企業ホームページ運営の心得
ドコモの料金は高いか安いか。いくらで売る? 相場を無視する価格のつけかた

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の七十七

アンフェアな料金設定

本稿執筆時、行きつけのガソリンスタンドがレギュラーガソリンを約20円値上げしました。交通網が未整備で「区内移動」には自動車を使う足立区の自営業者としては、ガソリン価格は切迫した問題です。

原油高による「ガソリン暴騰」は仕方がありませんが、「原油価格」にはいくつかの種類があるという噂をご存じでしょうか。先進国と新興国向け、イスラムと非イスラムなど。気前が良く、文句を言わない日本人観光客にだけ高い料金を請求していた、ちょっと前の香港での「日本人価格」のようです。腹立たしい話しですが「価格」を店の都合で決めるのは当たり前の話し。

「価格」は商売の成功に直結します。消費者からすれば1円でも安くと思いますが、売る側に廻れば10円でも高く売りたいものです。

相場を無視して儲かる仕組みを構築

ガソリン価格に翻弄される不便な足立区の片隅の私のところに日本全国から相談者が訪れます。「いくらで売ればいいでしょうか」。定価や仕入れ値が決まっている商品なら、考えるのは「値引き」と「相場」でよいのですが、技術やサービス、独自商品ならば値段を決めなければなりません。高い、安いと助言するコンサルタントはいても、元となる「価格」を教えてくれるところがないと嘆きます。実は本稿は昨年寄稿した「値上げする快感」のアンサーソングならぬ、アンサーコラム。元値の付け方の話しです。

価格(売価、売値)を決める際には相場を無視します。後述しますが、相場から価格を考えるのは大変危険なのです。

2つのアプローチと、2つの視点をこれから見ていきます。

アプローチ1:固定利益型

ある中古自動車販売店は40万円で買い取り、42万円で販売します。仕入れに対してわずか5%の利益しかありません。クルマは大根や玉子と違い、1か月に何回も買われるものではなく、広告宣伝、人件費、また「売れない」ことによるリスクを考えたら十分な儲けではありません。価格には「売れ残り(ロス)」も含めておくものだからです。八百屋や花屋などは、傷んで売れなくなる「廃棄ロス」が価格に含まれます。季節衣料の「定価」も同様で、シーズンの終わりのセールは十分に儲けた後のまさに「処分市」です。

固定利益型では、一回の取引あたりで得られる「利益」を最初に決めます。1万円でも10万円でも「取引」が成立すれば、確実に儲けが見込めるという仕組みです。自動車の価格には「車両価格」と「諸費用」があり、諸費用に店独自の「整備費」が組み込まれ、これが利益となります。メンテナンス、保守、更新手数料、事務費。名目は業種に併せて変幻自在です。

アプローチ2:売上連動型

一般的に「積算」と呼ばれるものです。「価格」を論理的に考える材料となります。

原材料費に人件費、外注費や輸送コスト、「包装費」なども忘れずに足していきます。合計を「原価」とし、これに「営業利益」として一定割合をかけ、加えます。原価が90万円で割合を10%とすれば、価格は99万円になるということです。利益分は販管費や営業管理費とも呼ばれ、リスクに見合った利益を設定できるのが特徴です。

原価(材料費+人件費+運送費+etc)×営業利益=価格

商売の現場では「夜逃げ」は珍しくなく、「夜逃げ王」と呼ばれた私は何度も現場に遭遇しました。各種経費は代金を受けとるまで「持ち出し」ですから、原価が100万円と1万円ではリスクが異なるのです。この「方程式」をエクセルにでもいれておけば、さまざまなパターンに即座に対応できるのも魅力です。

価格を決定する2つの視点

2つのアプローチは商品やサービスごとの視点ですが、こちらはビジネス全体を見渡す視点です。

「中間問屋系」のネット通販業者によると、仕入れに対して3割乗せた上代(価格)にしないと儲からないといいます。倉庫の賃料などの経費の他に、全国一律の「送料」を打ち出したことで、販売代金によっては「赤字」となる地域があるためです。単独取引の赤字に目をつぶることにより、地域ごとの送料設定という手間を省き、お得感をアピールする戦術です。

新規0円。究極の「お得感」で生じる新規顧客獲得活動での赤字を、永く使っている「常連さん」から徴収した月々の利用料金で埋めていたのがドコモなどの回線会社です。両者は同じ「構図」です。ちなみに携帯電話の利用料金は、比較の仕方次第で異なります。しかし、「他社追随」という料金政策で起こったタイムラグがドコモの印象に与えた影響は深刻といえます。

ビジネスの根幹を他社依存するな

実際の現場では2つのアプローチと、2つの視点は絡み合い、複合的に使われます。メンテナンスを固定利益で計算して、オプションを売上連動型で見積もり、ときに赤字でも新商品を提供し、新たな契約に結びつけます。

相場は価格を決めてから初めて見てください。十分な利益を見込める設定で、ライバルより格段に安い設定なら「価格革命」のチャンスですし、逆なら何かが「欠けている」と知ることができます。

仕入れや人員配置、外注の選定などの合理化が欠けているのではないかと、まずは「利益」を削らない前提で商売を見直すのです。相場を見てから価格を考えると、この「欠けている部分」に辿り着く前に、「数字合わせ」に奔走してしまい、ときに「みんながやっているから」と利益を圧迫した、勝てない戦に出かけてしまうこともあります。ライバルがいる市場は旨味があるはずですが、どうしても利益を削るという結論に達するのであれば、「新規参入」から見直した方が賢明です。

価格は商売そのものといっても過言ではなく、決定権を「相場」に委ねるのは無責任です。みんながやっていることをして、勝者になれるのは公立学校の敷地内の幻想です。

「価格」を考える過程で「利益」を意識します。すると「見合った仕事」を心がけるようになります。

……そして、価格は「意識」も支配することはいずれ。

♪今回のポイント

「値付け」は商売のそのもの。

相場に振り回されることは自分を見失うこと。

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