変わり続ける携帯サイト事情のおさらい そして2008年に成功できるモバイルSEM&マーケ戦略とは

モバイル検索&モバイルマーケティング戦略

長らく「公式サイト」を中心とした閉鎖的な姿のまま進化してきた日本の携帯サイト事情だが、すでにその流れには大きな転機が訪れている。

携帯電話の普及が一段落したことで、パイの拡大を基本とした戦略は通じなくなり、MNPが課金モデルの収益を少しずつ揺らがせ、モバイル検索の浸透によって「安泰な」場所が失われつつあるのだ。

この記事では、2008年に成功できるモバイル(検索)マーケティングの戦略を見いだすために、こういった2007年までの携帯サイトに関する流れをおさらいする。

TEXT:野田 健治(株式会社ディーオーイー ストラテジーネットワーク コンサルタント)

キャリアに守られてきた携帯コンテンツ

変化が激しい携帯電話の世界。発売されるたびに機能が大幅に強化されることが多く、同じ端末を2年使い続けていると最新のサービスを受けられなくなることもあるほどだ。携帯電話メーカーも半年に1回の発売タイミングに合わせるために、しのぎを削っている。

派手に見える携帯電話の進化だが、携帯電話端末ではなく、携帯電話向けに提供されるコンテンツに目を向けると、基本的な部分はあまり変わっていないように思われる。

日本での携帯電話向けコンテンツは、長らくキャリアが中心となって作り上げた「公式サイト」型のものが主流であった。また、コンテンツやサービスの提供に有料課金をしているものが多いことも特徴だ。すでに十数年の歴史があるPC向けのネットコンテンツが基本的に無料で利用でき、オープンであることを考えると、ドコモのiモードに始まり現在に至る携帯電話向けコンテンツの世界は非常に特殊で閉鎖的な形といえる。

しかし、最近になってこの公式サイトビジネスに大きな転機が訪れようとしている。携帯電話がまだ完全に普及していなかった時代は、キャリアは必死になって携帯電話の普及を促進させようとしていた。コンテンツ提供者としては、携帯電話の新規契約が増えればコンテンツを利用してくれるユーザーも増えるため、登録会員数を増やしやすい環境にあったといえる。しかし、携帯電話はすでに広く普及しており、飽和状態にあると言っても過言ではない。電気通信事業者協会(TCA)の業種別月末契約数をみると、昨年の11月末時点で携帯電話とPHSを合わせて1億契約を突破している。日本の人口と照らし合わせてみると80%以上普及している計算になる。今までのようなユーザー数の増加を前提としたマーケティング手法のままでは、今後有料課金の会員数を伸ばすことは困難になってきているのが現状なのだ。

業種別月末契約数(平成19年11月末現在)
業種 2007年
4月
2007年
5月
2007年
6月
2007年
7月
2007年
8月
2007年
9月
2007年
10月
2007年
11月
携帯
電話
9720万 9758万 9806万 9855万 9888万 9933万 9967万 9997万
PHS 502万 503万 502万 501万 498万 496万 491万 485万
合計 1億222万 1億260万 1億308万 1億356万 1億385万 1億429万 1億457万 1億482万
資料:社団法人 電気通信事業者協会(TCA)
※単位は契約数。1万台未満四捨五入

MNPはキャリアだけの問題か?

また、2006年から始まったモバイルナンバーポータビリティ(MNP)や、公式サイトの検索エンジン導入などの動きが、この状況に追い打ちをかけつつある。

MNPとは、携帯電話の通信キャリアを変更しても同じ電話番号を使い続けられるサービスで、2006年の10月に開始され、マスコミにも大きく取り上げられ話題となった。MNPは今後も継続的に提供されるサービスであるため、各通信キャリアは料金プランの見直しや魅力的な携帯電話端末の模索などを積極的に行い、既存顧客のつなぎ止めや、MNP経由のユーザー獲得などに必死だ。

しかし、MNPの影響を受けるのは通信キャリアだけなのだろうか。実は、携帯向けのコンテンツプロバイダもキャリアと同様にMNPの影響を大きく受けることが予想される。

たとえば、通信キャリアの「公式サイト」は、月額数百円の会員制で運営しているサービスがほとんどだ。そういったサービスに登録する会員は、大きく2種類に分けられる。積極的にコンテンツを利用する「アクティブ」な会員と、月額会員の契約をしていながら実際にはコンテンツをほとんど利用しない「スリープ」会員だ。以前はこのような「スリープ」状態の会員が多くても、毎月会員費を徴収できるため大きな問題にはならなかった。しかし、MNPによって通信キャリアを変更しやすくなったことで、この会員制による収益の柱が少しずつ揺らぎ始めている。

というのも、通常このような会員料金システムは通信キャリアごとに管理されているため、キャリアを変更すると、サービスの会員登録は自動的に解約処理されてしまう。つまり、MNPによってユーザーが通信キャリア間を移動しやすくなれば、必然的にサービスの解約率が高くなってしまうのだ。もちろん、変更先の通信キャリアでも同じサービスに改めて登録してもらえれば大した問題にはならないのだが、元々スリープ状態だった会員の場合、「会員登録している」という認識自体が薄いため、キャリア変更後の再登録は期待できない。

MNPによって、通信キャリア同様に携帯コンテンツにおいても、既存会員の満足度アップやユーザー獲得をどのように行っていくかをしっかり考えなければいけない状況になってきているのだ。

