企業ホームページ運営の心得
mixiもジャイアンに!? ネット覇者、傲慢の理由

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の六十八

株価大暴落と規約改定

※1:編集部注
ミクシィはmixi利用規約改定を発表した翌日、利用規約改定について誤解があったとして、「日記、著作物等の情報について、従来どおりユーザー自身が権利を有することに変わりない」ことを説明。日記などの情報を、ユーザーの了承なく書籍化することもないとした。その後、日記の著作権がユーザーに帰属することを明記した形で条文修正が行われている。mixi利用規約の詳細(閲覧にはmixiへのログインが必要)。

この3月、ミクシィに激震が走りました。ミクシィ株を証券各社が「格下げ」し、モルガン・スタンレー証券に至っては当時100万円ぐらいだった株価目標を60万円としたことでストップ安を記録しました。「利用者数の増加が頭打ちし、成長に黄色信号」という理由です。

株屋さんの予想的中率を知りたいところですが、激震を誘発したもう1つの理由と噂されたのが、3月3日に発表された「利用規約の改定」の内容で、4月に改定される規約をザックリまとめるとこうなります。

「すべての投稿の著作権はミクシィにある」

発表された新利用規約には「ユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします」とあります※1

くわえて、「ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします」ともあり、mixiに投稿された日記も写真も動画もミクシィが自由に使え、使用については一切口答えできず権利を主張できないという改訂に利用者は激怒しました。

ビジネスマナーを知らない管理人

プロのアーティストが仲間にだけ発表している作品や、友達までの公開と限定している「内輪の話」を無許可で商売に使えるという改訂に、利用者からは非難と同時に「退会する」という声があがりました。結局はミクシィが想定する事例をあげて「改訂の修正」を発表し落ち着きましたが、規約自体の変更がないことを不審に思う人は少なくありません。善悪を棚上げして語りますが、ネットサービスの規約は自由自在に改訂できる条文が盛り込まれているものです。

社長が渋谷で働いているメルマガスタンドの読者が700名弱から25名に激減しました。4年以上発行していて最大の激減を問い合わせても返事はありません。1週間待ち、再度連絡しましたがなしのつぶてです。

不都合な問い合わせへの“不”説明も「ネットサービス」ではよくあることです。

文句を言う奴はいらないという本音

さらに別のネットサービスの話です。規約から逸脱したということで「管理人」から注意メールが届きました。簡単な挨拶の後、警告内容が綴られていたのですが、学生同士の携帯メールのような稚拙な文章に驚きました。

非はこちらにあります。不手際をお詫びし、今後の利用にあたりご迷惑をかけないためにと触れた上で、規約についての質問を出しました。すると届いた返事はこうです。

「サイトはうちのもの。うるさいことをいうなら利用するな」

使わせてやっているんだという管理人の「本音」でしょう。お手数をお掛けしましたとメールをだし即座に解約しました。

利用者が集まることで情報は集積されサイトの価値は高まり「広告収入」も見込めます。この点からも利用者を粗末にするのは得策ではありませんが、利用者が多くなると「個人」が疎かにされる話が多くなるのもネットサービスの特徴です。

ネットサービスは閾値を超えると指数関数的に利用者が増大し、この経験が「客は永遠に増える」と勘違いさせる理由かとみています。

ジャイアニズムという亡霊

漫画「ドラえもん」に登場するガキ大将「ジャイアン」の傲慢な振る舞いを俗語で「ジャイアニズム」と呼びます。これに取り憑かれるネットサービス企業は跡を絶ちません。

週刊ダイヤモンド2000年6月10日号に掲載された対談から抜粋します。「取引費用を限りなくゼロにすることがIT革命の本質ではないか」と元総務大臣 竹中平蔵氏が尋ねると「そうです。楽天が売り上げマージンを取らない、というのはそこにあります」と当時月額5万円ポッキリだった利用料を三木谷浩史楽天会長は自賛します。俗に「楽天税」と呼ばれる売り上げマージンの徴収はわずか2年後に導入されます。

ジャイアンはいいます「のび太のくせに」。楽天市場に出店していた石けん百科が提起する「楽天市場の諸問題」というサイトを見る限り、利用者への対応に同じ圧力を見る思いがします。但し、程度の差こそあれ楽天市場だけの話ではありません。

グーグルだってヤフーだって

「ジャイアニズム」は株式公開した企業によく見られます。株式公開時に持っていた自社株により「資産家」となった創業者などが全能感に浸り暴走したり、「起業の志」を知らない人が会社に入り込んでくるからではないでしょうか。利用者にとっては「株式公開」もリスクの1つです。

「検索」も「検索連動型広告」もルール変更を繰り返しています。品質向上のためといえばそれまでですが、プロセスは「規約改定」と同じです。利用者からの同意を求めずに発表し実施します。どちらも「ネットサービス」です。

商売用ホームページの定石「SEO」で、覇者(上位表示者)となっても結果は永遠ではなく絶えずチャレンジを求められるのは、競合企業との切磋琢磨の他に「改定」も大きな理由です。

分散投資とリスクマネジメント

ウェブ担当者はネットサービスのリスクを覚えておいてください。

リスク回避には「分散投資」です。メルマガ、ブログ、SNSなどは複数のサービスを利用します。突然700名弱の読者が消えましたが、同じ内容のメルマガを「まぐまぐ」で発行しており、こちらには消えた4倍の読者がおり、他のスタンドからも発行し「発行できない」という事態を回避しています。「デジタルデータ」は簡単に複製できるのも分散は容易いのです。

「うるさいことを言うなら利用するな」

は本音でしょうし、ネットサービスの利用規程にも同種の規定が必ず入っています。だからこそ利用する時はいつでもこう言える状態を用意しておきます。

「おまえの所しかないワケじゃない」

グーグルがダメならヤフーに、アメブロかライブドアか。mixiが不安なら自分だけのSNSを作れるサービスが無料で溢れているので作ってしまいます。楽天市場は楽天支店です。ならばヤフー支店にビッターズ支店、そして自社サイトという「本店」を持ち「販売チャネル」を多く確保します。

多チャンネル化をしておけば、1社1サービスに振り回されることなく、使いこなす側に回れますので。

mixiでの私の日記は「友達の友達まで公開」としています。もし、仮に無断で公開された暁に私は戦います。民事上の契約が勝つか、プライバシーという個人の権利が勝つか。もちろん売名行為として。

♪今回のポイント

ネットサービスにはリスクがある。

分散投資的発想で多チャンネル対応を心がける。

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