Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
ソーシャルメディアで人気が出てもリンクを獲得できないパターンを示そう(またはその逆)

僕は2008年1月の「なぜ自分のバイラルコンテンツが上手く機能しないのか」で、単にソーシャルメディアポータルのトップに立つことにとどまらず、みんなが欲しがる価値の高いリンクをも引きつけるレベルのコンテンツを作ることの重要性について話した。そこで今回は、約束どおり、リンク獲得を目指してバイラルコンテンツを作成するときに使ういくつかの戦術について、それぞれの大きな違いを説明しよう。

最初に、下に示したベン図を見てほしい(このコンセプトはMystery Guestに拝借した)。

Venn Diagram of Linkbait Characteristics

紫の文字で書いてある部分は、成功するリンクベイトのキャンペーンだ。ここは、(Digg、del.icio.us、Reddit、StumbleUpon、日本語市場ならば、はてなブックマークなどでトップに立って)バイラルマーケティングで成功するコンテンツと、リンクの引き寄せに成功しているコンテンツが交わった領域で、望んだとおりの結果が得られる部分だ。

SEOmozは2006年秋、(DiggからTechCrunch、Slashdotまですべての)主要なソーシャルメディアポータルで人気の出たコンテンツについて、獲得したリンクの数を分析する調査を実施した。当然といえば当然だが、それらのサイトで成功しているコンテンツのかなり多くが、有意義なリンクをごくわずか(数十とか、多くて数百程度)しか獲得していないのに対して、一部のコンテンツが何千、ときには何万ものリンクを引きつけていることがわかった。

ソーシャルメディアで人気が高いのにリンクを獲得できないコンテンツの特徴

  1. 浅薄なユーモア

    ネタがおもしろければDiggで確実に上位にランクされる。しかし、それ以上に発展することは少なく、特にその笑いがゲラゲラ笑っておしまいのようなもの(「ザ・シンプソンズ」のエドナ・クラバッペルみたいに)であれば、それを共有しようとまでは思わない。

  2. 単純すぎる観察眼

    たとえ少しばかり良い視点の記述があるにせよ、内容がいかにも表面的でそれ以上の深みがなければ、リンクを引きつけるのは困難だ。

  3. 紋切り型や社会通念の補強

    だれもが言っていることを補強するコンテンツを作るのは、おもしろいだろうし簡単でもある。マイクロソフトをからかう内容をまた新たに書けば、Diggで人気が出るかもしれないが、それに何か別の際だった特徴を加えなければ、思うようにリンクは得られないだろう。

  4. 価値の低いリストと抱き込み投稿

    ソーシャルメディアサイトで僕が最もよく目にする投稿のタイプが、おそらくこれ。特に(SEO界なら)Sphinnや、(開発関連なら)del.icio.usの「popular」ページはかなりこの傾向が強い。何人か友人を抱き込んで賛成票を入れてもらう。すると、「矩形の画像を角丸にして表示するスタイルシート」のテクニックなんかでも、みんなが投票してくれる。でも、長期にわたって価値とリンクを獲得するかどうかは、また別の問題だ。

  5. ニッチな好みへの迎合

    ごく少数のマニアックな集団が、サイトのコンテンツに強い影響を及ぼしていることがわかったら(Diggの「Wii」ファンやRedditのロン・ポール大統領候補支持者みたいに)、そうしたオーディエンスに向けたネタを選ぶことで、彼らの影響力をうまく利用できる。しかし、残念ながらこの方法では、そのサイトでうまくフロントページにランクされたとしても、その対象に関して本当に新しいことや鋭いことを書いていなければ、欲しいリンクは得られない可能性が高い。

  6. 質の低い雑文

    ソーシャルニュースサイトに大量のコンテンツを登録することは、それだけでものすごく注目され、クリックをたくさん稼ぐ。しかし、ページビューをリンクに変えるという観点で見れば、純粋なスタイルと文章術を下敷きにした確かな中身が必要だ。

  7. 一度観ておしまいの画像や動画

    多くの写真や動画が人気コンテンツになっているが、質の低い雑文と同様に、一度閲覧されたあとは興味を引かなくなる可能性が高い。

  8. 市場の飽和

    ターゲットにしているソーシャルポータルで、ユーザーの99%がすでに君の書くネタを読んでいたら、フロントページにうまく載れたとしても、それ以上の価値は得られないかもしれない。

