日本のWeb担当者2000人の大調査報告書
Web広告研究会&Web担 2つの調査結果に見る「効果を上げる企業サイトの運営方法」

[特集]日本のWeb担当者

Web広告研究会&Web担 2つの調査結果に見る「効果を上げる企業サイトの運営方法」

TEXT:田中 秀樹(富士通総研/Web広告研究会 調査委員会)

「インターネット利用動向調査〈ウェブ担当者編〉2007」は回答数が2,055社と多く、調査内容も掲載メニューやマーケティングの実施状況といった企業サイトの状況に加えて、Web 2.0に対する意識や年収などWeb担当者個人に関するものまでと幅広い。企業サイトやWeb担当者の実態を知る上で有益なデータだ。

おもしろい結果がいろいろと出ているが、ここではWeb広告研究会が行った「第3回企業ホームページ運営状況調査」の結果も加えて、効果の部分に焦点をあててサイト運営のポイントを探った。

Web広告研究会が行った「第3回企業ホームページ運営状況調査」の概要に関してはこちらを参照

半数以上の企業サイトが効果を上げる

まずは「インターネット利用動向調査〈ウェブ担当者編〉2007」の調査結果から、「ウェブサイトの効果」に着目してデータを読み解いていこう。

Web企業サイトのスタート当初は立ち上げること自体が目的で、効果はそれほど気にならないかもしれない。しかし、日が経つにつれてビジネスへの効果が期待されるようになってくる。「総合的にみて、あなたの勤務先のウェブサイトは効果がある・役にたっているとお考えですか」(図1)という質問に対しては、「非常に効果がある・役に立っている」が6.0%、「効果がある・役に立っている」が45.9%となっており、この2つを合わせると半数以上の会社が自社サイトの効果を認めている。残りの半数の中では、「どちらとも言えないが」32.1%が占め、「あまり効果がない・役に立っていない」と「まったく効果がない・役に立っていない」は合わせても12.4%しかない。効果がないというより効果を実感できない企業が多いというのが実態かもしれない。

図1 あなたの勤務先のウェブサイトは総合的にみて効果がある・役に立っているとお考えですか。
図1 あなたの勤務先のウェブサイトは総合的にみて効果がある・役に立っているとお考えですか。
Copyright © 2007 impress R&D All rights reserved.

では、効果を上げている企業と、効果が実感できない企業の運営の違いはどこにあるのだろうか。

効果を上げている企業はアクセス解析に力を入れる

まず、ウェブサイトの効果を測るうえで欠かせないアクセス記録の収集・解析の実施状況を見てみよう(図2)。

自社サイトが「非常に効果がある」企業では「定期的に行っている」が32.4%、「不定期に行っている」が33.4%で、この2つを合わせて6割以上がアクセス解析を行っている。これに対して、自社サイトの効果が「どちらとも言えない」企業では、定期的と不定期を合わせてもアクセス解析の実施状況は40.9%に留まる。

図2 ウェブサイトのアクセス記録の収集・解析は行っていますか(ウェブサイトの効果別)
図2 ウェブサイトのアクセス記録の収集・解析は行っていますか(ウェブサイトの効果別)
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どのページがアクセスの多い人気コンテンツなのか。そもそも当初の狙いどおりにアクセスされているのか。アクセス解析結果にはサイト改善のヒントが隠されている。サイトの効果を上げるためには、アクセス状況をチェックし、その結果からコンテンツやサイト構成を修正するPDCAサイクルを絶えず回していく必要がある。

マーケティングの実施状況にも違いがあった(図3)。自社サイトが「非常に効果がある」企業の46.3%がSEOを実施しているのに対し、「効果がある」企業で41.9%、「どちらとも言えない」企業では24.0%となっている。メールマガジンの配信やブログの開設でも差がでており、これではそもそも「どちらとも言えない」のサイトはアクセスが伸びないだろう。

図3 実施している対策(抜粋、ウェブサイトの効果別)
図3 実施している対策(抜粋、ウェブサイトの効果別)
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マニュアルを整備してきちんと運営

次に、コンテンツ制作やサイト運営のベースとなるマニュアルやガイドラインについて両者を比較してみる。運営マニュアルに関する質問では、ウェブサイトの運営マニュアルを作っていたのは、自社サイトが「非常に効果がある」と答えた企業のうち29.5%だったのに対し、「効果がある」企業では19.6%、「どちらとも言えない」は18.7%と低い(図4)。

