プレスリリース・ニュースリリースの書き方&活用基礎講座
リリース作成時の具体的ノウハウ(上)/リリースの書き方基礎講座#4

この連載では、主に企業の広報担当者に向けて、初めて書く人でもわかるリリースの書き方から、ネット時代に即したリリースの書き方など、明日から役立つ基礎情報をお届けします。今回はリリースの書き方の具体的なノウハウをご説明します。ヘッダーからリードまで、リリースの基本要素を細かくチェックしてみましょう。

最近、ある企業からの依頼で広報業務をサポートをした時、私は新聞社時代(※著者は元全国紙の経済部記者)の同僚や他社の記者仲間にニュースリリースを届けて内容を説明し、記事に取り上げてもらうように頼んで回りました。その際、新聞と同じ段組み形式で、見出しや文章、写真を縦書きでレイアウトしたニュースリリースをA4の紙に印刷して作りました。受け取った記者たちは「面白いなぁ。新聞と同じ(縦書きの)スタイルで見せられると、何だか重要なネタのように感じるよ」と笑って話し、記事にしてくれました。このケースは直接の手渡しであり、しかも受け取った相手は私が新聞記者だったことを知っている昔からの知り合いだったため、あえて新聞スタイルという奇抜な格好で成功しました。しかし、一般的には奇をてらったスタイルのリリースはよほどTPO(Time Place Occasion:時や場所、場面にあった方法)をわきまえないと嫌われるだけです。

ニュースリリースを書く際の注意点として、ウソや誇張はダメ、結論や重要事項から先に書く、ですます調のわかりやすい言葉で簡潔に書く、専門用語には説明を加え用字用語の統一を図る……など、前回記事では基本的なポイントを解説しました。今回は、そうした基礎を踏まえたうえで、実際にリリースを作成する場合の具体的なノウハウを紹介します。

嫌悪感をもたれない自然なスタイル

ニュースリリースには、こうでなければならないという特別なフォーマットはありません。スタイルも自由です。とはいえ、好き勝手な形式で作っていい訳でもありません。ニュースリリースの書き方で何よりも大切なのは、マスコミをはじめ関係先の企業や消費者など多くの利害関係者に嫌悪感なく読んでもらうことです。そのためには現在主流となっているリリース文のスタイルを踏襲することが無難でしょう。リリースのスタイルは発信者(企業やリリース配信業者など)によって若干異なりますが、この記事では、そういったスタイルの最大公約数を採り、それに全国紙の経済部記者として企業ニュースリリースの受け手であった私の経験的主観を加えて考えてみます。

インターネット全盛の今日では、リリースの発信方法はさまざまです。従来通り紙に印刷して郵送やFAX送信するケースやメールで送るパターン、WebサイトにHTMLで掲載する方法、あるいはPDFファイルとしてブラウザや専用のリーダーで閲覧してもらったり、ダウンロードしてもらったりすることもあるでしょう。それぞれの見せ方や送り方によってリリースのスタイルは微妙に違ってきます。しかし、ベースとなるリリース文書は1つです。ベースのリリースを1つ作れば、あとは簡単なカスタマイズを施すだけで済みます。見せ方や送り方別のリリースの違いは改めて説明するので、まずは基本となるリリースの具体的作法をしっかりと押さえてください。

ベースとなるリリース原稿の書き方解説

では、読み手の大半が嫌悪感なく自然に読めるリリースのスタイルとは具体的にどういうものでしょうか。ここでは、まずは紙に印刷することを基本に考えたいと思います。Webサイトで見せることがメインになるのに、なぜ今さら紙なのかと感じるかもしれませんが、最初にWebサイトに掲載する形で考えてしまうと、分量の制限がないのでダラダラと長いリリースになってしまう恐れがあります。紙ベースで考えたリリースをWebサイトに持っていくことは容易で、内容も簡潔になりますが、逆にWebサイト用に書いたリリースを紙にするには文章を削るリライト作業が必要になってしまいます。絶対に紙にすることはないと断言できても、冗長なリリースになるのを避けるためにまずは紙として考えるのがいいでしょう。

