企業ホームページ運営の心得
見積もりが高いといわれたら。Noという交渉術

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の八十弐

社長、最初からいったでしょ

「社名での検索は意味ないよ」。納品したサイトが侮蔑のニュアンスも込めて否定されたのは、SEOが一般的に知られていない時代の話です。

依頼はこうでした。数年前に知人に作らせたサイトが検索エンジンで行方不明状態なので「社名」で検索されるようにしてほしい。この会社は路線バスの看板、地域誌、チラシなどに莫大な広告費を投じ、社長の親が経営するまさしく親会社も地元の有名企業で「社名」は知れ渡っており「社名検索」で見つかることはとても大切です。

ですが需要からアプローチするSEO(正しくはSEM)も重要です。この重要性を2時間にわたり説いたのですが「まずは社名だけで」と押し切られました。そして納品したときには無意味と断じられました。

納品のときに話が変わっていることは多々あります。こんなときには「No」といいましょう。

お客様は神様なんかじゃない

社長はどこかの「セミナー」で仕入れたSEOのご高説を垂れます。にわかSEOの説明を一通り聞き終えて私は前章の小見出しの台詞を返し、こう続けました。

「2時間説明しても“まずは社名”とゴリ押ししたのはそちら」

地元の「セレブ」企業とことを構えるのは得策ではありませんが、理不尽な主張に頷くと首が絞まることがあります。お客様は神ではなく、BtoBならばビジネスパートナーであるべきですし、間違いがあれば2つ返事ではなく指摘してあげるべきです。些末な「条件闘争」において「負けるが勝ち」は認めますが、商売道具を否定されて引くことはできません。それは存在の否定につながり、長期的な利益を損ないます。そして言いました。

「商売用にSEOは不可欠。聞く耳を持たなかったのは●●さん、アナタでしょ」

話を聞かない客に振り回されるな

社長は口を閉ざし、通りかかった社員をその場で「担当者」に任命し足早に去っていきました。経験則ですが、聞きかじった知識を振りかざし、自分の発言を忘れるタイプには明確に主張や否定をしなければなりません。否定されなかった事が、自分の正しさの裏付けと増長して周囲に触れ回ります。反対にこのタイプは自分が一番偉いと思っている傾向があり、そのためか歯向かう人間の存在を認めません。まして過ちを指摘されたとなれば面目が潰れると思うからか周囲に漏らすことがなく「口封じ」ができます。

代わった担当者はあどけなさの残る二十歳ぐらいの青年です。彼も変わっていました。ひと言で表すなら無礼。彼はタダ働きさせようとします。

納品から1か月以上経過して「間違いがある」と電話がありました。確認すると提出された資料の記述の誤りでこちらに非はありません。しかし「1箇所だけだから」と食いさがります。担当者の顔を立ててと、一度は応じました。翌月また事務所の電話が鳴ります。今度もタダでの変更依頼です。そこで当初の契約にない旨を伝えると「じゃあ見積もりを出せ」と命じられました。

理不尽な要求にはこう答えろ

ファクシミリで見積もりを送ると折り返し電話があり「高すぎる」と語気を荒げます。ちょこちょこっと直すだけでこの値段はないと興奮しています。そこでいいました。

「ちょこちょこっとならご自分でどうぞ」

居丈高な坊やにもわかるように説明を加えます。

「理髪店で髪をちょっと切っても、ごっそり切っても同じ料金でしょ? 私たちは技術で飯喰っているんだよ」

坊やは急に大人しくなり「社長に相談します」と敬語で返し、それ以来、我が社の電話は鳴らなくなりました。「変な社長」の会社は社員も「変」で、それは「社風」と呼ばれるものかも知れません。

おかしな話には「No」といいます。無茶に対しては無理といいます。交渉決裂は重要なカードです。理不尽な客を切れる「コスト」と考えれば妥当です。

営業マンを使いこなすコツ

実際の交渉はWeb担当者ではなく営業マンの仕事であることが多いでしょう。そして営業マンの無理に泣かされる制作現場という話はどこでも耳にします。そこで制作現場が営業マンを使いこなすための工夫も1つ紹介します。

初めにあえて営業を弁護します。

ドラマなどのイメージからか営業は、接待などで美味しい思いをしていると根も葉もない噂をされ、外回りをしていると社内の話題に乗り遅れ、会社に戻り疎外感を覚えます。一方、客には頼りにされます。すると社内と客のどちらが「味方」か混乱することがあるのです。

私は営業上がり。制作部署を立ち上げた際に営業マンにこういいました。

「営業あっての制作部署です」

他界した私の営業の師匠には特に念入りに伝えました。すると彼は制作現場の守護神として、ときに客と喧嘩寸前の交渉の末、有利な条件を勝ち取ってくれるようになりました。

成績のためだけに動く営業マンもいますが、多くは客との接触時間の長さによりどちらが味方かを忘れているだけです。

頭の下げ時は間違えるな

交渉結果が必ずしも望むものになるとは限りませんが、「No」により決裂したとしてもそれが最善であれば問題ありません。そして意外に思うかも知れませんが「No」といってまとまる話も多く、「できないこと」を明示する姿勢は高く評価されます。

ちょっと想像してみてください。寿司屋でカレーをだせという客の注文に応じる店と、断る職人のどちらの「にぎり」を食べたいでしょうか。

最後に「No」を受け入れてくれたときが交渉の見せ場です。深々と頭を下げ、譲歩に感謝の言葉を捧げます。そして「No」を「わがまま」と述べ詫びます。日本人社会的には頭を下げることで交渉過程の無礼は水で流せ、譲歩への感謝の言葉が相手の顔を立てます。そして貸し借りなしの「清算(チャラ)」となります。不利な状況で頭を下げるのは愚策です。頭は自分が優位に立っているときに下げます。

交渉には「No」と「決裂」というカードがあります。このカードをテーブルに切り出すその瞬間までは常に笑顔でいるのも大切です。笑顔で伝える「できません」は破壊力があります。

♪今回のポイント

交渉は相手を平伏させることではない。

嫌な相手とは早々に「決裂」するのも一手。

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