Web担当者必見! リサーチ データ&市場調査レポート

最近のネットユーザーはECサイトと実店舗をこんな風に使い分けている! /消費行動に関する調査

Webマーケティングガイドでは、インターネット調査会社のボーダーズと共同のもと、インターネットを利用した消費行動に関する調査を行った。ユーザーの消費行動を情報収集時と購入時の二軸から分析している。また、ユーザーがECサイトを選ぶ基準や消費行動に対する考え方についても触れている。

調査結果の要約
  • 金融商品は75%、化粧品は40%がインターネット上での購入をメインに
  • 家電製品、化粧品、金融商品は購入以前の情報収集に意欲的
  • インターネット上での購入者はクチコミ情報収集を積極的に利用
  • 70%以上のユーザーがECサイトの“知名度”を気にしている
  • ただし、理想的なECサイトは知名度はなくても割安なサイト
  • ECサイトにおいて男性は「規模」、女性は「信頼」「評判」を重視する
  • 男性に比べ女性のほうがクチコミ情報の影響を受けている
  • 若年層ほどクチコミ情報を意識し、年齢が上がるにつれ影響を受けにくい傾向に

本調査は株式会社ボーダーズが提供するセルフ型アンケートリサーチシステム「アンとケイト」を使用している。調査概要は記事の末尾に記載している。

金融商品の購入はネットがメイン
化粧品や家電製品も4割弱がネットで購入

まずは、過去1年以内に購入した商品のジャンルを尋ねた。その結果、「食料品」が76.9%、「衣料品」が73.4%、そして「家電製品」が58.5%で続く結果となった(図1)。

※編集部注 購入場所をネットに限定した設問ではないが、実店舗や通信販売での購入を含める旨を明記していないため、ネット以外での購入者が回答を控えて数値が低く出た可能性も考えられる。
図1 過去1年以内に購入した商品ジャンル(複数回答)
図1 過去1年以内に購入した商品ジャンル(複数回答)

図1で購入したことがあると回答した各商品ジャンルに対して、最も利用する購入場所を尋ねた結果が図2である。全体的には「実際の店舗」という回答が多く、「食料品」が80.6%、「衣料品」が64.4%、「家電製品」が61.6%となり、これらの商品ジャンルは実店舗が主購入メディアであることがわかる。

図2 商品ジャンル別 過去1年以内に購入した各商品の主な購入場所
図2 商品ジャンル別 過去1年以内に購入した商品の主な購入場所

その一方で、「金融商品」に関しては75.0%がインターネットと回答し、ネットが購入メディアの主軸となっていることがうかがえる。また「化粧品」「家電製品」に関しても40%弱のユーザーがインターネットでの購入をメインとしている。

家電製品や金融商品は事前の情報収集が活発

続いて、購入したことがある商品に対し、購入前の実店舗での情報収集状況を尋ねた。「情報収集をした(「十分な情報収集を行った」と「少しだけ情報収集を行った」の合計)」ユーザーは「家電製品」が82.8%で最も高く、「金融商品」が80.7%「化粧品」が63.9%で続く結果となった(図3)。

図3 商品ジャンル別 購入前の実店舗での情報収集
図3 商品ジャンル別 購入前の実店舗での情報収集

今度は、購入前のクチコミ情報(ネット上)の利用状況をみてみよう。「情報収集をした(「十分な時間をかけて探した」と「少しだけ探した」の合計)」ユーザーは「家電製品」が74.6%で最も多く、次いで「金融商品」が63.7%そして「化粧品」が59.5%となる(図4)。

図4 商品ジャンル別 購入前のネット上でのクチコミ情報の収集
図4 商品ジャンル別 購入前のネット上でのクチコミ情報の収集

上記の結果をみる限りでは、家電製品や金融商品、化粧品は情報収集への意欲が高い商品ジャンルであり、購入場所に限らず情報収集が活発に行われていることがうかがえる。

ネット上での購入の際にはクチコミ情報を積極活用

では、情報収集と購入場所の関係性はどうだろうか。クロスマーケティングが及ぼす消費行動について詳しくみていくことにしよう。

家電製品を例にとって、購入場所別のリアルでの情報収集の状況をみると、「情報収集をした(「十分な情報収集を行った」と「少しだけ情報収集を行った」の合計)」ユーザーは、その他を除く、すべての購入場所で80%弱を占めており、購入メディア間での差異はほとんどみられない(図5)。

図5 購入場所別の事前の店舗での情報収集状況(家電製品)
図5 購入場所別の事前の店舗での情報収集状況(家電製品)
※「通信販売(電話やFAX)」はサンプル数が少ないため参考データにとどめる

続いて、購入メディア別のネット上での情報収集状況をみると、「情報収集をした(「十分な時間をかけて探した」と「少しだけ探した」の合計)」ユーザーは「インターネット」が84.4%で高く、「実際の店舗」は68.9%に留まっている。ネット上での家電製品の購入者は、ネット上でのクチコミ情報を積極的に利用していると考えられる(図6)。