  9. 極端に短いコンテンツ

    ポータルで上位を獲得しているコンテンツには、ある程度短いコンテンツもあるけれど、リンクまでしてもらえるかというと、その多くが見事に候補から外れている。リンクしてもらうには、読者が共有したいと思うようなもの、つまり情熱を刺激されたり、考えさせられたりする何かが必要だ。短いコンテンツは、軽く読んで、次のアイテムをクリックするころには忘れ去られることが多い。

  10. 極端にネガティブな、または煽動的なコンテンツ

    ネガティブなネタは過剰な注意を引きやすいので、失敗することもあれば上手く行くこともある。しかし、やり方には十分な注意を払う必要がある。書き手の姿勢がネガティブで迎合的で浅薄なら、そのリンクベイトは高い帯域幅コスト以外にほとんど何ももたらさないと思っていい。

  11. 済んだ話題を繰り返す

    何度も繰り返されるコンテンツがある。ウェブでとっくに広まっていて、いいかげん見飽きた画像や動画、リンクなどのネタをだらだらと並べて繰り返せば、ほんの少しぐらいはページビューを稼げるかもしれない。だが、リンケラティは情報感度が高く、平均的な読者よりそうしたネタを先に知っている場合が多い。

  12. あまりに一時的なニュース

    ニュースアイテムは多くのリンクを集めることも可能だが、12時間から24時間で古びてしまうネタなら、リンクが次から次へと張られる可能性は期待できない。新しい出来事を話題にするのが危険なのはそのためで、大急ぎで話の一部だけ取り上げて投稿すると、全容をまとめた記事が出たときに価値がなくなって無視される可能性がある。

  13. 不正確な、またはミスリードするネタ

    内容が明らかに正しくなくても、読者や投票者はそのことに気づかないかもしれないが、賢明なリンケラティはリンクを張る前に調べるだろう(それに、もしリンクを張るにしても、nofollow属性付きのリンクにして嫌悪感を表明するだろう)。

  14. 使い古されたネタ

    ブログ記事やコンテンツが、何十回となく書かれた話とほぼ同じだったり、ニッチな好みの人たち全員がとっくに(場合によってはもっとうまく)取り上げたと思うような話なら、なかなかリンクしてもらえないだろう。

最近の例

  • スモールビズが使えないテクノロジソリューション

    リスト自体、価値が低いだけでなく、内容も明らかに不正確でまぎらわしい。ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点で6件のリンクが出てくるだけで、しかもそのうち3件はスパム、残りの3件はnofollowだ。

  • SEOmozの2007年のサイト統計

    以前僕たちが手がけた統計がどれだけ壮大なものだったかを考えると、それをまとめたこの記事で、さぞかし多くのリンクを獲得できたに違いないと思うかもしれないが、実際にはノーだった。ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点で17件のリンクが報告されているだけで、しかもそのうちの半数以上はスパムだ(そのほかにも何件かnofollowがある)。何が起こったかって? 実はこれ、使い古されたネタで、市場が飽和状態にあったんだ。Sphinnでトップは取れても、SEOmoz読者はSphinnを見ているリンケラティと重なっているから、おそらく新たな読者をほとんど引きつけなかったんだと思う。

  • 教育分野のソーシャルネットワークサイト(SNS)のリスト

    このリスト自体の価値は(僕もSEOmozのプレミアムセクションに置いたほど)非常に高いのだけれど、コンテンツがあまりに長い上に、対象分野があまりにもニッチすぎた。したがって、大半の読者にとっては価値の低いコンテンツだったんだ。ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点でリンクの数はわずか29件(しかもその多くは価値の低いリンクかnofollow)だ。

  • Digg受けする画像

    たしかにおもしろい。しかし、明らかにDiggファンを意識した画像で、簡単に忘れ去られてしまうコンテンツだ。したがって、いくつかのソーシャルポータルでトップを飾り、さらには過去30日間における最多Diggポイント獲得コンテンツのリストに載ったにもかかわらず、ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点でそのリンク数はわずか65件だった(しかもnofollowが多い)。

