今からでも遅くない! これから始めるケータイマーケティング入門
モバイルSEOの5つのポイント――PCサイト向けSEOとの違いと対策 - 携帯マーケ入門#6

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[特集]今からでも遅くない! これから始めるケータイマーケティング入門

ケータイマーケティング入門

前回の記事に続き、モバイルSEOの具体的な対策を解説していこう。

文:中島 淑史(アウンコンサルティング株式会社)
監修:棚橋 繁行(アウンコンサルティング株式会社 取締役 兼 常務執行役員)

ケータイもPCも検索エンジンのシステムに大きな違いはない。クローラがウェブを巡回してページを読み込むとインデックスが作成され、キーワードが投げられるたびにアルゴリズムによって順位が決まり、検索結果が返される仕組みだ。だが、サイト側には主に5つの違いがある。それぞれの違いと、SEOでのポイントを解説しよう。ケータイとPCの違いは主に以下の5点だ。

  1. 公式サイト・一般サイトの区別
  2. キャリア/端末の識別
  3. IPアドレスによるアクセス制限
  4. ケータイ特有の記述言語と構造の違い
  5. ケータイ検索エンジンの仕様

(1) 公式サイト・一般サイトの区別

ポイント

PCでは、メーカーやアーティストなどが運営する公式サイトはあっても「キャリア」による公式サイトというものは存在しない。しかし、ご存知のようにケータイではキャリアが認定する「公式サイト」というものが存在する。

ドコモのiメニュー検索やKDDIのEZweb検索サービスの公式枠に表示させるためにはキャリアの公式サイトに認定されなければならない。また、公式サイト用の検索サービスには独自の仕様が織り込まれており、それらを考慮する必要がある。

対策

各キャリアの公式サイト向け検索サービス(iメニュー検索サービス、EZweb検索サービス、Yahoo!ケータイ)では、公式サイトのみをクロールする仕組みになっている。どうやって公式サイトかどうかを判定しているかが重要なポイントだ。キャリアによって呼び方は異なるが、どのキャリアでも公式サイトとして登録した範囲のURLかどうかで識別している。

キャリア 呼び名 仕様
ドコモ 検索値URL 10個まで登録可能
KDDI クロール起点URL 1つ登録
SoftBank クローリング起点URL 1つ登録
キャリアの公式サイト登録

たとえば、http://www.example.com/m/を公式サイトとして登録した場合、次の3つの条件を満たすページのみがクロール対象となる。

  • ドメイン名がwww.example.comである
  • ウェブページが/m/ディレクトリより下位のディレクトリ格納されている
  • http://www.example.com/m/からリンクでたどることができる

この条件を満たさないページは、たとえ公式サイトとして認定されたページであっても検索サービス上では公式サイトとは認識されずクロール対象にはならないので結果検索結果にも表示されない(図1)。よって、公式サイトのSEOを行う場合、必ず登録したURLの範囲内にウェブページを格納しなければならない。

図1
図1 公式サイトのSEOを行う場合、必ず登録したURLの範囲内にウェブページを格納しなければならない。また、ドメイン名は完全一致していないければならないので、http://www1.example.com/m/などの場合は、公式サイトに認定されない。

(2) キャリア/端末の識別

ポイント

ケータイサイトでは、キャリアや端末によって利用可能なサービスが異なるため、自サイトの提供するサービスに対応したキャリアや端末であるかを確認する仕組みを導入するのが一般的だ。たとえば、筆者の携帯はauの3G端末で着うたには対応しているもののデコレーションメールには対応していないので、着うたサイトでは通常にコンテンツをダウンロードできるが、デコメのサイトでは対応機種ではないというエラーページが表示されるものもある。端末の違いは、IEとFirefoxのようなブラウザの違いよりもはるかに大きい。

ユーザーエージェント
(UserAgent)

ユーザーエージェントとは、ウェブサーバーにアクセスするときに送信される情報の1つで、自分がどういったブラウザを利用しているかという情報が含まれている。この情報から、ウェブサーバーはユーザーがどんなブラウザや携帯端末でアクセスしたかを判断でき、携帯端末に応じた適切なコンテンツを表示させたり、アクセス制限をしたりできる。

