オムニチュアが注目する3つの米国最新トレンド

オムニチュアが注目する3つの米国最新トレンド

(1)「ウェブサイト体験の最適化」(事例紹介:デル、CNET)

続いて、ジャパンカントリーマネージャの尾辻マーカス氏にバトンタッチし、オムニチュアの考えるマーケティングの最新トレンドとして、「ウェブサイト体験の最適化」「Web 2.0解析」「統合型マーケティング効果測定」といったタームと、米国での事例が紹介された。

オムニチュアサミット07
ジャパンカントリーマネージャの尾辻マーカス氏(右側)も熱弁を振るう

まず「ウェブサイト体験の最適化」というテーマで、デルの事例が紹介された。直販を営業戦略とするデルにとって、インターネットのチャンネルは非常に重要であるため、行動ターゲティングソリューションである「Omniture Test & Target」を使いランディングページの最適化を行っているとのこと。訪問者が使ったキーワード、過去の閲覧履歴やアクションをもとにトップページに表示される広告のカスタマイズなどを行い、それにより27%の売り上げ増が実現したという。

またCNETについて、音楽購入サイトMP3.comのウィジェット利用の効果測定をSiteCatalystで行っている事例が紹介された。CNETでは、どういったアーティストのサイトを過去に見てどういった音楽をダウンロードしたかを分析したうえで、コンテンツそのものをカスタマイズしている。「アマゾンなども同種のカスタマイズを昔から行っているが、技術を上手く使うことで、どんどん一般的になっている」と指摘した。もちろんその背景に、オムニチュア製品による分析があるわけだ。

これは基本的には、ターゲティング広告やLPOの流れの強化(そのための効果測定)ということになる。

(2)「Web 2.0解析」(事例紹介:NBC、MTV)

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自社サイト以外での分析も重視する「Web 2.0解析」

次に、NBCとMTVの事例が「Web 2.0解析」という括りで紹介された。

放送業界の企業は、インターネットへの取り組みでずっと悩んできたと思うが、最終的にはウェブにコンテンツをアップロードして、どのような結果が得られるかを見極めるため、Web 2.0的な取り組みに力を入れている」と尾辻氏は述べ、NBCのサイト単体ではなく、他のSNSサイトやYouTubeでのコンテンツについても正確なデータ測定を進めていると紹介。NBCのウィジェットについては、人気、バイラル効果、トラフィック効果についてSiteCatalystで効果測定している一方、動画については、SiteCatalyst 14の新機能「ビデオトラッキング」を使い、効果測定を行っているという。

同様にMTVではミュージシャンのプロモビデオ作品について、特に広告の効果測定に力を入れていることが明らかにされた。新しい広告媒体として提供するときに、どのぐらい見られているのか、最後まで見ているのかなどの実測値を広告主に示すことで、クライアント向けデータとして説得力を持たせているとのこと。

要は、単一のページにおけるアクションの解析だけではなく、SNSで利用されているガジェット、自社サイトやYouTubeにおける動画配信といったものについても、その利用率、利用時間、アクションなどをウェブ解析の一環としてトータルに測定していこうという動きである。

(3)「統合型マーケティング効果測定」

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包括的な評価を実現する「統合型マーケティング効果測定」

「統合型マーケティング効果測定」とは、“SEM、バナー、ウェブサイト、メール、そしてコンバージョンなど、おのおの異なる評価軸について、包括的に見る”というトレンドだ。

オムニチュア自体のサイト画面を例に、「コンバージョンにつながる手前のキャンペーンばかりが評価されるが、多くの場合、バナー広告を数回見ていたりメールに眼を通していたり、そこに至るまでの過程でも影響を与え合っている。部分的に見るのではなく、お互いの相乗効果を包括的に見て、最適化するのが最新トレンドだ」と尾辻氏は解説する。

