いしたにまさきのブロガーウォッチング

池田信夫blogは、現実がなぜ理想から乖離しているのかを考えるのにとてもいい——磯崎さんの推薦ブログ

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池田信夫blogは、現実がなぜ理想から乖離しているのかを考えるのにとてもいい——磯崎さんの推薦ブログ

いしたに さて、磯崎さんには、いつも読んでいるブログの中からあえて3つを選んでもらいました。

それぞれ簡単でけっこうなので、理由をお教えください。

磯崎 「池田信夫blog」は皆さんよくご存知だと思います。辛口の切り口で、いろいろ物議を醸したりはしてますが。

いしたに まあ、そこも含めてですよね。

池田信夫blogの画面キャプチャー

磯崎 それは池田さんの性格(?)というだけでなく、「池田信夫blog」のテーマである「経済学」の特性もあると思います。2008年7月11日のエントリでは、私のエントリを引いていただいて、「結局、市場経済には『個』の確立が必要なんじゃないか」と書かれてます。経済学というのは、「他の人たちもみんなそうしてるよ」ではなく、「どういう状態が理論的に最もよいか?」を考える学問なので、「個」と非常にリンクしています。池田さんとブログでディスカッションをしているときに、「磯崎の意見の方が実務的に役に立つ」という応援もいただいたんですが、経済学は、実務と乖離しててもいいと思うんです。「理想はこうなるはずなのに、なぜ現実は違っているのか」ということを考えさせてくれるところが経済学の魅力ではないかと思うので。池田さんの話は、「なぜそうなんだ?」というのを考えるのには非常にいいんです。

いしたに 次が「おおすぎBlog」です。

おおすぎBlogの画面キャプチャー

磯崎 こちらは、中央大学のロースクールでいっしょに授業をさせていただいている大杉謙一先生のブログでして。学会でも非常に評価されている有名な先生であり、内容も非常に勉強になりますが、関西人の血に逆らえず、しょーもないギャグを挟んでくるところも魅力の一つです。

いしたに ぶはは。

磯崎 「本石町日記」、これは、日銀の記者クラブにいらっしゃる記者の方のブログです。

本石町日記の画面キャプチャー

磯崎 かなりベテランの記者さんなので、目先の現象に右往左往するのではなく、落ち着いた感じがいいですね。最近は「一萬田総裁シリーズ」というのにハマりました。一萬田尚登は戦後すぐの第18代日本銀行総裁。これも前述の問題意識に通ずるんですが、「ノー○○しゃぶしゃぶ事件」以降、役所の人たちって非常にきついルールでガチガチに縛られてしまいまして、民間との必要な意思疎通も満足にできないケースも増えましたし、ちょっと失敗するとマスコミや国民から叱られるから思い切ったこともできない。この一萬田総裁シリーズは、そういった制限とは無縁の非常にゴーカイな時代を垣間見させてくれるところがいいんです。ルールを守ること自体が目的ではなく、国のためを思って行動するという本来あるべき姿を思い起こさせてくれます。

いしたに ええ。

磯崎 前述のことにも関係しますが、日本で市場経済を活性化するにはどうしたらいいのか、というのが最近のテーマになってます。日本は90年代後半から、戦後の社会主義的な経済をやめて、市場主義の方向に走ってきたわけです。小泉政権が有名ですよね。市場経済というのは、役所がいちいちこまごま指導するんじゃなく、民間で自由にやりましょう、ということだったはずですが、実際にやってみるとライブドア事件や村上ファンドの事件などが起こり、そういう輩はけしからんということでルールが細かくなった。ルールが細かすぎて、誰にもわけがわからなくなってくるから、それからはみ出す人が出る。だから、ますますルールが細かくなっていく、という悪循環。本来、自由闊達にやらせるための市場経済だと思うんですが、なぜか「真面目」な日本人がやると、どんどん反対の方に行ってしまう悪循環をなんとか断ち切らないと。

いしたに なるほどぉ。

磯崎 日本人は、どうやったら民間の自由な力を使って活力ある社会が作れるんだろう、と思ってまして、理想の姿(?)の一つが「寺」なんです(笑)。

いしたに 普段話さない話でも、実は大事な話ができるのもブログの魅力ってことなんですね。いやあ、僕には理想がないので、全然気づかなかった(笑)

磯崎 日本で「いい仕事」してる人って、「寺」的な感じの人、多くないですか?

いしたに そこはよくわからないですけど、あの事務所の空気感はたしかにいいですよね、それはとても納得します。

磯崎 最後に納得を得られてよかったです(笑)

いしたに 今日はありがとうございました。

磯崎 こちらこそ、ありがとうございました。

まとめ:「テーマを設定する」ということ

企業ブログの場合、ブログを書いている個人の顔と企業そのものの顔、この二つの顔がいきおい出てしまい判断に悩む事などもあるかもしれません。

そういったときに、今回のインタビューに出ているようなブログの「表に出ないテーマ」というものに立ち戻ってみるのもいいかもしれません。

また、「テーマ」について、あまり考えたこともなかった企業ブログの場合は、一度自社のマインドや社是などとあわせて、企業ブログに関わるメンバーや上長などとディスカッションしてみるのもいいでしょう。

ブログを長く運営していくと、予想もできないことが起きることもあります。それがブログの面白さや醍醐味でもあるのですが、炎上などに発展する場合もあるかもしれません。

そんなときに立ち戻ることのできる「テーマ」を持っているのと持ってないのでは、その対応に大きな違いが出るのではないでしょうか。

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