知って得するドメイン名のちょっといい話
あなたが欲しいドメイン名はみんなも欲しい?/知って得するドメイン名のちょっといい話 #11

「フロントランニング」という用語がある。
JPRS通信 知って得するドメイン名のちょっといい話

インサイダー取引が株式関連のニュースなどで時折取り上げられている。公表される前の重要情報を元にした不正な取引だ。そしてもう一つ。「フロントランニング」というものがある。これも証券業界で用いられる用語だが、最近ドメイン名関連のニュースで聞くようになった。

株式のフロントランニング

株式の取引におけるフロントランニングとは、投資家である顧客から注文を受けた証券会社が、顧客の注文よりも前に自分の注文を行うことです。図1の例では、結果として証券会社はリスクなしに利益を手にし、顧客は本来の値段よりも高値で買う(損をする)ことになります。

図1
図1 株式の取引におけるフロントランニング

このような行為は仲介の立場を悪用し、顧客の注文による値動きで儲けを得るもので、インサイダー取引と同様に証券取引法で禁止されています。

ドメイン名登録できるかな?

ドメイン名のフロントランニングを説明する前に、ドメイン名を登録する手順を思い出してみましょう。たぶん、次のようなステップではないでしょうか。

  1. ドメイン名をあれこれと考える。
  2. そのドメイン名が登録できるかどうか調べてみる。
  3. 欲しいドメイン名を登録する。

たぶん、いくつも考えてみて、それらが登録できるかどうか調べてみますよね。そして、登録できるものの中から、本当に登録するドメイン名を選ぶことになります。ところが、海外では以前からこんな事例が聞かれていました。

「ドメイン名が登録できるかどうか調べて、数日後に登録しようとしたら、その間に誰かに登録されていた」

これだけ聞けば、「ドメイン名は先に登録した人のものだし、偶然誰かが同じドメイン名を欲しがっただけ」と思うかもしれません。確かに、辞書にあるような一般的な言葉やよくある人名などでは偶然があるかもしれません。

でも、練りに練ったお店の名前などの固有名詞や造語なども、わずかの時間差で登録されてしまうというようなことが繰り返し起こるようだと、何かあるぞと疑いたくなります。これがドメイン名のフロントランニングと言われるものです。

ドメイン名のフロントランニング

ドメイン名のフロントランニングはこういう構図になります(図2)。問題は「間に入るのは何者か」ということです。

図1
図2 ドメイン名登録におけるフロントランニング

ドメイン名が登録できるかどうか調べる方法はいくつかあります。レジストリやレジストラのWhoisで調べるのは、ドメイン名登録管理の原本で調べるというイメージで、とても確実です。

でも、「このドメイン名がどのTLDで登録できるか知りたい」という場合には、それぞれのTLDごとに調べる必要があり少々不便です。

そこで、世の中にはWhois以外にもドメイン名登録の可否を調べることができるサービスがいろいろと存在しています。ウェブのフォームにドメイン名を入力すると、複数のTLDを一度に調べて、「.comだと登録できないけど.jpなら登録できる」といったような情報が一目でわかるようになっています。

「ネームスピナー」とも呼ばれるこれらのサービスは、受け付けた文字列を各レジストリやレジストラのWhoisで調べて、その結果を一括で表示しています。利用者にとっては便利なサービスで、利用したことがある人もいるかもしれません。

このような状況の中で、利用者のドメイン名検索情報を得てフロントランニングを行うことができるのは、以下などが考えられます。

  1. Whoisを提供するレジストリやレジストラ
  2. ネームスピナーなどの検索サービスを提供する事業者
  3. 前述の1や2のサービスを提供するサーバーに侵入した第三者

フロントランニングの実態

では、誰がフロントランニングをやっているのでしょうか。実際のところ、フロントランニングがどこでどのように行われているのかは明らかになっていません。ただ、事例や実験結果などが報告されていることは確かです。

そして、ドメイン名フロントランニングは利用者に不利益を与える行為として認識されており、ICANNのセキュリティーに関する諮問委員会であるSSACからは、ドメイン名登録の関係者すべてに対し、ドメイン名フロントランニングと疑われる行為を防止するよう呼びかけが行われています。

ドメイン名フロントランニングに遭わないようにするためには、レジストリやレジストラによる公式のWhoisや、信頼に関して高い評価のサービスなどの安心して利用できるサービスを選ぶ、という基本を守ることが大切です。

フロントランニング対策がフロントランニング?

レジストリやレジストラは第一に、信頼されるべきサービスを提供する立場ですが、2008年1月にgTLDの大手レジストラであるNetwork Solutions社が「フロントランニングに対抗するため、Whoisで検索されたドメイン名をNetwork Solutions自身が一定期間登録する」と発表しました。

この措置に対して「その行為こそがフロントランニングだ」といった反発も起きており、訴訟にまで発展しています。

この原稿を書いている時点では、この対抗措置は停止されている模様ですが、フロントランニングについてはまだしばらく議論が続きそうです。

JPRSからのお知らせ

2008年3月1日、多数のみなさまにご利用いただいているJPドメイン名が、登録数100万件を達成しました。JPRSではこれを記念して特設サイトを公開しています。

また、2007年の1年間の年次報告書である「JPドメイン名レジストリレポート2007」を公開しました。こちらもぜひご覧ください。

※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.12』(2008年2月29日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。

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