企業ホームページ運営の心得
Web担当者は電話にでるな。時間泥棒に注意せよ

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の九十四

鳴り響くベル

電話は3コール以内にでる。

新社会人としてソフトハウスに入社し、一泊二日の新人教育研修で教わったのですが、会社に戻ると忙しさを理由に「放置プレイ」にしてしまい忘れていました。

フリーターを経て営業マンとして社会復帰したときに記憶が蘇りました。研修ではダミーの電話機の前に座らされ「はい、今鳴りました」という講師の声に競うように受話器を取らされるロープレに「テレクラ」だと笑っていたのですが、お客様からの注文電話ならば売上に直結し、問い合わせは新規取引のきっかけとなり、クレームもすばやい素早い対応で収まることを経験し「3コール」の意味を知りました。

一方で電話は大切なものを略奪していきます。特に制作も兼務する「Web担当者」ならばご注意ください。

時間泥棒の正体

離れた相手と会話ができる電話の利点は述べるまでもないでしょう。「Skype」や「iChat」ならテレビ電話で対面コミュニケーションも可能です。しかし、便利な自動車が走る凶器ともなるようにすべての道具には長所と短所があります。

電話の短所は「時間泥棒」を生み出すことです。ファイルに綴じた書類の所在を問い、「ネットで検索」で見つかるデータにダイヤルを回します(この表現は死語でしょうか)。相手の都合はお構いなしです。携帯電話の普及が常習的な時間窃盗犯を増加させました。休み明けの月曜日で間に合う予定を日曜日に確認し、ど忘れした「ネタ」を深夜の酒場から問い合わせる強者もいます。固定電話だけの時代の窃盗被害は「勤務時間」だけでしたが、携帯電話の登場でプライベートタイムまで強奪されます。

脳内デジタルは難しい

Webサイト制作中の電話は危険です。「通話中」だけではなく前後の時間も奪われてしまうからです。デザインや文章などを作るために脳は「ワーキングメモリ(作業記憶)」を割り当てます。ワーキングメモリとは、作業のために必要な情報を一時的にすぐに使える状態にしておく脳の機能で、これがハッキングされます。

電話での通話中は内容と同時に、相手の姿や人格をワーキングメモリにて再現しています。このときに「作る」に使っていたメモリ(情報や想像力)は上書きされるのです。メモリをハードディスクへ「一時待避」するように書き込み(記憶)できればよいのですが、人間の脳はデジタル処理のように完璧にはできませんし、運良くできても「思い出す」からやり直しで、結果「通話後」の時間も奪われてしまいます。

泥棒達はフレンドリーにやってきます。仲間だから、頼りにしているからと。そして、奪われた時間の分だけWeb担当者の仕事が溜まっていきます。

宣言することで変わる世界

個人的な友人や知人はともかく「会社の人間」という時間泥棒なら逃れる方法があります。電話に出ないと「宣言」するのです。会議でこういいます。

「毎週火曜日の午前中は制作に集中するので電話は出られません」

影響の少ない曜日と時間を選んで「電話に出ない」と宣言します。始業前のミーティングで「今日の午前中」としても良いのですが、事前予約という手続きは社会人の「作法」でもあり「毎週」の曜日指定により「作業時間」をルーティンワーク(日々の業務)として組み込み、社内のコンセンサスとする狙いもあります。さらに「早朝出社します」と付け加えるとより効果的です。自己犠牲の上での要求は通りやすく、私の社会人時代の必殺技でした。いずれ機会があれば紹介しますが、「早出」は残業より効率よくアピールできます。

「時間泥棒」は自分だけの特例を勝手に作る達人です。今回だけ、急いでいるから、いいじゃんと。そもそも相手の時間に配慮できる人は「時間泥棒」にはなりません。そんな彼らに「この日はダメだ」と学習させるためにも、宣言して獲得した時間は携帯の電源を切り「社内の電話」にもでないという姿勢を貫きます。

