インタビュー

Webサイトのパフォーマンスを可視化! 米国ユーザーエクスペリエンス管理サービス大手が日本でも展開/Gomez, Inc.

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注目企業のネットビジネス戦略

Gomez, Inc.

Webサイトのパフォーマンスを可視化
業界を代表するユーザーエクスペリエンス管理サービスが上陸

取材・文:柏木 恵子
写真:渡 徳博

トマス・ミューゼル氏

去る2008年12月、Webサイトの品質チェックや負荷テスト、公開後のコンテンツ品質のモニタリングなど、ユーザーエクスペリエンス管理を1つのプラットフォームでオンデマンド提供する米国のGomez, Inc.(米ゴメス社)のセールチャネル担当者が、日本でのサービス提供を強化するべく来日した。Webサイトの存在が企業ビジネスに欠かせない今、サービスのストップや表示速度の低下は、売り上げといった直接的な利益だけでなく、ブランディングや信用などにも大きな影響を与える。

Gomez, Inc.のソリューションの特徴や使い勝手、日本での展開について、プロモーションのために来日したワールドワイドチャネルセールス担当のトマス・ミューゼル氏に伺った。

Gomez, Inc.の基本的な情報は記事末尾を参照(記事の2ページ目にジャンプ)。


エンドユーザーから見たWebの状態でユーザーエクスペリエンスを計測

トマス・ミューゼル氏
Gomez, Inc.
ワールドワイドチャネルセールス バイスプレジデント
トマス・ミューゼル氏

●編集部 Gomez, Inc.(米ゴメス社)の概要と、ソリューションの特徴について教えてください。

●ミューゼル 米ゴメス社はシングルプラットフォーム上で、Webのライフサイクル管理全体をカバーする複数のサービスを提供しています。Webページの表示速度など、ユーザー視点でのWebエクスペリエンスを計測・管理するためのソリューションを提供しています。

マサチューセッツ州レキシントンというボストン郊外の街に本社がありますが、ヨーロッパやアジアにも拠点があり、サービス提供は24時間体制で行っています。従業員数は現在300名ほどで、ここ数年で急速に成長しました。Webのユーザーエクスペリエンスを計測する計測ポイントは、データセンター内と一般のインターネットユーザーのPCを含めて4万以上あり、世界最大規模です。サービスはSaaSモデルで、我が社のポータルサイトからオンデマンドで利用していただく形になります。世界中に3000社以上の顧客があり、ヤフー、マイクロソフト、アップルなどの大企業も含まれています。また、全米で訪問者の多いサイトトップ20のうち12の企業で導入されており、テレコミュニケーション、メディアや旅行関連など、業種業態を問わず、Webのパフォーマンスが本質的に大事だという企業ならどこでも導入する価値があります。

競合他社との差別化点は3つあります。まず、「アウトサイド」ということです。これは、ファイアウォールの外側という意味ですが、我々はよりエンドユーザー、つまり一般のWebサイト訪問者に近い環境から測定することが必要だと考えています。そして、計測する対象であるWebサーバーが設置してある社内やデータセンターからではなく、そのネットワークセグメントの外側からの計測ができるというのが、我々のサービスの特徴になっています。

次に「シングルプラットフォーム」が挙げられます。Webサイトの企画、テスト、開発というすべてのフェイズにおける、さまざまなテストやモニタリングを、1つのプラットフォーム上でできます。

そして「オンデマンド」というのが特徴です。アプリケーションライフサイクル管理全体をオンデマンド提供しています。つまり、ハードウェアに投資したり、ソフトウェアを購入してインストールしたりする必要がありません。また、テスト結果は瞬時に見ることができます。Webコミュニケーションではスピードが求められていますから、必要な時にすぐに始められて結果もすぐにわかるというのが良いところでしょう。

この10年ほどで、Webアプリケーション配信の環境がどう変わったかを見てみましょう。2000年頃には、ほとんどのWebアプリケーションはファイアウォールの内側にあり、企業内の情報システム部門のコントロール下にありました。ブラウザはIEの寡占状態でしたし、利用者も数秒単位の高いパフォーマンスを求めず、トラブルに対しても寛容でした。それが2008年になると、Webアプリケーションはずっと複雑になりました。ファイアウォールの外側、つまりコントロールできないインターネット越しのクラウドの中のコンポーネントが集まって1つのページが構成されるようになり、ブラウザの種類も増えて多機能になったのです。