紙ベースといってもWordなどをはじめとしたワープロソフトで1ページ分のリリース文書をA4の紙1枚として書くだけです。文字や図版の大きさなどは柔軟に対応できるようにしておきます。字は小さ過ぎず大き過ぎず、最終的な分量の微調整にサイズを変更する方法もあります。まずは普段使っている文字の大きさで書いてみましょう。奇抜なフォントは避け、明朝体かゴシック体にします。明朝体だとやや硬めの印象になり、ゴシック体は柔らかなイメージになるでしょう。印刷することも考慮して自社の事業内容に合うと思うフォントを選んでください。

今回の記事では、リリース文書を「ヘッダー」「見出し」「リード」の3つのパーツに分けてより詳しく説明します。

リリースのサンプル
図1 リリースのサンプル

1.ヘッダー

まずはヘッダー部分から説明していくことにします。リリース用紙の最上部にあたるヘッダーには、その文書がニュースリリースであることが一目でわかるように「ニュースリリース」や「News Release」「報道資料」などの文字を本文よりもやや大きめのサイズで書きます。

さらに、会社のロゴマークやリリースで取り扱う商品・サービスブランドのマークを張り付けます。会社名やブランドをアピールして目を引くためです。そうして張り付けた「ニュースリリース」とロゴマークのどちらかを文書の中央に、もう一方を左側に置きます。「ニュースリリース」を中央に据えて、左にブランンドマーク、右に会社ロゴというパターンでもいいでしょう。

2.見出し

続いて、ヘッダーの下に見出しを書いていきます。前回記事で説明した通り、見出しではリリースの結論を短い文章で言い切ります。見出しで意図が伝わらなければ、本文は読んでもらえません。新聞は見出しだけ見て、興味がなければ記事は読まないでしょう。ニュースサイトも同じで、見出しにひかれなければクリックしてその記事をすべて読もうとはしません。見出しはリリースの中でもとくに重要な位置を占めます。そのリリースで知らせたいニュースの内容とその特徴を簡潔な言葉で、本文のサイズよりも大きめの文字を使い、2行から3行までで言い表します。商品・サービスの内容を示す文言とともに、たとえば「日本初の●●を開発」と初めてであることを強調したり「■■の問題を解決」「◆◆の使い勝手を向上」などその商品・サービスによってもたらされるメリットをアピールしたりします。

ただし、ここで特に気を付けたいのは、宣伝のような誘い文句や大げさな表現は絶対に使わないという点です。「激安」「今がチャンス」「買わないと損」「話題騒然」などはいずれもNGです。この連載を通して言い続けていますが、リリースはチラシやカタログではなく企業が自社の事業を幅広く客観的に伝える公式文書です。リリースを読んでもらうために見出しでマスコミや関係者、消費者の目をひきたいのは当然ですが、こうした宣伝的表現は企業イメージを下げ、レベルの低い会社としてマスコミや消費者に認識され、いずれは相手にされなくなってしまいます。見出しは決してオーバーな表現ではなく、商品・サービスの誇れる特徴や長所をキッチリと記します。見出しは、最大の知恵の絞りどころです。

そして、ヘッダーや見出し周りのどこかに、右詰めでリリースを出す年月日と会社の正式な名称を入れます。年号は西暦が一般的です。一部を除いてマスコミはほとんど西暦を使用しています。「2009年1月10日 株式会社▲▲システムズ」といった感じです。ちなみにリリースではアルファベットや数字は半角を使用するのがベターです。全角だと間延びした雰囲気になってしまいます。記号はケースバイケースですがパーセント記号は全角の方が見やすいでしょう。

