編集長ブログ―安田英久
“惹く”タイトルを付ける脳トレーニング法

今回は、ネットユーザーが「おっ」と興味をもつようなタイトルを考えられる脳を作る方法を解説する。

残念ながら、この記事では「良いタイトルを付ける方法」を説明することはしない。なぜなら、どんなユーザー層にアピールするのか、アピールしたい中身がどのような企画なのかによって、どんなタイトルが良いのかは変わるからだ。

タイトル付けの対象はウェブ上の記事や企画とする。また、SEOではタイトルは非常に重要だが、今回はSEOのことは考慮していない。人間の興味をひくためのタイトルを作る方法論に集中する。

具体的なところを解説する前に、次の質問に対する答を考えてみてほしい。

どんな記事タイトルが“良い”タイトルなのか

この問いに対する答えとしてよく出るのが、「中身をうまく表しているもの」「どんなものかが一目でわかるもの」といったものだが、これは正解だとは言えない。

ここでの正解は「中身に興味をもたせるもの」「見てみよう、読んでみようと思わせるもの」といった答だろう。

つまり、タイトルの役割は「興味をもってもらうこと」であり、タイトルの作り方は、その1点を目的に作るべきなのだ(そのうえで、ブログで紹介されやすいか、SEO的にどうかなども考慮していくのだが、あくまでも達成すべき役割は「興味をもってもらうこと」である)。

タイトルで内容を表しすぎると中身が想像できすぎて興味を失われる場合もあるし、凝ったタイトルでも興味を惹かなければクリックしてもらえない。また、技術書や学術書や論文や報告書のような、「ウェブデザイン論」「ネットにおける主婦層のコミュニティ参加動向について」といったタイトルは、そのテーマに興味のある人は惹き付けられても、新たに興味をもってもらうにはタイトルとしては弱いので使う際には注意が必要だ。

では、ネット的な「興味をもってもらい」「読もうと思ってもらえる」タイトルは、どうやって付ければいいのかを説明しよう。ここの流れは、次のようになっている。

  1. 「良いタイトル」のパターンを知る
  2. さまざまなタイトルやキャッチに数多く触れて慣れる
  3. 実際にタイトルを考える際に適切な「刺激」を得る
  4. 浮かんだタイトルを整理して良いものを抽出する

【1】「良いタイトル」のパターンを知る

まずは「良いタイトル」の既存のパターンを理解しておこう。

Web担編集部では、新しいスタッフにはまず次の2つの資料を参考資料として見てもらうようにしている。

だいたいの「受けるタイトル」のパターンが上記の2つの資料に書かれている。出ていないのは、使い古された(でも未だ使える)「○○をする○○個の方法」というパターン(「CMS導入でSEO効果を引き出す10のポイント」のようなもの)と、「できるだけタイトルには具体的な数字を入れる」というやり方ぐらいだ。

この資料を印刷して、常に参照できるように手元に置いておく。

ただし、ここに書かれているものをそのまま使うわけではない。あくまでもパターンを知識として知っておくための資料として使う。印刷するのは別の理由があるのだが、それについては後ほど解説する。

【2】さまざまなタイトルやキャッチに数多く触れて慣れる

ざっくりとタイトル作りのパターンに触れたら、次は、さまざまなキャッチやタイトルに日常的に数多く触れていくことが重要だ。

次のようなサイトを日々眺める習慣を付けるといいだろう。

【雑誌ネット】最新中吊り広告一覧
http://www.zassi.net/latest_ad_list.php

はてなブックマーク - 過去の人気エントリー
http://b.hatena.ne.jp/hotentry?mode=daily

ただし、ただ漠然と眺めていてもダメだ。「良いキャッチやタイトルを探し、その裏にあるパターンを探る」という目的意識をもって見るのが大切だ。

【3】実際にタイトルを考える際に適切な「刺激」を得る

さて、実際のタイトル付けの段階だ。ここでは、次の点に注意しよう。

  1. タイトル作りには時間がかかることを覚悟する
  2. いろんなパターンを出すための「刺激」を用意する
  3. 「ちょっと違う」ではなく「全然違う」パターンを作っていく

●時間 まず理解してほしいのは、良いタイトルはすぐには出てこないと覚悟することだ。ブログ記事などでは30秒もかけずにタイトルを付けていることも多いだろうが、良いタイトルを付けたいのならば、慣れるまではタイトル決めだけで15分~30分はかけるべきだろう。プロの編集者でも、本のタイトルを確定させるまでに何週間もかけることがあるのだから。

