初代編集長ブログ―安田英久

あえて突っ込みどころを残すコミュニケーション

Web担のなかの人

メディアをやっていると、コンテンツの企画や制作において、完成度を高めることは非常に重要です。その記事で読者は理解できるか、漏れている点はないか、不明な点をあいまいなまま残していないかなど、編集者は非常に注意します。

それこそ、論文やディベートのテクニックのように、指摘され得る点を想定してあらかじめ対応しておいたりもします。これは、読者の「ん?」をなくして、スムーズに情報が理解されるようにするための基本姿勢です。

しかし、ブログのような、ネットの「コミュニケーション」を目的としたコンテンツの場合、その考え方が逆転するといいます。突っ込みどころを残すことで、「そうかな?」「そこはね、」という、読者からのアクションが起きやすいようにするというのです。

時事通信の湯川氏はブロガーとしても有名ですが、Web担主催のセミナーで「ブログでは、新聞のために記事を書くときとまったく違う姿勢で書く」とおっしゃっていました。わからないことがあったら、「ここはよくわからないけれども」というように書いてしまうのだと。そうすれば読者から教えてもらったりといったコミュニケーションが生まれるし、ブログはそれでいいのだと。

株価に影響が出るようなプレスリリースは別ですが、完璧を求めずに、あえて未完成の状態でネット上に公開することも、コミュニケーションのための1つの方法論としてアリなんですね。

とはいえ、うっかりのミスや救いようのない完成度でよいというわけではありません。あくまでも、コミュニケーションが広がる筋の突っ込みどころを選んで残すという点では、論文やディベートのテクニックと根は同じですね。

Web担でも「ここが間違ってますよ」と記事にコメントをいただくことがありますが、突っ込みどころとしては、情けない残し方ですね。発展的な突っ込みどころだけ残すように精進します。はい。

この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト上に再掲したものです。

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