注目企業のネットビジネス戦略
検索エンジン時代だからこそ改めてドメイン名の価値を知る/独Sedo社インタビュー

ドメイン名の価値の考え方やドメイン名売買について、ドメイン名売買の大手Sedo社に聞いた。

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注目企業のネットビジネス戦略

Sedo GmbH社インタビュー

「価値のある」ドメイン名でビジネスを加速する
ドメイン名のマーケットプレイスを世界的に提供

取材・文・写真:編集部

マティアス・マイヤー・ショーンヘア氏

インターネット黎明期にはドメイン名が高額で取引されてニュースになっていたが、検索エンジンやソーシャルメディアの拡がりによって、ネットユーザーがドメイン名を直接入力することが減り、相対的にドメイン名の重要さが下がっているといわれている。

しかし、ドメイン名マーケットプレイスのプラットフォームを提供している独Sedo社では、同社を通じて売買されるドメイン名が増え続けている。

検索エンジンの時代だからこそ、改めてドメイン名の価値を確認するべく、独Sedo社のマティアス・マイヤー・ショーンヘア氏に、ドメイン名の価値の考え方やドメイン名売買について伺った。

Sedoの基本的な情報は記事末尾を参照。

●編集部 Sedoについて教えていただけますか?

●マティアス・マイヤー・ショーンヘア氏(以下、「マティアス」) Sedo GmbH社は、ドメイン名を売買するプラットフォームを世界中で提供しているドイツの会社で、2000年に設立されました。Sedoの提供するマーケットプレイスを使えば、だれでもドメイン名を売買できますし、同時にドメイン名のパーキングサービスを利用したり、オークションしたりなど、所有しているドメイン名を利用して利益を上げるあらゆることができます。

もちろん、だれかが所有しているドメイン名をあなたが購入することも可能です。欲しいドメイン名をとられていた場合、Sedoのマーケットプレイスを覗いてみてください。我々の扱っている1500万個以上のドメイン名の中には「良い」ドメイン名がありますから、適切なものを見つけられる可能性も高いでしょう。

Sedo GmbH社 マティアス・マイヤー・ショーンヘア氏
レジストラ

ドメイン名を利用する企業や個人に対してドメイン名を直接販売する事業者。

レジストリ

ドメイン名を管理している事業者。レジストリの役割は管理なので、ドメイン名の販売は直接は行わず、レジストラを通して行う。.comや.jpなどのトップレベルドメイン名ごとにレジストリが決まっている。

私のSedoにおける役割はビジネス開発、つまり、新しい市場と新しいパートナーシップを見つけることです。我々がこれまで注力してきたのは、ドメイン名を所有している人にSedoのプラットフォームを利用してもらうことでした。しかし現在は、それに加えて、顧客により良いサービスを提供したいと考えているあらゆる企業との連携を進めようと考えています。具体的には、レンタルサーバー事業者、レジストラ、IT企業などです。そういった事業者のサービスをSedoのプラットフォームと統合することで、ドメイン名に関するサービスを追加できるようになるのです。

例を示しましょう。あなたがレジストラで、通常のドメイン名取得のサービスを提供しているとします。つまり、レジストリからドメイン名を仕入れて売るわけです。しかしこの市場には……「良い」ドメイン名は、もうあまり残っていません。そこで、あなたがSedoのプラットフォームをサービスに統合すると、顧客に対してもっと多くのドメイン名の選択肢を提示できるようになるのです。しかも、顧客が希望するドメイン名が登録済みだったとしても「残念ながらそのドメイン名は利用できません」ではなく、「マーケットプレイスにはこんなドメイン名もありますが、いかがですか?」と言えるのです。魅力的だと思いませんか?

