編集部ブログ―鈴木教之
セマンティックWebはもうそこまで来ている? 第20回WebSig会議レポート


図1 第20回WebSig会議開催
4年前に開催され今回で20回を迎えた

去る10月18日、第20回WebSig会議が開催された。

WebSig会議とは、Web業界の健全な発展を議論していく任意団体「WebSig24/7」が、Webのさまざまな分野の第一人者をゲストに招き、隔月で開催している勉強会である。記念すべき20回目をむかえた今回は、Web担でもおなじみ長谷川恭久氏をゲストスピーカーに迎え「セマンティックWebってなんだろう?『?』を『!』に変えてみる会議」と題した実践型のグループワーク形式で行われた。土曜日にも関わらず、会場となった神田のデジタルハリウッド大学には50名を越える参加者が集まり、熱心に耳を傾けていた。

第一部が長谷川氏による講演が行われ、第二部では第一部のセミナーを踏まえたグループワークが参加者全員によって行われ、活発な議論が展開された。

セマンティックWebには2種類のアプローチが存在


図2 ゲストスピーカーの長谷川氏
セマンティックWebについて熱く語る

第一部では、「あなたが創るセマンティックウェブ」をテーマに長谷川氏による”わかりやすさ”を重視した講演が行われた。RDFやマイクロフォーマットといった技術的な説明をなるべく使用せずに、より利用者に近い視点から、とっつきにくいセマンティックWebを紐解いていこうという試みだ。

セマンティックWebとは、各Webページにコンテンツの「意味」をコンピュータが処理できる形状(既出のRDFやマイクロフォーマットなど)として組み込むことにより、Webの利便性を高めようとするプロジェクトである。

「セマンティックWebの技術により、サイト間の遷移なしに多くのデータを共有することが可能となる。その結果、検索にかける時間や必要のない情報に触れる時間、無意味なパソコンとのやり取りの時間が短縮され、ユーザーのもとへ適切な情報が伝わり易くなる」(長谷川氏)

講演で長谷川氏は、セマンティックWebには2つのアプローチがあるとし、具体例を交えた説明を行った。下記の事例以外にもすでに色々なところでセマンティックWebは活用されている。

ボトムアップ型

セマンティックマークアップと呼ばれる、Webサイトにコードを埋め込む方式
本来のセマンティックと呼ばれる技術だが、ソースコートを扱う複雑さと解釈のブレや人為的なミスが起こる可能性がある

  • 利用例:米国のYahoo!が試験公開している「SearchMonkey」
    Webサイトに住所情報をマークアップすることで、検索結果ページに地図情報が表示される
トップダウン型

現行の自然言語をそのまま活用し、ソフトウェアでセマンティックを実現する方式
完全なセマンティックではなく、それを解析するソフトの能力に依存する。また拡張性に乏しい

  • 利用例:IE8ベータ版に搭載されるアクセラレータ(旧:WebSlice)
    住所情報のテキストデータを自動的に判別し、地図画像を表示させる

これらの事例に関しては長谷川氏のレポートに詳しく紹介されているので参考にしていただきたい。

また、非常に有効な概念であるセマンティックWebではあるが、多くのサイトで共有されるようになった場合のユーザー情報のアイデンティティをどのように保持するのか、同様にプライバシー情報をどう保護していくのかといった諸問題には慎重に対応していく必要がある。とはいうものの、「高いポテンシャルを秘めたセマンティックWebを、より多くの人々に知ってもらうには、技術的な概念はもちろん重要だが実際にモックアップをつくってわかりやすく啓蒙していくことが重要ではないか」(長谷川氏)として、講演を締めくくった。

全9組のトップに立ったセマンティックなサービスとは


図3 第二部のグループワーク課題
セマンティックなサービスを考える

第一部を踏まえた実践課題として、第二部では「セマンティックなサービスを考えよう」と題したグループワークが行われた。入場時にあらかじめ振り分けられた6人1組のグループごとに、将来のセマンティックサービスを考え、各チームごとにプレゼンを行いどれが最もすばらしいサービスを競うというものである。

参加者全員による投票の結果、「僕らの毎日を野外フェスティバルにしてくれるサービス」と題したメガネ型のウェアラブルツールが第1位に選ばれた。ユーザーの属性を記憶させたメガネに位置情報を持たせることで、周りの人間や場所との関連情報をレコメンドしてくれる機能を搭載している。野外フェスティバルでの利用を想定したプレゼンでは、会場の施設情報やブースの混雑状況をリアルタイムで通知する機能や、個人属性から気の合う人やグループを見つけ出してくれる機能が紹介されていた。

また、長谷川氏による特別賞は、購入した本に応じた読書環境を提案してくれる「僕らの読書を未来日記にしてくれるサービス」が受賞。選考理由は「一番レコメンドっぽくないから」(長谷川氏)というものであった。”押し付けがましくない”という点も、サービスの普及には重要なポイントであるという。

このグループワークの目的は、参加者のセマンティックに対する理解を確認しあうとともに、長谷川氏が訴えた、わかりやすく啓蒙するためのデザインやモックアップを実際に作成する作業の重要性を問うものであった。多くの人々にセマンティックWebを理解してもらうためには、日々Webに携わる我々が今後どのように実践していくかがカギだという意図が込められている。


図4 当日の会場の様子 会場はほぼ満席で大好評のうちに幕を閉じた
◇◇◇

第一部の講演資料はWebSig24/7サイトならびに長谷川氏のブログ上に掲載されている。また、当日の様子はWebSig24/7サイト上に掲載される予定。

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