罰金刑の時代

「ポケベル」は20世紀の営業マンの必需品で、地下でも屋内でも呼び出されたものです。私の勤務先では着信後30分以内に返信しないと罰金5,000円というルールがあり、郊外では公衆電話も少なく焦りました。ようやく見つけて用件を尋ねると「マウスが動かなくなった(フリーズ)」といいます。出先の私に何をしろというのでしょうか。携帯電話が普及すると事態はより悪化します。プリンターの紙詰まりから次週の飲み会の出欠確認まで、客先でも移動中にでもお構いなしです。

「電話に出るな」というのはコミュニケーションをとるなということではありません。無意識のうちに時間を浪費させられていることは多く、線引きをすることで作業効率を高め、同時に時間泥棒の自立を促す狙いです。「営業部改革」の職務を与えられた際、外出時の連絡は携帯電話宛てのメールとし、「通話」は緊急事態に限るとしたところ「電話」は激減しました。それまでは帰社を待ったり、用件をメモするよりも、しゃべった方が早いからと自分たちの都合を優先して些末な用件でもかけていたのです。

途切れる会話のロスタイム

会議や打ち合わせの場で携帯電話にでる人も時間泥棒です。途切れた会話に放置された「時間」が奪われています。時間は命の単位の1つです。だから時間を大切と捉え、故に相手の時間も尊重します。

本当に緊急であれば電話が適切でしょうし、場合によってはメールよりも電話の効率が良い場合もあります。ただ、脊髄反射で電話する前に自問自答をしてみてください。

「その電話は今、必要ですか?」

時間と空間を共有している目の前の人との時間を電話が阻害します。作業時間も「命」の一部と考えれば、効率を上げるのは至上命題で「阻害要因」の排除は欠かせません。電話はその1つ。便利さは踏まえた上での線引きが必要です。

私が「新人教育」を受けた約20年前は「携帯電話」や「電子メール」は特別なものでした。時を経て私の携帯電話はほとんど鳴らなくなりました。「出ない」からです。約束もなしにこちらの時間を一方的に奪われたくないので。取引先からの連絡は、ほぼ100%メールですので、こちらには外出先からでも空き時間を活用してマメに対応しています。

♪今回のポイント

本当に必要な連絡はそんなに多くない。

時間は夢を裏切らないというが、粗末にすればあっさり裏切るので大切に

追伸

先日は「Web担当者Forum ミーティング」にて多くの方にお声をかけていただきありがとうございました。

「いつも楽しみにしています」「毎号読んでます」は大変嬉しく、「もっと毒を強めに」というリクエストにドキッとしました。足立区の片隅で毒を薄めている作業をみられていたのかと狼狽しました。

お誘いを受け、静かに潜入し「Web担当者の本音」に聞き耳を立ててネタにしようかという目論見だったのですが、顔を見て声をかけられたときに本当にビックリしました。本稿にて顔をさらしているので当然なのですが。

そして当日お話しをさせていただいた金型屋さん(この表現は正しくありませんが個人情報のかまびすしい昨今、無許可で呼びかけておりますので)。すいません、うっかりして名刺交換をすっかり忘れておりました。

もし、「貰っていやるよ」ということでしたら、お手数ですがご一報いただければ幸いです。

それから名刺交換させていただいた皆様に業務連絡です。翌日の土曜日にお名刺にあったメールアドレスにご挨拶を送付しましたが届きましたでしょうか。弊社サーバーの不調につき、土曜日夜から日曜朝までつながりにくい状態となっておりました。

ご挨拶が届いていない場合は再送します。こちらもまた「受けとってやるよ」と寛大なお気持ちをお伝えいただければ幸いです。……ここまで低姿勢を見せれば「毒」も隠せたかと。何はともあれ皆さんありがとうございました。

「現場の声」しかと受け止め、近日「ノウハウ」として紹介する予定でおります。

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