●刺激 もちろんタイトルを検討する際には、どんなコンテンツなのか、読者のどんなニーズに応えた記事なのかなどを考えながら、「惹く」タイトルを探す。しかし、文章を前に1人で考えていてもなかなかアイデアは出てこないものだ。

しかし、考えているときに適切な「刺激」を受けると、良いアイデアが出やすくなるものだ。そこで活躍するのが、前述の4つの資料だ。タイトルを考えるときに、「読者を惹き付けるブログのタイトル」や中吊り広告を眺めるのだ。

別に、チートシートに書かれた方法をそのまま使ってタイトルを作るのではない。中吊り広告に出ていたキャッチを真似するわけでもない。アイデアをひねり出すための刺激を、そういった資料からうまく受けるのが大切なのだ。考えている「そのとき」にさまざまなタイトル表現に触れることで、思わぬヒントを得て発想できたりするものだ。

●パターン プロのコピーライターならば、キャッチコピー案を200個挙げるなどは当然だが、そこまで時間はかけていられないだろうから、まずは10個を目標にしよう。

その際に、さまざまな方向性を試すことが大切だ。たとえば、CMSでSEOをうまくやるノウハウの記事のタイトルを考えているとすると、方向性の似た「CMSでSEOする10の方法」「SEOのためのCMSのワザ」といったものを10個出すのではなく、「コンテンツ管理と集客は両立できる!」「ベンダーは教えてくれないCMSの重要ポイント」「人気サイトへの道をCMSでかっ飛ばせ」「CMS×SEO=あなたの給料アップ」のように、さまざまなバリエーションやキーワードを考えるのだ。

売りになる独自の要素がコンテンツにあるならば、それをうまくタイトルで強調することも忘れてはいけない。たとえば、筆者が著名なSEOコンサルタントならば「著名SEOプロが必ず実行しているCMSのワザ」と表現したり、実際に20種のCMSに対応する実装方法が解説されているのならば「20種類のCMSでSEOを効かす実装方法一覧」としたりするのだ。

アイデアのパターンを出すうえでは、類語辞典を使うと便利だ。

Yahoo!辞書の類語辞書
http://dic.yahoo.co.jp/

金銭的に余裕があるのならば、言語工学研究所のダウンロード版類語検索が、使いやすくて非常に便利だ。

http://www.gengokk.co.jp/thesaurus/
http://shop.vector.co.jp/service/catalogue/sr128420/

【4】浮かんだタイトルを整理して良いものを抽出する

10個のタイトル案が出たら、それを整理してふくらませたり組み合わせたりして、最良のタイトルを作りだそう。

この段階では、すでに作ったタイトルを「単語」と「表現パターン」それぞれの要素に分けて考え、組み合わせを変えてみるのだ。

たとえば、「CMSでSEOする10の方法」「コンテンツ管理と集客は両立できる!」「CMS×SEO=あなたの給料アップ」という3つのタイトルを見てみよう。

単語としては、「CMS」「SEO」「10の」「方法」「コンテンツ管理」「集客」「両立」「できる」「!」「あなたの」「給料」「アップ」がある。

表現パターンとしては、「○○で○○する○個の方法」「○○と○○は両立できる!」「○○×○○=○○」がある。

その組み合わせを入れ替えたり微調整したりすると、「CMSでの管理とSEOの集客を両立させる10の方法」「CMSとSEOを両立して給料アップ!」といった表現を作れる。最初にいくつか作ったパターンを分解して再構成することで、さらに多くのバリエーションを作り出せるのだ。

また、この際に、良い単語を残して、使えない単語を落とすといった作業をしたり、次のようなタイトル作りの表現上の原則を適用したりするのもいいだろう。

  • 漢字、かな、カナ、英語のバランスを「見る」
  • 強調したい単語を先頭にもってくる

こうして、最も効果的だと思われるタイトルを見つけていく。


以上が、Web担編集部で記事のタイトルを考える際に行っている方法論だ。おそらく「考える際にうまく刺激を得る」点とその良い方法が、情報として最も役に立つ部分なのではないかと思う。

ただし注意してほしい。あなたがリーチしたいと思っているユーザーを想像しながらタイトルを作ること。その人たちが興味をもちそうな要素を考えながらでなければ、「受ける」タイトルにはなりにくいものだ。

このやり方で「ネット向けタイトル脳」を日々鍛えて、自分のユーザー層に対して「より受けるタイトル」を探っていけば、1年後には、あなたの脳は、より良いタイトルを短時間で考えられるようになっているはずだ。

実践してみて、効果がでたら編集部に教えていただきたい。また、「自分はこういうやり方でやっている」という手法も紹介していただけるとありがたい。

この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト上に再掲したものです。

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