実践編
“ブルー・オーシャン”で、のびのび顧客を獲得するSEO実践法

―何を解析すればいいのかわからないあなたに―

Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座
【実践編】

第2回  “ブルー・オーシャン”で、のびのび顧客を獲得するSEO実践法

データの見方とそこからのサイト改善方法を具体的に考える「Webサイトの見える化&カイゼン講座【実践編】」。第2回のテーマは『ブルー・オーシャン』だ。自社製品の“セールスポイント”はなにか、を正しく意識し差別化を図ることで、確実にサイトの成果を向上させてほしい。

ベンチマークでライバルに近づきすぎる?
同業他社は似て当然

ほとんどの会社には「同業他社」がある。市場において同じジャンルに属する製品・サービスをもっており、「どれにしようか」という選択肢同士になる企業群だ。前回は、自社にとって重要なロングテールキーワードを考えた。しかし、ビジネスにはライバルがある。同じニーズを奪い合う構造があり、「来てほしい」と思っても、同業他社に先にとられているという構図があるわけだ。今回は、ライバルとの違いを打ち出す方法を検討していこう。

そもそもWebサイトの検討は、まず「何を求める人に来てほしいか?」という考え方が基本になるが、同業他社間では、来てほしい人がかぶっていることが考えられる。SEO的に言えば、同じキーワードを狙ってたくさんの会社がぶつかりあって、なかなか検索エンジンでの表示順位が上がらない、というジレンマに陥ることになる。その結果、コンバージョンしているのは、会社名で検索した「名指しの客」ばかり。ロングテールよりも、Web以外の広告媒体で、名前を売るしかないのではないか、ということになってしまう。

一方、上司からは「ライバルに負けるな!」という号令がかかる。たとえば、ある食品関連メーカーのWebマスターは、この指令に、驚くべき対処をしたそうだ。それは、負けるなと指定されたライバル会社のサイトを見て、色からコンテンツ配置までそっくり真似たのだ。これなら「サイトが悪くて負けた」ということにはならない

ライバルを見て研究することを“ベンチマーク”と言う。露骨に真似しないまでも、ベンチマークにより「うちの製品にない機能が他社商品にある」となれば「それを取り入れよう」といった形で、似てくるのは自然な流れかもしれない。しかし、そっくり真似をして、お互いの違いをなくしていくのが、最高の選択肢だとは、だれも思わないだろう。

私は、Webサイト制作の打ち合わせで、いつも次のように質問する。

御社の商品が他社と違うところはどこですか?

しかし、社員というのは意外に冷めているもので、「いや、ほとんど同じですよ」なんて答が返ってくることが多い。そういう場合には、次のように質問してみるのだが、

では、他社商品と見比べたときに御社商品が選ばれることがあると思うのですが、その理由は?

すると、「安いからですよ」「うちの営業所が近いからかな」などと、経営者には聞かせられない感じの答になる。

いつも苦労している最前線が自嘲気味な答え方になる気持ちはわからないではない。誰だって顧客に違いを問われ続け、明快な答が出せなくて、足しげく通ってやっと購入してもらっているといった状況であれば、たいした違いはないという答えにもなるだろう。

また、開発側に言わせれば、製品が似ているのは当り前だ、ということになるだろう。基本的な機能で負けるわけにはいかない。そこにしのぎを削っており、同様の機能で少しでもよい、ということを軸に開発するのだから、明快な違いなどないのが自然かもしれない。

私は、いつも洗剤をたとえにこの問題を考えている。洗剤で重要なメッセージは比較的シンプルで、

  1. 汚れがよく落ちる
  2. 環境にやさしい

ということに集約される。今どき「地球は破壊するが汚れはよく落ちる」とは誰も言えない。しかし、すべての会社が同じように「油汚れがよく落ちる」「環境にも配慮」「当社比200%にパワーアップ」などと言っていたのでは、消費者は選びようがないのではないか、と心配になる。

図1 商品を差別化するポイントの例
図1 商品を差別化するポイントの例
商品の差別化は重要なポイントだ。本来なら、商品やサービスを企画する段階、企業として戦略の舵を切る時点で差別化はなされているべきだが、実際はなかなかそうでないことも多い。Web担当者としては、差別化できるポイントを把握しWebでいかに打ち出すか、心を砕かなければならない。

選ばれている理由は「半影」のように意識外にある

実際には、ユーザーは比較が難しいものを実にさまざまな理由で選んでいる。

性能が上だから

のように、厳密に機能差で選ぶのはもちろん、

CMが印象に残っている
タレントが好き

などそのときの気分で選んでいる場合もある。

景品が付いていたから今日はこれを買おう
ポイントが累積してるから買い続けている

なんて場合もあるかもしれない。

パッケージや商品名がなんとなく好きだ

というのも、大切な理由だ。

宣伝する側からしたら、「機能は他と同じだが製品名が人気で選ばれている」とは、声を大にして言いにくい。しかし、製薬や自動車などでさえ、ネーミングが印象に残っているため店頭で選ばれやすい製品があることは、誰もが知っていることだ。

