかどうかの監視の目を厳しくしています。

対して、大きなレジストリモデルでは、登録者情報はレジストリが管理しており、一括移管の際にもレジストリから新しいレジストラへと提供されるため、情報がなくて困るということはありません。.jpでも、過去に指定事業者の業務終了により、新しい指定事業者への一括移管を行ったことがありますが、新旧の指定事業者とJPRSが連携し、登録者への適切な案内を行いながら、大きな問題を発生させることなく移管を完了させることができています。

登録者保護、といっても登録者でなければ保護できない

このように、レジストラがサービスを提供できなくなった場合でも、ドメイン名の登録や更新は他のレジストラで継続できるようになっていますが、ここで大切なことは、「ドメイン名の登録者」とは、ドメイン名の登録者データベースに登録されている人や組織だけである、という点です。

.comなどではレジストラの、.jpではレジストリであるJPRSのデータベースに登録されている人や組織が登録者です。ここに正しく登録されていないと、トラブルなどの際に適切な対応が取れなくなってしまいます。また、住所や連絡先などの情報は、常に最新のものに更新しておくことも大切です。

一方で、ドメイン名を登録すると、登録者の名前などがWhoisというサービスで公開されますが、これを避けるために他人の名義や事業者の名義でドメイン名を登録するというケースが見受けられます。しかし、このような形でドメイン名を登録していると、トラブルがあった際に自分がドメイン名の登録者であると主張するのは容易ではありません。

最近では、この代行登録がサービスとして提供されているものもありますが、自分はドメイン名の登録者と見なされない、ということを踏まえ、サービスの条件などをよく把握したうえで利用することが大切です。

gTLDでは、Whoisで住所や電話番号などすべての項目が公開されるため、このようなサービスが使われることが多いと考えられますが、汎用JPドメイン名では、登録者の情報は名前以外の住所などは公開されないため、不要なトラブルを避ける意味でも、できるだけ登録者本人が正しく登録することをお勧めします。

JPRSからのお知らせ

ホームページとEメールアドレスはビジネスの必需品、ということはこの本の読者の皆さんはよくご存知のことですが、これからインターネットを利用する方や、これから起業する方などを対象に、企業にとってのドメイン名選択の大切さについて紹介するウェブサイトを開設しました。ぜひ一度ご覧になってください。

イベントのお知らせ

ホスティング業界の最先端の動向がわかるイベント「HOSTING-PRO 2009」が、2009年2月19日(木)に秋葉原コンベンションホールで開催されます。ビジネスとしてホスティングに関わっている方はもちろん、利用者の視点で参加しても興味深い内容となっています。詳しい情報はウェブサイトで随時追加されますので、お見逃しなく。

※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.15』(2008年11月29日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。

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