3.リード

見出しに続いてリードの書き方です。リードも見出し同様に重要な部分であることは言うまでもありません。前回記事では、リードでは簡潔な文章でリリースのおおまかな内容を説明すると紹介しました。リリースで訴えたい重要なことを盛り込んで、かつ文章が長くなり過ぎないように工夫が必要です。最長でも350字程度が一般的です。また、多くの人はリードの書き出しは会社名だと思っているかもしれませんが、いきなり「▲▲システムズは~」と書くのは注意が必要です。よく考えてみてください。あなたの会社がどんな事業を展開しているか日本中の人が知っているでしょうか。あるいは、あなたの会社は東京証券取引所に株式上場しているでしょうか。リリースは誰が読んでも内容を理解できなければならない公式文書です。会社名だけでその会社をイメージできるのは、トヨタ自動車やソニーといった世界的大企業か、あるいは東京証券取引所に上場しているような企業といえるでしょう。

経済新聞の記事でも、上場していない企業については、会社名の前にどんな事業を行っているか表す一言を入れ「インターネットコンテンツの▲▲システムズ~」のように書かれています。業界内ではそれなりの地位にある会社だと自負していても、幅広く読まれるリリースでは必ず会社の事業内容を表す文言を入れるべきです。これを書いておかないと、記事として取り上げられたときに自社にとって不本意な形容詞を付けられてしまうことも考えられます。たとえば、飲食店を数店経営しながらIT関連事業に進出した会社が、IT関連の事業内容のリリースについて「飲食店経営の▲▲カンパニー~」と記事に書かれても文句は言えません。記事にそのように書かれたくなければ、リリースの書き出しにはしっかりと「IT関連事業を行う▲▲カンパニー~」と書いておくべきでしょう。

事業内容の一言と会社名に続いて、カッコで本社所在地と代表者の名前を入れます。上場企業などでよく目にする「IT関連事業を行う▲▲カンパニー(本社・東京都港区、代表取締役社長・●●●●)」のパターンです。ここで住所を細かく書く必要はありません。政令指定都市なら区まで、政令指定都市ではない県庁所在地なら市の名、それ以外の市町村は都道府県名と市町村名まであれば十分です。代表者の肩書は、代表取締役だけだとマスコミが記事にする時に困惑します。記事では、代表取締役、という表現はあまり使いません。普通は、「社長」「会長」「副社長」という役職を使います。さらに、大きな会社では代表取締役が複数いることも珍しくありません。代表取締役でどんな役職か、社長なら「社長」と役職名は必ず入れるべきです。

細かなことばかり指摘していますが、実はこれらの作法は極めて重要です。会社の事業内容を示す一言や、代表取締役でどんな役職なのかが書かれていないと、記者は記事にするためにわざわざその内容を調べなければなりません。簡単に判明すればいいのですが、会社のWebサイトに書かれていなかったり、広報担当者に電話してもつかまらなかったりという事態に陥り、締め切り時間が近付くともう記事を書く気が失せてしまいます。こんな小さなことでマスコミに取り上げられるかボツになるかが決まることが現実にあります。

リードの書き出し部分は一度決めてしまえば、住所変更や社長交代、大きな事業転換がない限りそのままずっと使えます。まずはいつも使う書き出しを考え、ロゴマークや「ニュースリリース」の文字を配置する位置とも合わせて自社のリリースのヘッダー周りのフォーマットを確定させておきましょう。

ちなみに、作成するリリース文書のファイル名は「090110新商品」のように発行した年月日を入れておくと便利です。同じ日に何件もリリースを出すケースはほとんどないと思いますが、その場合は「080110-1」「080110-2」とします。日付を入れることで、ファイル名だけでいつのリリースかがわかるようになるだけではなく検索性も良くなるので、後々のパソコンでのファイル管理が楽になります。他の人が見てもわかりやすいように心がけましょう。

◇◇◇

リードに続く本文以降の具体的な作法や見せ方、送り方別のリリースのカスタマイズは次回以降説明します。

第四章のポイント
  • さまざまな発信方法に対応するためにも、もとになるを紙ベースのリリース原稿を作成する
  • 見出しは簡潔に2、3行で表現。リリースの作成日や会社名を右詰めで添える
  • リードの書き出しには誰が読んでもわかりやすいように事業内容を加え、代表者名や所在地も明記する。
  • 「ヘッダー」「見出し」「リード」を組み合わせた自社のフォーマットを確立しておく
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