対策

前述のように、多くのケータイサイトは携帯端末の識別を行う仕組みを導入しており、この仕組みを使っているケータイサイトでは携帯端末以外では正しくページを表示できない場合がある。そのため、ケータイ検索エンジンのクローラは、識別情報が含まれるユーザーエージェント(UserAgent)※1のヘッダーに携帯端末と同様の値を設定して自身が携帯端末であると装い、クロールしている。

たとえば、GoogleモバイルのクローラはドコモのN505iを装ってケータイサイトをクロールしているが、この端末は着メロには対応しているが、着うた、デコメには対応していない。そのため、一般的な着うたサイトではこの端末でアクセスした際に「対応機種ではない」と判定してしまいエラーページを表示するものが多いだろう。本来はGoogleモバイルのクローラなのだが、結果としてエラーページのみがインデックスされ、検索結果にはきわめて表示されにくくなる。また、表示されたとしても説明文には、「対応機種ではないためご利用できません」などのメッセージが表示されるので、例え表示されてもクリックされる可能性は非常に低くなる。

クローラがアクセスした場合には偽装している端末に関係なくサービスを提供しているウェブページを表示させるといいだろう。

(3) IPアドレスによるアクセス制限

ポイント

PCサイトがインターネット上でオープンにどこからでもアクセス可能な状態であるのに対して、ケータイサイトの多くは、携帯端末からのアクセスに限定するために、キャリアの保有するIPアドレスによるアクセス制限を設けている。そのため、検索エンジンのクローラがサイトにアクセスできない状態になる可能性がある。

対策

キャリア公式の検索サービスのうち、ドコモ、SoftBankについては、キャリアの保有しているIPアドレス帯域でクローラも動作している。つまり個別にIPアドレスによるアクセス制限を解除する必要なく、クローラがアクセスすることが可能だ。

KDDIでは、公式サイトの検索サービスもGoogle社にアウトソースしている関係上、公式サイト用のクローラもKDDIの保有するIPアドレス帯域と異なる帯域で動作している。つまり、IPアドレスによるアクセス制限を設けてケータイ端末からのアクセスに限定している場合、クローラはウェブページにアクセスすることもできない状態になる。同様にGoogleモバイルやYahoo!モバイルなど一般サイト向けのクローラにも同じことが言える。

もし、自社ケータイサイトがIPアドレスによるアクセス制限を実施している場合は、キャリアのゲートウェイに加えて検索エンジン各社のクローラのIPアドレス帯域からもアクセスできるように設定する必要がある。

(4) 携帯特有の記述言語

ポイント

ケータイではXHTML Basic、XHTML Mobile Profile、WML、cHTML、hdmlなど何種類かの言語が使われている。3G端末はXHTMLに対応しており、XHTMLを使ってサイトを構築するのが主流になっている。

対策

各キャリアに独自の記述言語を利用しているとなると、対応に手間がかかるが問題はそれだけではない。たとえば、hdmlはKDDIの独自仕様のため検索エンジンが解析できないといった問題があるので、SEOを考慮するなら少なくともhdmlでの制作は避けるようにしたい。最近では、ケータイでもXHTMLで論理構造を記述し、視覚要素はスタイルシートで表現するという書き方が主流となってきている。3G端末のほとんどは、HTMLとXHTMLに対応しているので、将来性を考えXHTMLで制作するのをオススメする。

(5) ケータイ検索エンジンの仕様

ポイント

ケータイ検索市場が発展途上にあるように、検索エンジン自体も発展途上の段階にある。PCと大きく異なるのは「クロールの頻度」と「インデックスの更新頻度」の2つ。

クロールの頻度

PCでは、3日に1回くらいクロールが行われ、サイトによっては毎日行われるというサイトもある。しかしながら、ケータイサイトのクロールはPCほど頻繁には行われておらず、1週間に1度、サイトによっては1か月に1回というサイトもあるほど頻度が少ない。

インデックスの更新頻度

クロール後インデックスされるまでに要する時間もケータイのほうが長い傾向にある。2〜3日でインデックスが更新されるPCと比較して、モバイルでは、1〜3週間程度を要している。つまり、クロール頻度も考慮するとSEOを実施してからその効果が現れるまでに最大で7週間程度かかることになる。

