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課題は「人材」「効果測定」「戦略立案」 ~ 上場企業のウェブサイト利用と運営・管理の実態

課題は「人材」「効果測定」「戦略立案」
上流工程からの積極的なアウトソーシングが活発化

ウェブサイトの重要性は、どの企業でも変わらないが、企業規模あるいは従業員規模によって、その役割や戦略が影響を受ける場合もある。特に上場企業においてはなおさらだろう。

本記事では、2007年7月に公表された「上場企業におけるウェブサイトの利用と運営・管理の実態~ウェブサイトに関するアンケート調査報告書」(株式会社ミツエーリンクスと三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の共同プロジェクト)の一部を紹介しつつ、上場企業におけるウェブサイトの利用と運用・管理の実態について考察する。

調査:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、株式会社ミツエーリンクス
調査実施:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 記事執筆:Web担編集部

「上場企業におけるウェブサイトの利用と運営・管理の実態~ウェブサイトに関するアンケート調査報告書」の調査概要に関しては、記事末尾に記載

ブランド認知向上とコミュニケーション強化に期待
しかし人材・効果測定・戦略立案の不足が、ウェブの効果を削ぐ

企業はまず、会社概要の掲載・告知、投資家向け情報開示(IR)、製品サービス情報の掲載・告知といった、基本的な用途にウェブサイトを利用する。最近では、ウェブ独自のキャンペーンを仕掛けたり、ユーザーコミュニティを育成したり、発展的な用途で利用するケースも増えてきているように思われる。しかし、実際に企業側の期待が大きいのは、「ブランド、商品・サービスの認知向上」「株主、投資家とのコミュニケーション強化」「採用希望者数の増加」といった項目だ(図1)。そしてこれらのほとんどにおいて、実際の効果は「十分な効果が得られている」と「ほとんど得られていない」がほぼ拮抗しており、全体としてはむしろ否定的な回答が上回っているのが現状だ。

図1 ウェブサイトに期待する効果の得られている度合い(図はクリックで拡大)

ウェブサイトが十分に機能していないという問題の根本的な原因はどこにあるのだろうか。ウェブサイトが抱える問題点・課題としては、「業務に必要な人材が不足している、手が足りない」「きちんとした効果測定が実施されていない、実施できない」「ウェブサイト活用における明確な戦略がない」の3点を、ほぼ半数の企業があげている(図2)。“人材”と“効果測定”と“戦略立案”の3本柱の欠如が、予算不足、他部署との連携不足、さらには意欲の低下といった全社的なマイナスベクトルのトリガーとなっているようだ。

図2 ウェブサイトが抱える問題点・課題(図はクリックで拡大)

サイト運営には多数の部署が関わるも、主管は広報
予算ボリュームの2極化が進む

ウェブサイト運営の主管部署として最も多いのは「広報部門」(30.7%)となっている(図3)。閲覧者の多様化にあわせ複数部署が関わるのは前提であるが、その舵取りが広報部門となっているのだと思われる。だが実際には、広報部門=IR/広報、情報システム部門=サーバー管理、営業・マーケティング部門=商品・サービスといった役割分担があるわけで、広報部門のみが主管部署として責任比重や作業量が高まったときに、どうしても得手不得手が出てしまうといった問題が考えられる。

図3 ウェブサイト運営に関する主管部署(図はクリックで拡大)

一方でウェブサイトの年間予算についてはどうなっているのかを見ると、従業員数規模が大きいほど年間予算が決まっている企業数の比率が高くなっている(図4)。従業員数1000人以上の企業では、66.0%の企業でウェブサイトの年間予算が決まっている。逆に従業員数300人未満の企業では、年間予算が決まっているのは43.4%にとどまっている。「わからない」の比率には従業員数規模別にさほど差がないことから、従業員数が少ない企業では、意図的に予算について流動的にしている可能性も考えられる。

図4 ウェブサイトの年間予算(従業員数規模別)(図はクリックで拡大)

ではその予算ボリューム自体はどれぐらいなのか。全体を見ると、500万円未満の企業が過半数を占める。そして従業員数規模が大きくなるほど金額が高い企業の比率が高くなっている(図5)。従業員数1000人以上の企業では、ウェブサイトにかける年間予算の金額が500万円未満の企業は42.5%、1億円以上の企業が19.1%を占める。一方、従業員数300人未満の企業では、500万円未満の企業が72.5%を占め、1億円以上の企業はわずか3.9%となっている。企業規模が小さいほど予算は少なく流動的に、企業規模が大きいほど予算は潤沢にといった「わかりやすい2極化」が進んでいるのは、この調査に限らず明確に現れている傾向だ。

図5 ウェブサイトにかける年間予算の金額(従業員数規模別)(図はクリックで拡大)

今後のキーは「アウトソーシング」
人材・効果測定・戦略立案の不足解消を外部に求める

掲載情報の継続的な更新は、ウェブサイトにおける最も基幹の業務となる。この情報更新業務について、6割強の企業がアウトソーシングを活用している(図6)。これを従業員数規模で見ると、規模が大きくなるほどアウトソーシングの活用度が高くなっていることが明らかとなった。従業員数1000人以上の企業では「すべての更新業務をウェブ制作会社などの外部にアウトソーシングしている」が23.0%を占める。「一部」と「すべて」を合わせた比率は71.6%とかなりの割合を占めている。