モバイル検索によって変化する「携帯コンテンツのあり方」

さてもう1つ、MNPと並ぶ大きな動きとして、通信キャリア公式メニューでの検索窓設置が挙げられる。

2006年にKDDI(au)がGoogleのモバイル検索機能を「EZメニュー」に設置したことを皮切りに、NTTドコモやSoftBankモバイルも本格的な検索機能を次々と設置し始めた。MNP同様、こちらもそろそろサービス開始から1年が経とうとしているが、検索の利用率が徐々に高まっているようだ。たとえば、KDDIのauの場合、「月間検索数が2億超に到達」(KDDIコンシューマ事業統括部長の高橋誠氏)するなど、驚異的なスピードで「携帯で検索する」ことが根付き始めている。今まで、公式リストの上位に表示され「安泰」だったサイトも、従来のような公式メニューリストからの集客導線だけに頼ってもいられなさそうな状況になってきたといえる。

『ケータイ白書2008』(インプレスR&D)によると、コンテンツやウェブサイトの最も多い探し方として、「携帯・PHSの検索サイトで検索する」方法が全体の25.5%と、「公式メニューからたどって」(39.6%)に次いで多い割合を占めている。従来の公式メニューリストから探す方法に加えて、検索サイトを利用して探す方法が、多くのユーザーに受け入れられていることがわかる。また、年代別で細かく見てみると、20代以上は男女ともに「公式メニューからたどって」が最も多いのだが、10代に目を向けるとこれが逆転し、「検索サイトを利用してコンテンツ等を探す」と答えるユーザーが最も多くなっていることがわかる。今後の動向を見守る必要はあるかもしれないが、若年層を中心に携帯電話におけるコンテンツやウェブサイトの探し方が変わってきているのではないだろうか。

コンテンツやウェブサイトの最も多い探し方[性年代別](図はクリックで拡大)
グラフ:コンテンツやウェブサイトの最も多い探し方[性年代別]
資料:インプレスR&D『ケータイ白書2008』

となると、「モバイル検索は今後PC向けのウェブ検索と同じ状況になり、対策もPC向け検索と同様にすればよくなるのでは?」と考えるかもしれない。

しかし、携帯電話はPCと違い、文字を打ち込むのが若干面倒だったり、画面の解像度が低かったりなどのハードウェア的な制約がある。また、「時間の合間に利用」「ちょっと気になった単語を検索」などのように、PCとは利用シーンや目的自体が異なるため、モバイル検索がPC向けのウェブ検索と同様になるとは限らない。モバイル検索は、未だ今後の予測がし辛い状態にあるのだ。

モバイルマーケティングのこれから

このように、携帯電話を取り巻く環境が激しく変化しつづけている。その中で良いサービスを提供していくことは非常に難しい。だからこそ自分のサイトやサービスがどのような状況におかれているかを把握し、しっかりとしたマーケティング戦略を行うことが大切だ。

現状を知るには、まずサイトのアクセス解析や利用調査をしっかりと行うこと。携帯電話向けのサイトでは、アクセスログの分析を詳細に行おうとすると、手間やコストがPCよりもかかってしまうことが多いこともあり、本格的な分析を行っていない方も多いのではないだろうか。だが、これらを行っていくことで、自分のサイトの弱いポイントや、アピールするべきポイントがより鮮明に見えてくるはずだ。また、携帯電話を取り巻く状況を常に把握しておくことも重要なポイントだ。

さて、「2008年に“成功できる”モバイルSEM&マーケティング戦略」だが、詳しくは1月23日に開催されるセミナーでご紹介しよう(セミナーに関するさらに詳しい情報はこちら)。このセミナーはディーオーイーとインプレスR&Dが共同で開催していく「Web担当者の給料を上げるためのセミナー」の第1回で、モバイルサーチマーケティングについての最新情報をお伝えするために、株式会社アイレップの紺野俊介氏、株式会社ネットプライスの星俊作氏のご両名を迎え、実際の活用法を紹介する。紺野氏はモバイルとPCのSEMの違いについての解説と対策を、また、星氏はモバイルサイトの運営方法について、事例を交えて紹介する。

他に類を見ないほど非常に早いスピードで進化を遂げてきた携帯電話。日々の生活に欠かせないツールとなった今、携帯電話を取り巻くビジネスは大きな転換点を迎えつつある。「今までのビジネスが通用しない」と悲観的になってしまう方も多いかもしれないが、視点を変えてみれば、これほど大きなビジネスチャンスはないということもできる。今までのやり方を踏襲するか、それともまったく違うやり方で乗り切るのか……。成功への道をつかむため、このセミナーが、少しでもあなたのビジネスのヒントとなれば幸いである。

Web担当者の給料を上げるためのセミナー ~結果を出すためのスキルアップ術
第1回 2008年に“成功できる”モバイルSEM&マーケティング戦略
~SEM対策手法&ECサイトの実例に学ぶ運営ノウハウと広げ方

開催概要
  • 日時:2008年1月23日(水)14:00~17:00(13:40受付開始)
  • 場所:ベルサール三田 ROOM1
    東京都港区三田3-5-27 住友不動産三田ツインビル西館1F
    最寄り駅は三田駅(浅草線・三田線)、田町駅(JR)、泉岳寺駅(浅草線・京浜急行線)
    大きな地図で見る
  • 参加費:10,500円(税込)
  • 定員:100名(先着)
  • 主催:株式会社インプレスR&D 株式会社DOE
  • 講演
    • 「モバイル検索の進化と最新モバイルSEM手法~モバイルSEMとPC SEMの相違点から見る対策のポイント~」(株式会社アイレップ 専務取締役 インターネットマーケティング事業部長 紺野 俊介氏)
    • 「事例にみるモバイルサイトの運営ノウハウとひろげ方~モバイルECサイト「ちびギャザ」の取り組み」(株式会社ネットプライス取締役 兼 執行役員 販売Div.統括 星 俊作氏)

→講演の詳しい内容やお申し込みはこちら

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