●編集部 企業が「良い」ドメイン名を買うことに予算を回すことで得られる価値としては、どのようなものがあるのでしょうか? というのも、Sedoが始まった2000年当時に比べると、現在はSEOや検索連動型広告のような検索エンジンマーケティングの重要度が高まっており、相対的にドメイン名の重要度が下がっているように思われるのですが。

●マティアス ドメイン名を取得することには、いくつかの理由があります。

1つ目はもちろん、企業の所有するブランドや商標の保護です。ブランド名自体を守るには、そのブランド名のドメイン名を所有するのが一番です。.co.jpや.comなどさまざまなトップレベルドメイン名や国別ドメイン名でブランド名のドメイン名を取得しておくのは、第三者がそのドメイン名を登録してしまって、それに対抗するために法的な措置をとる費用に比べれば、費用も手間もはるかに低いものです。

2つ目は……Webサイトとして使うためですね。オンラインで存在感を強めるには、人々が覚えやすいドメイン名というのは大切です。ビジネスを始めるには、資金が必要で、良いアイデアが必要で、人材が必要です。そのほかにもさまざまなものが必要ですが、そのなかでドメイン名というのは、これまで軽視されてきました。本気でやろうとしているビジネスでも、サイトを覚えにくいドメイン名だったり。しかし、今はもう時代が変わりました。人々にWebサイトを覚えてもらうには「良い」ドメイン名が必要だということを、少なくとも、米国とヨーロッパのWeb担当者たちは理解するようになっています。良いドメイン名をマーケティングに利用しているのです。つまり、ウェブに携わる人が、ビジネスにとってドメイン名が重要であることを認識するようになってきているのです。

●編集部 ドメイン名をうまく活用してビジネスに役立てたり利益を上げたりした事例を教えてください。

●マティアス 2つ紹介しましょう。

1つ目はvodka.comです。あるウォッカメーカーが米国市場に進出しようとして、ブランド認知を高めるために100万ドル(約1億円)を費やしましたが、結果は芳しくありませんでした。

そこで、彼は考えました。「自社の情報を消費者に伝える、良い“乗り物”が必要だ」とね。それがドメイン名だったのです。彼は、市場で売りに出ていたvodka.comを100万ドル以上を費やして購入したのです。vodka.comという明確なドメイン名でうまく市場の認知を得られたので、彼の会社はvodka.comのサイトに注力し、結果として米国でのビジネスがうまくいったのです。

この会社の具体的な業績などはお教えできませんが、彼は我々に対して、ドメイン名を買ったことは間違っていなかったこと、ドメイン名のおかげで米国でのビジネスを加速できたことを教えてくれました。

●編集部 なるほど。海外企業が国際市場に進出する時間を「良い」ドメイン名が助けたということですね。もう1つは?

●マティアス もう1つの事例はドイツ国内のもので、fahrrad.deというドメイン名です。ドイツ語で「自転車」を意味する、ドイツ向けのドメイン名です。

自転車や、周辺のあらゆる製品を販売する業者がオンラインでビジネスを展開しようとしたときに、「自転車を買おうと探す人がだれでも行くような、最高のドメイン名が必要だ」と考えたのです。この場合、望ましいのは自転車を意味するドメイン名です。なぜなら、その企業の名前はさほど知られていなかったからです。

もちろん、企業名のドメイン名をもっていることは悪いことではありません。ブランドを守るためには必要なことです。とはいえ、企業名のドメイン名だけではオンラインでの存在感が弱いのも事実なので、「何を提供しているのか」を表す一般的な言葉でその企業にリーチできるようにするのが良いのです。この企業の場合は、自転車のビジネスをしていたので、「自転車」を表すドメイン名ということですね。

先のウォッカメーカーの場合も同じです。「ロシアン・スタンダード」という社名を聞けば、ロシア人ならばだれでもそれがウォッカの会社だということを知っています。しかし、米国ではだれもその社名を知らないので、車メーカーなのか、ピロシキ屋さんなのかわからないのです。しかし、vodka.comならば、会社を知らない人にもウォッカだということが明確になります。

実際に、何をしているのかを表す一般的な言葉というのは、ビジネスに非常に役に立つものです。もちろん、ドメイン名が役に立てるのはオンラインで見つけてもらい、たどり着いてもらうところまでで、その先にあるのが成功か失敗かはビジネスをうまく進められるかどうかによるのですが。

●編集部 2008年4月にはpizza.comが260万ドル(約2億6,000万円)で売買されたニュースが出ていましたね。

●マティアス ビジネスにつながる良い例ですね。ピザは大きな市場ですから、ピザ会社にとっては大きな力となりますね。もちろんpizza.comを買うのに費やしたお金をリクープするには、もっと利益を出す必要があるでしょうけれども、彼らが良いピザを売ればうまくいくでしょう。ちなみに、2008年にはinvest.comが100万ドル以上で取引されていますよ。

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