編集長ブログ―安田英久
ヤフー&オーバーチュアが力を入れる新広告システム「インタレストマッチ」は何がスゴいのか

ヤフーとオーバーチュアが、新しい広告システム「インタレストマッチ」をこの秋から開始する。

「世界初」として、オーバーチュアが広告主向けに、ヤフーが媒体向けに、それぞれ相当な力を入れて推進するこのシステムは、どういったものなのだろうか。スポンサードサーチなどの既存の検索連動型広告を知っている人向けに、わかりやすく解説しよう。

わかりやすく言うとアドセンスのようなもの(の進化版)

インタレストマッチは、広告主にとってはグーグルのアドセンスと同様なものだと考えるとわかりやすいだろう。ブログやメディアサイトに掲載されるテキスト広告だ。

オーバーチュアの主力商品である「スポンサードサーチ」は、検索連動型広告だ。つまり、ヤフー検索を中心とした検索エンジンにおいて、利用された検索キーワードに合わせた広告を検索結果に表示するもの。それに対して、インタレストマッチは、検索結果以外のコンテンツページに掲載される広告となる。

というと単なるアドセンス対抗サービスのように思われるが、インタレストマッチがすごいのは、ページの内容や訪問者によって異なる広告が表示される点。単なるコンテンツ連動型広告ではなく、さらに多様な要素でだれにどの広告を表示するかを制御しているのだ。だれにどの広告を表示するのかを制御する要素としては、次のようなものがある。

  1. ユーザーが閲覧中のサイトの内容(コンテンツマッチ)

  2. ユーザーの過去のウェブ利用履歴(興味分野ターゲティング)

  3. 都道府県など配信地域や性別・年代の絞込み(デモグラフィック)

  4. 配信スケジュールの時間指定

つまり、ブログやメディアに表示される点ではアドセンスと同じだが、アドセンスでは「そのページが何に関するページか」に応じて広告を表示しているだけなのに対して、インタレストマッチでは「その訪問者がどんなことに興味をもっているか」に応じて広告を表示する。たとえば、次のようなパターンがあるという。

  • 「ながら見」の傾向が強い分野のページならば、そのページの内容よりも、過去にどんなページを見ていたかに応じて広告を表示する。そのため、芸能ニュースの情報ページにサッカーの広告が出ることもある。

  • 趣味的なページでは、過去の閲覧履歴よりも、そのページの内容へのマッチングを優先させる。蕎麦打ちの情報ページには蕎麦打ちセットの広告を表示するといった具合だ。

  • さらに、検索結果からそのページにたどりついた場合は、何を検索したかの情報もマッチングに利用する。

また、ページの内容を解析する精度も高めており、単に「サッカーに関するページ」だけでなく、サッカーの試合に関するページなのか、グッズに関するページなのか、選手に関する情報なのかといった分析が可能だとのこと。

ちなみに、過去のウェブ利用履歴に関しては、現在はYahoo! JAPAN内の閲覧履歴だけを利用するだけだが、今後の展開は検討中とのこと。

広告主はスポンサードサーチと同様に出稿

高度な機能をもつインタレストマッチだが、広告を出稿する側は、スポンサードサーチと変わらない形で広告を出稿できる。つまり、「何に興味をもっているのか」を、キーワードで指定し、そのキーワードに対して入札価格を設定するのだ。広告の掲載順位はスポンサードサーチと同様に「入札価格+広告の品質」で決定され、広告料金はクリック課金型で請求される。

もちろん地域・性別・年代・時間帯などを指定する場合は別途指定するが、ほとんどスポンサードサーチと同じだということがわかるだろう。

とはいえ、入札キーワードの指定に関しては、インタレストマッチのほうが広告主に優しい。というのも、インタレストマッチでは、システムによって抽出されたユーザーの「興味」と入札キーワードを対応させるため、検索キーワードと入札キーワードを一対一で対応させる検索連動型広告で苦労していたような、表記揺れや細かい表現への対応が必要ないからだ。

ただし、インタレストマッチでは広告は事前審査となり、審査が終了してからの掲載となるということだ。少し面倒かも。

配信先はYahoo! JAPANの200億PV以上と各種サイトに

出稿した広告がどこに表示されるかも、広告主としては気になるところだろう。

インタレストマッチに出稿した広告は、月間200億PVを誇るYahoo! JAPANのサイト内に掲載されるほか、ヤフーの「Yahoo!ウェブオーナーセンター」に登録して「アドパートナー」となった個人ブログ個人サイト、また、ヤフーが提携する各種のメディアサイトに表示される。

また、当初はPC向けサイトへの掲載だけだが、追ってモバイルサイトへも独自技術によって対応するとのことだ。

まだ不便なところもあるが徐々に改善されるはず

2008年秋から開始されるインタレストマッチだが、残念ながら、既存のスポンサードサーチを利用している広告主でも、インタレストマッチのアカウントは別のものとなる。つまり、検索連動型広告はスポンサードサーチの管理画面を使い、インタレストマッチはまた別の管理画面を使って、それぞれ予算やレポートを管理しなければいけないのだ。

グーグルのアドワーズ広告では、1つのアカウントで検索連動型広告もコンテンツ連動型広告も管理できることを考えると、非常に面倒だ。

とはいえ、インタレストマッチは日本で独自に開発したサービスだということを考えると、米Yahoo!が中心となっているスポンサードサーチとのインターフェイスの統合には、さまざまな大人の事情による困難が存在することは容易に想像できるだろう。オーバーチュア側でもその問題は認識しているようで、将来的には管理画面を統合するインターフェイスを用意したいという意向はあるとのこと。

また、行動履歴の取得や解析、さまざまな要素を考慮したマッチングの精度も、サービス開始時点が完成ではなく、パフォーマンスをみながら徐々に改善されていくはずなので、その点にも期待したい。

ヤフーとオーバーチュアが猛烈に力を入れている新サービス

日本独自開発で世界初とうたうこの広告システム、ヤフーもオーバーチュアも非常に力を入れている点にも注目したい。

月間200億PVを誇るYahoo! JAPANだが、そのうち検索での利用は全体の6%だという。残り94%のコンテンツ閲覧ユーザーに対しては、いわゆるバナー広告などを表示していたが、その部分での収益アップを狙うヤフーにとっては、力が入るのも当然だろう。ブランディング広告に関しては既存の広告枠で対応していたが、さらに刈り取りに近い部分の広告を、94%のコンテンツ閲覧ユーザーに対しても提示できるようになるのだから。

広告主にとっても、先進的な機能を備えた広告システムが、最初からYahoo! JAPANの閲覧ユーザーに配信される状態で利用できるのも魅力的だろう。

また、Yahoo! JAPANのコンテンツページに、広告が配信されるといっても、どうせアドセンス広告のようにページ下に表示するのだろうと思っていたが、どうやらもっと積極的に露出していく予定とのこと。

もしかしたら、本家のスポンサードサーチを飲み込んでしまうかもしれないポテンシャルをもつ新サービスのインタレストマッチ、個人的には、秋にサービスが開始されたら、すぐに利用してみたいところだ。

この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト上に再掲したものです。

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