いしたにまさきのブロガーウォッチング

「自分の好み」というフィルターで絞る

「自分の好み」というフィルターで絞る

いしたに この連載は一応企業のWeb担当者向けだったりします(笑)

 はい。

いしたに 企業ブログだと、普通目標設定をしてテーマを絞ることが多いのですが、でも、なかなかうまくいかないことがあるはずなんですよね。そんなときどうするのか?というのを堀さんにお聞きしたいのですが。

 ちょっと回りくどい説明をさせてください。

いしたに お願いします(笑)。

 私の場合、「欧米のライフハックの情報を日本に紹介する」というのが手法として先にありました。その取捨選択に自分の好みが入るわけです。モレスキンの記事を書いたら、次はWebサービス、という具合に。「Lifehacking.jp」を始めたときに最初悩んだのは、アメリカにおける「Lifehacker」のようなニュースソースになろうと思っていたのですが、それはそもそも無理だということに気づいたわけです。

いしたに 無理だということが、少しやってみたらわかったんですね。

 そうですね(笑)。いちいち文章を練るのが大変で……。そうするうちに「自分の考え」をニュースに練り込んで書くと、一番アクセスが伸びるということに気づき始めました。

いしたに ほー。

 なので回りくどく取捨選択の話題に戻るのですが、「自分の考え」や「ブランドイメージ」をフィルターとして、欧米からの膨大な情報を「自分の好み」のものに絞って、1日1回エントリーにするということが習慣として定着しました。それと並行して、アクセス解析の情報を見ながら、どういう話題がどのくらい動くのかを観察する、というのを、いまだに続けてます。

いしたに いやあ、ホント基本に忠実。近道ってないですね(笑)

 「ProBlogger」などで言われている基本に忠実に、という感じです。私の場合、「ProBlogger」や「Copyblogger」で言われていることを実験している面もあります。自分で試してみて、本当かどうかチェックしているんですよ。

いしたに あはは(笑)。でも、コンテンツが人によって違うので、試してみないと分からない、というのは本当ですよね。購読層も違いますし。

 そうですね。ブログを始めたばかりの人や企業にとって、購読層をあまり早く絞ってしまうのはリスキーですね。いったい、誰が読んでいるのか、こちら側からはわかりませんので。

いしたに 同感です。

 でも、いったんある程度の読者のツボをつかんだら、そこからさらに「広く」するのではなく、「狭く」絞っていくことも重要だと考えています。実は最近、私はなんとか読者層を狭めようと気を遣っているんですよ。

いしたに 狭めよう、と?(笑)

 はい。自分の文体が非常に硬質なので、それをかえってブランドとして利用して、「自分の考え」と「自分の文体」で差別化したいと考えています。「Jack of all trades, master of none」(多芸は無芸)という英語の慣用句みたいに、「すべての人」に向けて書くと、かえって誰も聞いてくれない気がするんですよ。

いしたに そうだと思います、企業ブログだと「とにかく広く、たくさんの人に」ということにフォーカスが当たりがちなんですが、すべての人に企業が顔を向ける必要なんかないわけです。また、狭いところ向けに書くと、意外に広くの人に受けたりするんですよね。

 不思議ですよね……。

いしたに こんな狭いところにこんなに人がいたのか!、という感じで(笑)

 はい、「Wine library TV」のGaryが、「ワイン全般のブログを書いたら自分と競合するけれども、1つのワイン品種だけのブログだったら成功の可能性は十分にあると指摘したうえで「Niche can go crazy.」(ニッチを攻めればすごいことになる)」と言っていたのと同じですね。

キャプチャー:のゲイリー・ヴェナチャック
「ワイン業界のベストセールスマン」として名高い「Wine library TV」のゲイリー・ヴェナチャック(Gary Vaynerchuk)

いしたに (笑)。「狭さを怖がるな!」ということですね。

 はい。私は途中から、この頭の固さを、怖がらずに書くようになりました。そのために、文体も非常に固定して、一人称には絶対に「私」を使います。外向きに作り上げた文体を頑固に維持しているという感じです。

いしたに いいですねー(笑)。私は自分の飽きっぽさを怖がらずに書くようになりました(笑)

 ただ、実は私は仕事が出来る人間でもなんでもなく、「仕事術」が好きな人なのですが、この文体のせいで、どうも人はそうは見てくれないのが悩みの種なんですが(泣)

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