また、決済を含めたオンライン上のトランザクションも一般的になり、Webサイトの可用性やレスポンスタイムに対する利用者側の期待値は高まるとともに、貧弱なパフォーマンスへの許容度は劇的に低下したといえるでしょう。

多様なコンテンツ配信環境のパフォーマンスを可視化する

トマス・ミューゼル氏

このような環境の中で、顧客の課題をいかに解決してWebエクスペリエンスを向上させるかですが、まず大切なのは問題点を認識することです。認識してそれに対処することで、今後起こるかもしれないトラブルに対する事前の対策の助けにするのです。米ゴメス社はそのための手段と方法論を提供します。具体的には、どのようなブラウザに対応するべきか、どの程度のレスポンスタイムであるべきかを予め決めて実現するための手を打つということです。

我々はまず、4つのシンプルなことをお勧めします。1つ目は、Webアプリケーションのパフォーマンスについてベースライン(基準値)のベンチマークを取ることです。数値化されていないものを改善することはできません。自社Webサイトのベンチマークを知っているからこそ、今日のWebサイトのレスポンスタイムが正常なのかどうかを知ることができるのです。2番目はもちろんそこから問題を特定することです。次は、改善前と改善後の状態を数値化して評価するということです。その結果として、Webサイトのトラブルがビジネスに悪影響を与える前に策を講じることができます。つまり、ファイアウォールの外にある、APIやSOAといった仕組みを組み合わせたコンテンツを提供している場合や、CDNを利用した配信している場合においても、サービスレベル管理が戦略的にできるようになるのです。

たとえば、ヤフーは20ほどの異なる事業者のサービスをまとめて彼らのホームページから提供しています。天気予報とか株価情報とか、いろいろな情報がまとめられていますよね。もしどれか1つの情報がパフォーマンス不足になったら、その個々のコンテンツを配信している事業者ではなく、ヤフーのブランドイメージが失われることになります。米ゴメス社のサービスでは、ページ全体のうち、どこから配信されたコンテンツがどの程度のレスポンスタイムで配信されているのか、約束されたSLAを満たすアベイラビリティ(可用性)があったのかといったことを可視化します。何か問題が発生した場合の事後対応だけで問題を解決すれば、ビジネス機会の喪失や収益の減少といったことを避けられません。しかし、事前の対策をしっかりやっていれば、ブランドの価値が上がり収益を増やすこともできるのです。

●編集部 米ゴメス社のサービスを利用することで、ユーザー企業はどのような利益を得ることができますか。

●ミューゼル 3つの大きなベネフィットがあります。1つは、ブランド力の向上です。現在の企業において、ブランド力はオンラインとオフラインの両方で構築されます。テレビCMやオフラインの一般の広告がWebサイトへ誘導していたり、オンライン広告がオフラインの広告に取って代わろうとしたりしているように、複数のチャンネルが交錯して企業のブランディングを行っています。だからWebサイトのユーザーエクスペリエンスが悪ければ、ブランドイメージも失墜する。また、そもそもWebサイトが不具合を起こすことを許容しない業種もありますよね。新聞社のサイトや検索サイトがダウンしているなんてあり得ない。つまり第一は、ブランドの管理および価値を高めることです。

2つ目は収益の増大です。オンラインチャンネルは、企業の発展において最もコスト効果の高いチャンネルです。サイトで直接販売を行っている場合はもちろん、たとえば銀行のサイトで支払いをしたり残高確認をしたりといったことも、Webのユーザーエクスペリエンスが良ければそれだけ顧客が増えるでしょう。

3つ目はコスト削減。パフォーマンスが基準値を下回ることによって、ビジネスに与える影響を回避するためのトラブル対応コストを、事前に対策することで減らすことができます。また、問題点が自社にあるのか外部にあるのかを特定できるので、過剰な改善設備投資をしなくて済みます。

Webサイトパフォーマンスの可視化によって
ブランド価値を高めて顧客満足度の高いサービスを提供できる

用語集
DNS / ISP / Java / SLA / SaaS / Webサイトパフォーマンス / Webサーバー / キャッシュ / キャンペーン / クラウド / ダウンロード / チェックボックス / パフォーマンス測定 / ユーザビリティ / ユーザーエクスペリエンス / リンク切れ / 監視 / 訪問者

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