さて洗剤が売れる理由としては、

詰め替え容器のデザインが良いので、手を汚さずに詰め替えができる

といった、明確な“利便性”で選ばれていることもある。機能がどれも悪くないという状況では、これは大きな差になる。しかし、これにしても、宣伝で真っ先に掲げる特徴か、といわれれば、違うということになるだろう。

宣伝には、「語るべき順番」というのがおのずとある。主力機能から順番に語っていく。尺が限られたテレビCMや面積が限られた新聞雑誌で、あまりたくさんの主張をすると印象に残らなくなるから、主力機能をユーザーに刺さる言葉やビジュアルで表現する他ないのである。

しかし、実際に選ばれるのは、主力機能に対して「プラスアルファとなる部分」である場合も多い。Webサイトであれば、主力機能をしっかり語ることからスタートしても、次第にプラスアルファ部分を充実させていくことができるので、有利なのである。

影には中心の濃い部分「本影」と周辺の薄い部分「半影」がある。そして宣伝においては、主力機能が本影、プラスアルファ部分が半影にあたると思われる。本影がないというわけにはいかないが、半影の部分も非常に重要なのである。しかし、普段、広告などで半影の部分を主張しない癖が付いていて、みんな頭の中から無意識に省いてしまっている。おうおうにして意識外にあるところが、「製品のプラスアルファ」と「半影」はよく似ているように感じられる。

“ブルー・オーシャン”と“レッド・オーシャン”という考え方

図2 『ブルー・オーシャン戦略 〜競争のない世界を創造する』
図2 『ブルー・オーシャン戦略 〜競争のない世界を創造する』
W・チャン・キム+レネ・モボルニュ著、有賀 裕子訳
定価:,995円
ランダムハウス講談社刊

営業は開発に「もっと世間をあっと言わせるような基本機能をもった製品をつくれ」と言いたいだろうが、それは非現実的という他はない。では、「おまけ」っぽい部分で売っていこうと考えるわけだが、これはコスト高になってしまう。

マーケティング分野で大ヒットした書籍に『ブルー・オーシャン戦略』がある。主力機能の部分には多くのライバルがぶつかりあい、顧客の奪い合いになる。そこではどうしても価格の叩き合い、サービス合戦になって高コスト・利益薄の状況になりがちである。これを激戦の血の海“レッド・オーシャン”と考えることができる。それに対して、製品独自の部分はライバルがおらず、のびのびとビジネスを展開できる。これが広々とした“ブルー・オーシャン”というわけだ。

本来は、商品やサービスを企画する段階、企業として戦略の舵を切る時点で、このブルー・オーシャンを考えておかなければならないものだ。

だが、Webサイトカイゼンの実践編としては、もっと現場的に考えてみよう。現場では、他社としのぎを削っているレッド・オーシャン部分にも手を抜くわけにはいかない。まさか「うちの洗剤だけ汚れは落ちません」とは言えない。しかし、チャンスを拡大して有利な展開にもっていくには、何とか今ある商品についてブルー・オーシャン部分を探し出すという作業が必要だと捉えるべきである。汚れはよく落ちる、しかも詰め替え容器も使いやすい、という順序となる。

主力機能部分をWebサイトにアップすることは、多くの人が思いつくことだ。他の媒体広告では、それが当たり前だからだ。でも、Webは違うのだ。できれば他の広告とイメージを合わせたいという気持ちもあるだろう。だが、その結果何が起こるかと言えば、「製品情報ページを一度作ると、サイトに乗せっぱなしになる」という状態だ。主力機能が大きく変更されることは少ないからだ。タレントが契約期間満了で替わったから、こことここの写真を変えましょう、ぐらいの「ごくたまに更新」という状態になり、この状態が極端になると、事業部担当者が「うちにはあまりニュースなんかありませんから、サイトにニュース欄は必要ありません」などと言い出すことになる。

ブルー・オーシャン拡充型商品サイトの実践・7つの手順

だが、Web担当者の皆さんならおわかりのとおり、これはSEO的に考えると非常に不利である。Yahoo!もGoogleも「ひんぱんに更新しているサイトは良いサイトである」と考えている。ロボットの訪問をアクセス解析していると、検索エンジンのロボットには新情報を探しに来る専用ロボットが存在することがわかる。

企業がどんどん更新するのは、トップページとニュースリリースコーナーだから、次第にロボットはニュース欄ばかり見に来るようになり、たまに商品コーナーを更新してもかんじんのロボットが見に来ないので、なかなか商品ページが上位表示されない、というジレンマが発生する。