図6 購入場所別の事前のネットでの情報収集状況(家電製品)
図6 購入場所別の事前のネットでの情報収集状況(家電製品)
※「通信販売(電話やFAX)」はサンプル数が少ないため参考データにとどめる

インターネット上には、製品仕様やクチコミ情報など数えきれないほど膨大な量の情報が存在している。しかし、商品の使い心地や臨場感など実際の店舗に行かなければ体験できない情報も存在し、メディア同士の補完関係は今後も必要なのではないだろうか。

ECサイトで商品を購入する際に7割がサイトの知名度を意識

ここからはECサイトの消費行動に関する設問である。ECサイト上で商品を購入する際のサイトの知名度に関する設問では、「気にするユーザー(「非常に気にする」と「多少気にする」の合計)」が71.9%に達し、多くのユーザーにとってはサイトの知名度が購入サイトを決定する際のポイントとなることがわかった(図7)。

図7 男女別 商品購入時におけるサイトの知名度の重要性
図7 男女別 商品購入時におけるサイトの知名度の重要性

ただし、「気にしないユーザー(「あまり気にしない」と「全く気にしない」の合計)」も30%弱存在し、知名度以上にユーザーが求める要素があることもうかがえる。なお、サイトの知名度の重要性については男女別の違いはみられなかった。

消費者は知名度よりも価格の安さを優先

ECサイトを知名度と価格の面から調査した結果、「知名度はないサイトだが、少し割安」と回答したユーザーが61.4%、「知名度があるサイトだが、少し割高」が38.6%という結果となり、知名度よりも価格の安さを優先する結果となった(図8)。

図8 男女別 商品購入時におけるサイトの知名度と価格の関係
図8 男女別 商品購入時におけるサイトの知名度と価格の関係

前出の図7では、70%以上がサイトの知名度を“気にする”と回答しているものの、知名度と価格の間で揺れ動くユーザーの本音を現す結果となったのではないか。この結果を男女別にみると、若干ではあるが、女性に比べ男性の方が価格を重視し、反対に女性は知名度を重視する結果となった。

ECサイト選択のポイントは「価格の安さ」「信頼性の高さ」

続いて、ECサイトを選ぶ際に重視するポイントを3つまで選択してもらった(図9)。「価格が安いこと」が76.8%で最も高く、次いで「信頼性が高いこと」の62.5%、そして2位とは大きく差が開くものの「周りの評価が高いこと」が31.6%で続いている。

また、この結果を男女別にみると、男性は「規模が大きいこと」と回答した比率が女性に比べて7ポイント高い。反対に女性は「信頼性が高いこと」「料金以外の特典があること」「周りの評価が高いこと」などが男性に比べて高い結果となった。女性は男性に比べて、ネットショッピングに対する不安が高く、“特典”や“周りの評判”といったミクロな情報を重視しているのではないか。それに比べて、男性はサイトの“規模”という社会的事象が消費に影響を与えているのではないかと考えられる。

図9 男女別 ECサイトを選択際のポイント(3つまで)
図9 男女別 ECサイトを選択際のポイント(3つまで)

年代があがるにつれて周りの影響を受けにくくなる傾向に

最後に、消費スタイルについて尋ねた(図10)。「自分が良いと思えば購入する」と回答したユーザーが74.2%で圧倒的に高く、次いで「周りの人の利用状況や評判を優先して購入する」の16.2%、そして残りの9.6%が「どちらとも言えない」と回答した。男女別にみると、男性は女性に比べ自分の意志で購入を決定し、女性は他人の意見を取り入れる比率が高い。

図10 男女別 消費行動のスタイル
図10 男女別 消費行動のスタイル

注目すべきは、年代が上がるにつれ自分が良いと思ったものを購入する傾向が強くなり、周りの利用状況や評判に影響を受けづらくなるという点である(図11)。

図11 年代別 消費行動のスタイル
図11 年代別 消費行動のスタイル

年をとると頭が固くなると言われることがあるが、知識や経験がクチコミ情報の効果にも影響を与えているのかもしれない。今後、インターネットとともに育った若年層が、知識と経験をつけたのちにクチコミ情報とどう向き合うのか非常に興味深い。

調査概要

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  • 調査対象者:15歳~49歳の男女624人
  • サンプリング:性年代別の均等割付 男女は各312人、各年代ごとに156人
  • 調査期間:2008年10月20日~2008年10月21日
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 調査機関:株式会社ボーダーズ
Webマーケティングガイドからのお知らせ
  • 本調査は、業界の全般的な調査であり、あくまでも指標となるものですので、参考データとしてご活用下さい。業種や取り扱っている商品、またユーザーの属性によっても調査結果は大きく異なると考えられます。
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