実践編
“ロングテール型SEO”に着目し、“勝てるキーワード”を意識せよ

―何を解析すればいいのかわからないあなたに―

Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座
【実践編】

第1回 “ロングテール型SEO”に着目し、“勝てるキーワード”を意識せよ

「ウェブサイトの見える化&カイゼン講座」だが、今回から“アクセス解析 実践編”として、実際の数字を交えながら、データの見方とそこからのサイト改善方法を具体的に見ていくことにしよう。第1回のテーマは「ロングテール型SEO」。この方法を覚えて、確実にサイトの成果を向上させてほしい。

石井 研二(いなかどっとコム)

具体的なピンポイントで効果を上げる「ロングテール型SEO」

「SEO」を実施する意味は、ウェブサイトに多数の人を集める“集客”だと思われている。しかしこの考え方では、本当に効果の高いものにならない。SEOを行う場合、たいていのサイトが「どんなキーワードで検索されるのが望ましいか?」という、企業側の希望で対象キーワードを決めていると思う。だが、この方法だと「意外に効果の高いキーワード」を見落としてしまうからだ。企業が望ましいと思うキーワードは、どうしても「母数が多い」ものになりがちだ。多くの企業が考えるSEOは、「ビッグワード型SEO」、つまり検索母数が多いキーワードを中心に行う対策となっている。これは仕方のないことだ。

一方、「母数は少ないが効果が高い」という意外なキーワードも実は存在する。これに着目したのが「ロングテール型SEO」だ。ロングテール型SEOは、ビッグワード型よりも対策が楽で安価、しかも効果の高いことが多い。それは、次のようなものだからだ。

  1. キーワードがより具体的で、ライバルサイトが少ない。
  2. 検索者のニーズも具体的で、購買意欲の高い人が多く含まれる。
図1 「ビッグワード型SEO」と「ロングテール型SEO」
図1 「ビッグワード型SEO」と「ロングテール型SEO」
母数は少ないが効果が高いキーワードに着目するのが「ロングテール型SEO」だ。
ロングテール型SEOでは、具体的で効果の高い少数キーワードへの対策を積み重ねていくこととなる。

「ロングテール型SEO」は、概念として広まってきているが、どんな実像になるのか、まだピンときていない企業ウェブマスターが多いように思われる。具体的には、

  • 10回訪れたら、2回コンバージョンが発生する
  • 3回訪れたら、1回コンバージョンが発生する

といった状況になるのが、ロングテールで効果の高いキーワードの実像である。これだけ効果的なキーワードが300語句あれば、それだけで300~600回のコンバージョンを得られることになる。訪問数はわずか900~3,000回。夢のようなCVRだ。実際にこうした状況があることをまだ多くの人が信じていない。

普通、0.5%のCVRで300回のコンバージョンを得ようと思うと、

  • 300CV ÷ 0.5% = 60,000訪問

と、非常に多い訪問者を集めなければならない。しかしうまくロングテール型SEOを組み合わせていけば、これを63,000訪問に増やすだけで、コンバージョンをさらに300回上乗せし、合計600回にできるのだ。

大半の人がこれを“うますぎる話”、“夢物語”と思い、“誇張が過ぎる”と考えている。しかし、アクセス解析の現場から見ると、これはそれほど極端な話ではない。つまり、現在多くの企業サイトでコンバージョンを行っている訪問者は、非常に“細かな検索”で訪れている人たちなのである

効果が出ているキーワードの傾向をとらえるのは「パターンの意識」

では、「細かな検索」とは具体的にどういうものを指すのだろうか? ある人材系サイトでは、

  • 転職 設計 札幌
  • 大阪 求人 CADオペレータ

など、3単語のフレーズで訪れた人によって、コンバージョンが行われていた。また別の不動産系サイトでも、

  • ペット可 賃貸 三軒茶屋

などの3単語のフレーズが見られた。こういった検索は、確かに母数は少ないだろう。しかもバリエーションを考えると無数に思えるから、あらかじめ候補を選んで対策を行うのが、非常に難しく感じられるかもしれない。しかし、このフレーズの例を見るだけで、「パターン」が見えてくるはずだ。

地名 + 重要キーワード + 特徴キーワード

という組み合わせだ。この順に並べて、いま一度、先ほどのサンプルを整理して把握し直すと、

  • 札幌 転職 設計
  • 大阪 求人 CADオペレータ
  • 三軒茶屋 賃貸 ペット可

となる。

これらのフレーズを見れば、なるほどニーズが具体的で、これで良い情報が見つかったらすぐにコンバージョンしてくれそうに思えないだろうか? 60,000人が訪れて300人がコンバージョンしているウェブサイトは、CVRが0.5%であまり成績が良くないと思われているかもしれない。おそらくアクセス解析をすれば、40~50%と比較的高い直帰率となっているだろう。半数近くが直帰しているというのは嬉しいことではない。しかし、実際に300人がコンバージョンしているのだから、これを詳しく分析しなければならない。

ロングテールキーワードの「出会いの瞬間」に絞って
アクセス解析してみよう

まずはコンバージョンしている総数について、“出会いの瞬間”を突き止めることが大切である。そのために必要なのは、コンバージョンが完了したことを示すURLの特定だ。

多くの場合コンバージョンは、CGIなどを使った顧客(訪問者)による情報送信によって行われる。そしてコンバージョンが完了すると「ありがとうございました」という表示が行われているはずだ(いわゆるサンキューページ)。このサンキューページのURLを記録するのだ。 サンキューページのURLは通常、