図6 ウェブサイトの情報更新業務の形態(従業員数規模別)(図はクリックで拡大)

ではさらに、ウェブサイト関連業務全般を含めた場合、アウトソーシングはどのように活用されているのだろうか。アウトソーシング実施済みの業務の上位は、「リニューアル構築時の設計、制作業務」「更新業務」「コンテンツの制作」に集中しているのがわかる(図7)。一方で検討中の業務は、戦略策定、効率化、効果測定など、ほぼまんべんなく分散している。更新業務や制作作業だけでなく、サイトの効果測定、戦略立案まで含めてアウトソーシングを活用し、単一部署での作業負担や人材不足を解消したいとする志向が強くなっていると考えられる。

図7 ウェブサイト関連業務のアウトソーシング(図はクリックで拡大)

アウトソーシング実施済みの業務実態を見てみると、「リニューアル構築時の設計、制作業務」「更新業務」「コンテンツの制作」の順でアウトソーシングがされており、その比率についても、従業員数規模にかかわらずほぼ同じような状況だ(図8)。なおほとんどの業務において、従業員数規模が大きくなるほどアウトソーシングを実施している比率が高くなっている。従業員数規模が少ないほど予算が少なく流動的である傾向が見られたので、外部に定期的に仕事を発注しにくいという構造があると考えられる。

図8 ウェブサイト関連業務のアウトソーシング(すでに実施している業務、従業員数規模別)(図はクリックで拡大)

“キレイ”“速い”“上手い”は大前提
アウトソーシングの成否は上流工程への対応力で見る

今後のアウトソーシングの傾向を探ってみよう。アウトソーシングを計画している業務は、戦略策定や効率化のコンサルティング、効果測定、評価・診断といったものが上位を占めているが、これは従業員数規模によらずほぼ同一の順位だ。更新や制作などの業務はすでにアウトソーシングされているため順位が低いのは自明だが、それらの上流工程にあたる業務についてアウトソーシングを望んでいる実態が伺える(図9)。とくにコンサルティングが上位なのは「制作だけでなく、全般的な相談をしたい」という企業側の強い要望(と社内作業の限界)が感じられる。なおすべての業務において、アウトソーシングを計画している企業の比率は、従業員数1000人以上、従業員数300人未満、従業員数300~999人の順で低くなっている。これはやはり予算規模との兼ね合いからの判断結果だろう。

図9 ウェブサイト関連業務のアウトソーシング(アウトソーシングを計画している業務、従業員規模別)(図はクリックで拡大)

直接的に業者に希望する点を調査した結果では、「企画・提案力」(77.9%)、「デザイン力」(71.0%)、「対応の速さ」(59.8%)、「制作物の品質(納品物の完成度)」(58.1%)といった基本的なスキルが上位を占めた。これは、更新や制作業務を依頼している実状から、まずプロダクトを作る力を第一に見ているためと思われる。その一方で、不満を感じる点の1位が「要望に対する企画・提案力」(48.4%)となっており、以下「問題発見、解決を行うコンサルティング力」(42.9%)「企画・提案の新鮮さ」(36.3%)「調査、分析力」(33.6%)と、ウェブサイト構築の上流工程で求められるスキルに集中している(図10)。

図10 アウトソーシング業者に求めるものと不満を感じる点(図はクリックで拡大)

これらはいわば、ウェブサイトの根幹に関わるコンセプトやアイデアの部分までアウトソーシング業者にまかせたいという要望が端的に表れている。それだけ企業内の人材・効果測定・戦略立案の不足は深刻であり、逆にアウトソーシング業者にとっては、これらを提案できる強みのある業者が生き残るという未来図となりそうだ。

●調査概要

  • 調査期間:2007年5月21日~6月9日
  • 調査方法:アンケート調査票の郵送による自記式アンケート調査
  • 対象:全国の上場企業3905社
  • 回答率:10.9%(427社)
  • 回答企業のプロファイル
    • 回答企業の公開市場――東京証券取引所第一部が最多で45.8%を占め、JASDAQが27.2%、大阪証券取引所第一部が14.3%、東京証券取引所第二部が11.2%と続く。
    • 回答企業の業種別構成――製造業が最多で40.8%を占め、以下卸・小売業が19.2%、サービス業が11.6%と続く。
    • 回答企業の従業員数別構成――300~999人が最多で36.3%を占め、1000人以上が34.7%、300人未満が29%と続く。
    • 回答企業の年間売り上げ高規模別構成――100億円以上~500億円未満が最多で38.2%を占め、100億円未満が23.2%、3,000億円以上が13.6%と続く。

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ウェブサイトに関するアンケート調査報告書~上場企業におけるウェブサイトの利用と運用・管理の実態

本記事で紹介した内容は、2007年7月に公表された「上場企業におけるウェブサイトの利用と運営・管理の実態~ウェブサイトに関するアンケート調査報告書」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社と株式会社ミツエーリンクスの共同プロジェクト)から抜粋した。この調査は、上場企業におけるウェブサイトの利用と運用・管理の実態を把握することを目的としたものである。

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