Webサイトでは、まず、主力機能部分で商品コーナーを立ち上げる。最初にかけるべき予算などから見れば、コンパクトにすばやくアップできることが大切である。しかしこれは“レッド・オーシャン”だ。強敵が検索エンジン上位にいて、なかなか顧客の奪い合いに勝てない。“ブルー・オーシャン”で闘うには、まずそこから少しずつプラスアルファ部分を商品サイトに計画的に追加していこう。具体的には次のような手順となる。

  1. 最初に立ち上げる主力機能部分と追加するプラスアルファ部分をリストアップする。
  2. プラスアルファ部分を追加しやすいサイト構造を作る。

    ページはいつでもいくらでも追加できるのだから、コーナートップで目次を追加しやすいデザインにしておくことが重要だ。

  3. 月に1ページ、週に1ページと計画を立てて、順次ページを追加していく。
  4. 商品トップにはニュース欄を作って、ページを追加したことがすぐに反映できるようにしておく。
  5. 追加ページは、パンくずナビゲーションなどで商品トップページにリンクする。

    そのリンク文言は「この商品のトップへ戻る」ではなく、「よく落ちる洗剤○○トップ」といった形で、重要なキーワードを含むようにする。そうすれば、ページを増やすことが相乗効果となって、コーナートップがSEO的に強化されていく。

  6. 追加ページには、評価される内容をキーワード化して、ページタイトルやページ内容にきちんと盛り込む。

    せっかく増やしたページのページタイトルが製品名だけでは、効果が半減する。洗剤であれば、手の汚れない詰め替え容器はないか、と思っている人々がある。それならここにありますよ、と言ってあげなければいけない。コーナートップには「洗剤」で検索する人が多数訪れるが、そのすべての人が「手の汚れない詰め替え容器」を評価するとは限らない。初めから「手の汚れない容器はないか」と探している人が直接このページを訪れれば、「やっと見つけた!」と商品を高く評価する確率が高い。これこそが“ブルー・オーシャン”の形である。

    プラスアルファ部分にブルー・オーシャン型集客をする場合、訪問者の意識の流れは、次のようになる。

    手の汚れない詰め替え容器はないか?

    見つけた!

    これはどの会社の何と言う商品か?

    その商品の基本機能を見よう

    実は、今、多くのWebサイトで、ブルー・オーシャン的に検索から人を集めるページは、ユーザーサポートやQ&A、用語集など、深い階層のページが多い。訪問者にとっては、「まだその商品名も何もわからない」という状態でいきなり深い階層のページを訪れるのだ。ところが、サイトを作る側は上位階層のページを見てから深い階層のページに移動する、という順序で考えているために、ユーザーサポートやQ&A、用語集など、実は顧客との出会いのフロントラインになっているページに、商品の写真も名前も掲載していないことが非常に多い。

    アクセス解析していると、ほとんどの会社で同じ現象が起こっていると言っていい。せっかくの訪問者が深い階層の入り口ページを見たのに商品名を覚えず、もちろん商品トップや主力機能のページに移動することなく帰ってしまうのである。これではブルー・オーシャン型の戦略は成り立たない。

  7. 追加ページに、その商品の写真と名前、主力機能への魅力的なリンクを掲載しておく。

    これは(6)をより具体的に改良するステップだが、勝負の分かれ目になるほど重要な要素だ。安心できる会社であることを示す社名、ロゴマーク、ブランドメッセージなどもフッターに掲載しておきたい。

    魅力的なページを見つけた訪問者は、ページ上部のロゴマークなどをほとんど読まずに、ページをスクロールダウンする。ページの左上に掲載された英文の商品名ロゴなどは(掲載しないわけにはいかないのだが)誰も読んでいないと考えておいたほうがいい。訪問者はページをスムースにスクロールダウンし、ページ上部のロゴやナビゲーションは全部上に消えてしまう。ページの下部に日本語表記で商品名や会社名をしっかり掲載して、再発見させることは、ぜひとも必要なプロセスなのである。

まとめになるが、最大の問題は、多くの会社で“ブルー・オーシャン”が意識外に追いやられていることだ。

私はセミナーなどで「あなたの会社の商品の良さを、8つ書いてください」というワークショップをよく行っている。が、おもしろいことに、かなり多くの人が、3つ書いたら筆が止まってしまう。いや、おもしろがっている場合ではない! これを思いつかないとWebサイトは「当り前のことだけ書いて載せっぱなし」になってしまうし、同業他社商品と厳しく比較されるしかない“レッド・オーシャン”部分しかないことになってしまう。だが無理やり8つまで書いてもらうと、ネタ切れでいったん筆が止まったあとの、4つ目以降が個性的なのだ。「なるほどそんな良さがあればこの商品は売れているのだろう」と思わせる項目が挙がってくるのである。開発者からすれば「そうそう、そこをもっとお客さんにアピールしてくださいよ!」と言いたい部分かもしれない。

次回は、より具体的に、ブルー・オーシャン発見や調査の実践法を考えていくことにしよう。

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