メディアに掲出したディスプレイ広告、検索エンジンマーケティング、サイト内検索、ランディングページ、そしてEメールマーケティングなど、コンバージョンに結び付いたページやコンタクト手段だけでなく、そこに至る過程をチェックし、その相互の影響にも着目し、包括的な評価を実現するのが重要になってくるわけだ。たとえば検索エンジンからの流入が多かった場合だと、バナー広告の効果がなかったように思えるため、広告予算のなかでのキーワード広告の予算を増やしてしまいがちだが、実態はそうではないという指摘だ。

これに対して、SiteCatalystに加え、SearchCenter、Test & Targetといった製品、そして他社製品/サービスとSiteCatalystを連携させる「Genesis」がその役目を担うと説明。「Genesis」は米国においてはすでに130社以上の企業とのパートナーネットワークが形成されており、既存顧客からさまざまな他社ソフトや他ベンダーとの統合要望が届いているという。日本では未リリースだが、尾辻氏は「日本でのジェネシスパートナーを選んでいきたい」とも発言しており、これからが楽しみな製品だ。

「レポーティングと分析」「キャンペーン管理」「コンバージョン」
オムニチュアが特化する3つの分野

ここから再度ジェイムズ氏も登壇、将来的なオムニチュアの戦略について語っていった。

両氏はまず「1995~2002年まで、あまり重要なものとしてウェブ解析は捉えられていなかった。もちろん解析は行われていたが、オンラインマーケティング活動の1つに過ぎないという認識だった」と指摘する。そのうえで「マーケティングを統括する立場のお客様と話をしていたときの具体例だが、バナー、アフィリエイト、メルマガなど自社のそれぞれのマーケティング担当者に“売り上げに何パーセント貢献したか自己申告しろ”と命じたところ、加算すると100を超えてしまった」という笑い話を披露した。もちろん担当者の身であれば笑い話にはならないだろう。

ではなぜこのようなことが起きるかと言えば、SEO、広告配信、バナー、Eメールなど、それぞれのシステムと評価軸が異なるからだ。これでは的確な意志決定も下せないため、すべてのデータを集約し、オンラインマーケティングでの活用を包括的に分析するアーキテクチャが必要となってくる。

一般的なサービスを初め、Eメールマーケティング、サーチマーケティング、CRM/SFA、コンテンツ管理、プラットフォーム、ディスプレイ広告、サイト分析、ユーザー体験、サイト内検索などのあらゆるウェブ関連のサービスでの分析を行いながら人工知能的な処理を使うことで、“インテリジェンスマーケティング”が行えるというのがオムニチュアの未来イメージだ。可能なる限りデータに基づき自動的に顧客対応を行うことが、同社の最終的な指向なのだ。

現在オムニチュアの製品は、次の5本の柱から成り立っている(Test & TargetとGenesisは現時点で日本未発売)。

オムニチュアの現行製品
  • ウェブ解析の「SiteCatalyst」
  • キーワード広告の自動パフォーマンス管理ツールの「SearchCenter」
  • ABテスト/多変量テストや行動ターゲティングのための「Test & Target」
  • 各種マーケティング施策の効果をプラグ&プレイで統合的に管理する「Genesis」
  • さらに深い洞察&高度なセグメンテーションでデータを分析するための「Discover」

これらオムニチュアの現行製品、そして将来リリースされる製品は、目的から大別すると、次の3つの分野に分かれるとジェイムズ氏は考えている。

3分野で進めるオムニチュアの製品戦略
  • レポーティングと分析
  • キャンペーン管理
  • コンバージョン

まず「レポーティングと分析」を代表するのはSiteCatalystだろう。「キャンペーン管理」にはSearchCenterが該当し、SEMのキャンペーンを最適化する製品となる。そして実際にサイトに来てからの振る舞いを誘導し、結果に結び付けるのが「コンバージョン」だ。もちろん、独自開発の製品だけでなくオムニチュアでは買収や提携も視野に入れているとのことだ。

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