対策

執筆時点のケータイ検索エンジンは「クロール頻度」「インデックスの更新頻度」ともにPCサイトと比較して非常に遅い。前述のように、ウェブページを更新してから検索結果に反映されるまでに最長で7週間程度かかる計算だ。よって、キャンペーンや特集ページなど掲載期間の短いページの場合、検索結果に表示されたころには特集が終了しているという残念な結果になってしまう。また公開した特集ページを掲載期間終了後削除するという運用をしている場合、検索結果から来たユーザーは404エラーとなってしまう場合もある。

これらの問題は検索エンジン側のインフラに起因するとことが大きいため本質的な解決にはならないが、現状の検索エンジンの仕様を踏まえて以下の対策が考えられる。

  1. 更新を前倒しする

    はじめから検索結果に表示されるまでに7週間かかることを前提としてサイトの運営をする方法だ。PCサイトのSEOでも、新規ドメイン名を取得したとき、検索エンジンに登録されやすいよう仮ページを公開しておくことがあるが、それと同じと考えていい。

    たとえば、1か月間限定ものの特集ページなどの場合、アップして検索結果に表示されるころにはとっくに掲載期間が終了している。なので、掲載期間の1.5か月以上前にティザーページなどをアップし、先にティザーページをアップしてインデックスさせる。こうすれば特集の掲載期間中に検索結果に表示させることが可能だ。

  2. バックナンバー化する

    (1)の代替案となるのがこのバックナンバー化だ。理想的にはすべての特集にティザーを制作し、先行してインデックスさせるのが良いが、運用負荷は高い。大きなキャンペーンであれば実施する価値はあるが細かい特集でいちいち実施していられないというのが現場の声だろう。

    そこでユーザーに提供できる情報の鮮度は落ちてしまうというデメリットはあるが、特集をバックナンバーとして保存しておく。こうすれば、検索エンジンに登録されたときには特集が終了していても、アクセスしたときに404エラーとなってしまうことは避けられる。また、実施中の特集へのリンクなどを設置しておくことで、進行中の特集の集客に利用することも可能だ。

  3. インデックスさせない

    上記のような運用ができずに404エラーとなってしまうくらいなら、そもそもインデックスさせないのも有効な手段である。PCサイトと同じで、方法としてはrobots.txtを使う方法とメタタグに記述する方法の2つがある(下図)。

    どちらも手間のかからない方法なので、運用負荷もかからないだろう。

robots.txtの記述例

たとえば特集ページがhttp://www.example.com/tokusyuu_20081004.htmlとなる場合には、ルートディレクトリに以下のように記述したrobots.txtというファイルを配置することでクロールさせないことが可能だ。

User-agent: *
Allow: /
Disallow: /tokusyuu_20081004.html

※ルートディレクトリ以下のクロールはすべて許可するが、特定のページtokusyuu_20081004.htmlのクロールは許可しない場合の設定例。

メタタグの記述例

以下のようにクローラを制御するためのメタタグをページのHTMLに記述する。こうすることで、このページのクロールは実施されるが、インデックスはされなくなる。

  • インデックスは不可、クロールは可
    <meta name="robots" content="noindex,follow">
    

参考までに以下のパターンがある。

  • インデックス、クロールともに可
    <meta name="robots" content="index,follow">
    
  • インデックスは可、クロールは不可
    <meta name="robots" content="index,nofollow">
    
  • インデックス、クロールともに不可
    <meta name="robots" content="noindex,nofollow">
    

さて、このようにケータイSEOはPCと異なる部分が多く、PCのノウハウをそのまま転用してもうまくいかない。キャリア/端末の振り分けやIPアドレスによるアクセス制限など、システム側で対処しなければならない点が非常に多くシステム担当者(システムベンダー)との連携が非常に重要である。

また、ケータイの方がより鮮度の高い情報を求められるのに対して、ケータイの検索エンジンは未熟なところがある。しかしながら、利用者がある程度いる以上これらを無視した運用をするのは得策ではない。検索エンジンに合わせたサイトの運営をしなければいけないという点も見過ごせない。

ケータイ検索自体がまだ新しいサービスで今も変化している。よってそこでのマーケティング活動も形を変化していくだろう。

本稿がケータイSEOに取り組むきっかけになれば幸いだ。

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