リンクは獲得できるのに、ソーシャルメディアで上位にランクされないコンテンツの特徴

  1. 再利用品

    すでにどこかでリリースしたものを再利用すれば、それをまだ見ていない人からリンクは獲得できるかもしれないが、情報量豊富な人たちが鵜の目鷹の目で監視している主要ソーシャルポータルでは、ただちに「パクリだ」とコメントがつくだろう。

  2. 徹底的な調査

    複雑な調査はたくさんのリンクを稼ぐが、短時間で読み通すのは難しく、それゆえに「4秒で理解できないネタをDiggするな」的な人たちとそりが合わない。

  3. インタビュー

    インタビュー記事は情報と洞察のすばらしい源だ。しかし、最近はインタビューものがソーシャルポータルの上位に顔を出すことは滅多になくなった。概要や「重要部分」の引用があれば、ソーシャルクラウドの中でインタビューが目立つのに役立つが、そこで投票までしてもらうのは難しい。

  4. 複雑なニュース分析

    徹底的な調査と同様に、複雑なニュース分析も、残念ながら短くてパンチのきいた報道記事に比べ、往々にしてあまりソーシャルメディアの人気を集めることができない。米国で主要なニュースサイトを見ている人ならだれでも、実際日常的にこの現象を目にしているはずだ。嘆かわしい? うん、同意するよ。救われる方法はないかって? まあ無理だろうね。

  5. 大規模なコンテンツの一部分

    コンテンツを複数のページや部分に分割すると、リンクする人なら関連する部分を見つけて参照してくれるかもしれないが、ソーシャルポータルの投票者たちは、そのような関連性を見つけ出す幅広い視野など持ち合わせておらず、価値を見つける前に投げ出してしまうことが多い。

  6. 特定コミュニティを対象にしたネタ

    自分がターゲットとしているポータルに普段参加していない人たちに向けて語りかけたり、同調するようなコンテンツは、当然、欲しい票など簡単には得られない。

最近の例

  • 調査会社別検索エンジンの人気比較

    これはダニー・サリバン氏の記事で、検索市場のシェアを調査した主要サービスの数値の違いを鮮やかに分析しているんだけど、ソーシャルニュースサイトでは上位に上がってこなかったんだ(おそらく内容が深すぎた上に、あまりに対象が限定されていたからだと思う)。ところがヤフーで調べたら、この記事の執筆時点で450件以上もあった。

  • バカにされないワインの注文方法

    これなら実際にStumbleUponを通じてまずまずのソーシャルトラフィックが獲得できたんじゃないかと思うんだけど、ちょっと内容が深すぎて、しかも対象がニッチすぎた(けれど、広く楽しめる)いい例じゃないかと思う。このテーマは十分にソーシャルクラウド向きではないけれど、リスト形式の書き方はほぼ完ぺきだし、ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点で5000件以上付いている。たぶん、僕ならDiggに登録するだろうな……(更新情報:おっと! 2年ほど前にDiggに取り上げられていた。Diggじゃ今ひとつだったね)。

  • 新興企業を興すのをやめないことのススメ

    ポール・グラハム氏が扱うのは、完全な特定コミュニティ向けの深みのあるテーマだ。そして、彼のエッセイのなかには、いくつかTechmemeなどのサイトで取り上げられているものもある(もちろん、それらはすべてHacker Newsに登録される)。しかし、この記事については、主要ソーシャルメディアの後押しがなくても、ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点で2200件のリンクを獲得している。

  • セプ・カンバー氏にパーソナライゼーションについて聞いたインタビュー

    これは素材がどんなにすばらしくても、インタビュー形式のコンテンツはソーシャルメディアで成功できないことを示す好例だ。ただ、ありがたいことに、ヤフーで調べたら、この記事の執筆時点でリンクだけは数百件程度獲得できている。

以上の知識をうまく活用すれば、バイラルマーケティングに潜む数々の落とし穴をうまく避けて、ソーシャルメディアとリンク獲得の両方で同時に成功を収めることも可能になるんじゃないかと思う。

次回は、なぜ検索エンジンには、バイラルマーケティングキャンペーンに対し、ほうびを与え続けることに利害関係があるのかについて書くつもりだ(この問題については最近、いろいろ議論があるからね)。

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