  • http://www.example.co.jp/form/thankyou.html

といった形になっているだろう。アクセルログデータ上では、これは「/form/thankyou.html」として記録されている。ログデータ上では、「http://www.example.co.jp」の部分は記録されないので、注意したい。

この表示回数を見れば、コンバージョンが300回なら300回ということになるわけである。未加工のログデータを、たとえば秀丸のような、大量のデータを扱えるエディタで開いてみよう(秀丸なら、条件に合う行を抜き出してくれる「grep」という機能がある。「検索」メニューの一番下にある「grepの実行」を選ぶと、「検索する文字列」を記入できるウィンドウが出てくるから、その記入欄に「/form/thankyou.html」というサンキューページのURLを入力する)。

こうして集計すれば、膨大なログの中から、サンキューページが含まれている行を全部抜き出してくれる。これを別ファイルとして「名前を付けて保存」すればまずはOKだ。コンバージョンした人がすべて抜き出されたことになる。そこには「コンバージョンした人のIPアドレス」「コンバージョンが完了した日時」も含まれる。

「コンバージョンした人のログ」に現れるIPアドレスを含む行を、元のアクセスログ全体から抜き出せば、コンバージョンした人の足取りが全部わかることになるわけだ。

また、IPアドレスで抽出したログファイルをそのままアクセス解析ソフトにかければ、「コンバージョンした人はどのページを入り口にしたか」「どんなキーワードで来た人が多いか」「アクセスの途中でどのページを経由することが多いか」「どんな曜日、時間帯が多いか」など、詳しく見ることができるだろう。今回、特に注目したいのは「出会いの瞬間」。つまり、「キーワード」「誘導元サイト」そして「入り口ページ」である。

300人がコンバージョンしているなら、3分の1の100人ぐらいは検索から訪れた人だと想定できる。さらにその3分の1(33人ぐらい)は、会社名や製品名など、非常に重要な固有名詞キーワードかもしれない。そうすると、残りの67人ぐらいが「ニッチとも思えるロングテールフレーズ」で訪れているわけだ。

ロングテールフレーズをKJ法でさらにマイニング

この67人のキーワードは、今、コンバージョンした人だけを抜き出したから目立つ状態になっているが、普通にサイト全体の解析をしていると全然目立たない、訪問回数の少ないキーワードだろう。母数が少ないとぶれが出る。つまり、

  • 大阪 イタリア料理 予約

で3人来て1人がコンバージョンした、という解析結果が出たとしても、「このフレーズで訪れればいつもコンバージョンが発生する」とは断言できないのだ。同じキーワードで訪れても、コンバージョンがゼロになる月もあるだろう。発生確率は高いと言っても、母数が少ないのだから、ゼロになる場合も出てくるのだ。

また、似たようなキーワード、たとえば

  • 大阪 イタリア料理店 予約

では今回コンバージョンがなかったかもしれないが、この1回だけでこのフレーズはだめだ、とも決められない点も要注意だ。

こうなると、コンバージョンがあったそのキーワードだけで満足するのではなく、先ほど見たように、キーワードの傾向を掴むことが大切になる。「どんなタイプのキーワードならチャンスがあるか」ということを掴まなければならない。

まずは、コンバージョンした人だけのログ解析結果から、キーワードのリストをプリントアウトしよう。まったく重複がなかったとしても300行だから、大変な作業や出力コストにはならないはずだ。次にキーワードリストをプリントアウトしたら、これをすべてキーワードごとにバラバラにハサミで切り取る。こうした作業を行えば、大切なキーワードが身に沁みて理解できるだろう。そしてバラバラに切った紙をすべて束ねて片手に持ち、1枚採り上げて、机に置いてみる。2枚目を持ち、最初に置いたキーワードと似ていると思えば近くに置く。全然違うと思えば1枚目とは少し離れた場所に2枚目を置く。同じ作業を3枚目、4枚目…と繰り返していくと、次第にキーワードのパターンが地図のような図面となって現れるのである。これは発想法として有名な「KJ法」の方法をキーワード分析に応用したものだ。

図2 KJ法によるキーワードマイニング
図2 KJ法によるキーワードマイニング
キーワードをプリントアウトした紙をバラバラにし、似たキーワード同士を直感的にグループにまとめていく。この過程でさまざまな検討を加え、キーワードを整理していくことで、ロングテールフレーズの「勝てるキーワード」が見えてくる。

キーワードパターンがわかれば、そのパターンのキーワードがより多く訪れるように対策すれば良いのである。実際には多くのウェブサイトが「大阪 イタリア料理」でヒットするように作られている。また、別のページで「イタリア料理 予約」でヒットしやすく作られている。ところが、「大阪 イタリア料理予約」の3キーワードを同時に含むページというのが意外にないのである。

このように、ロングテールフレーズの「勝てるキーワード」のパターンを理解してから制作会社と話せば、必要なコンテンツが何か、的確に検討できるだろう。これこそが「ロングテール型SEO」の肝である。

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