サイト制作のガイドラインも同様の傾向で、「非常に効果がある」企業の方がガイドラインの設定率や遵守率が高い。運営マニュアルや制作ガイドラインは、サイト担当者が1人ならばなくても運営できるかもしれないが、チームでの運営や引き継ぎを考えたら欠かせないものだ。

図4 あなたの勤務先ではウェブサイトの運用マニュアルを策定しますか(ウェブサイトの効果別)
図4 あなたの勤務先ではウェブサイトの運用マニュアルを策定しますか(ウェブサイトの効果別)
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また、誌面の都合上グラフとして出さないが、コンテンツの更新や管理を効率化するCMS(コンテンツ管理システム)の導入でも差がついている。CMSの導入率は、「非常に効果がある」企業では17.8%あるのに対し、「効果がある」企業で9.4%、「どちらとも言えない」企業では2.7%となっている。効果を上げている企業は、サイト運営の管理の仕組みをちゃんと作り上げているようだ。

8割の大企業サイトは商品情報や企業紹介の効果を認める

今回の調査では、インターネットユーザーに登録してもらったアンケートパネルを使って調査しているので、従業員数が10人未満の小規模な企業を多く含んでいる。幅広く企業の実態を見るうえではこの調査結果でかまわないが、ビジネスを牽引している大企業サイトの実態はわかりにくい。

そこで、Web広告研究会が、その会員社と日本アドバタイザーズ協会(旧日本広告主協会)の会員社を対象に実施した「第3回企業ホームページ運営状況調査」の結果から大企業サイトの運営状況を見ていこう(図5)。

名称 インターネット利用動向調査
報告書〈ウェブ担当者編〉2007
第3回企業ホームページ
運営状況調査
対象企業 全企業
(アンケートパネル)
大企業中心
(JAA、WAB会員社)
対象者 サイトの企画・制作・運用・管理
担当者など
Webマスターまたはトップ
ページ管理担当者
回答数 2,055社 61社
図5 調査概要比較

Web広告研究会の調査結果でも本調査と同様に企業サイトの効果は明らかになっている(図6)。企業サイトのどの機能や情報が自社のビジネスに役立っているかを聞いた質問で、「非常に、またはある程度役立っている」と回答する比率が高かったのは、「商品情報(85.2%)」と「企業紹介・広報(83.6%)」で共に8割を超えた。また、掲載している企業は少ないが「IR(投資家向け情報)」を役立っているとする回答は95.0%に達している。その他、「顧客とのコミュニケーション」「売上への間接貢献」「CSR(社会貢献活動情報)」のいずれも6割台と半数を超えた。質問した7項目の中で唯一「売上への直接貢献」だけは26.2%の低いレベルに留まったが、全体として大企業ではウェブサイトの効果が高く認識されているようだ。

図6 ホームページのビジネス貢献に対する評価
図6 ホームページのビジネス貢献に対する評価
Copyright © 2007 Web Advertising Bureau. All rights reserved.

社内での重要性認識が高いと予算が増える

ビジネスへの貢献度が高ければ、当然ながら社内の評価も上がる。社内評価に関する質問(図7)では、この1年間で企業サイトに対する「社内評価や重要性認識が高まった」と回答した企業が59.0%を占めた。残りの約4割のうち32.8%は「とくに変化なし」と答え、「社内評価や重要性認識が低下した」はわずか1.6%しかない。多くの大企業でこの1年に社内の認識が急に高まった様子が伺える。

実際に、「昔は商品紹介ページのコンテンツ提供を頼んでも嫌がられることが多かったが、今では商品担当者の方から積極的なアプローチがある」と社内の変化を説明する声も聞かれる。

図7 この1年の企業サイトに対する評価の変化
図7 この1年の企業サイトに対する評価の変化
Copyright © 2007 Web Advertising Bureau. All rights reserved.

では、この社内評価や重要性認識はどのような影響を及ぼすのだろうか。グラフは掲載していないが、サイト運営上の課題は、「担当者不足(68.9%)」「サイトの効果が見えにくい(65.6%)」「運営予算が足りない(49.2%)」の順となっている。この中から予算を取り上げて関係を見てみると(図8)、「社内評価や重要性認識が高まった」と答えた企業では予算が増加した企業は52.8%と半数を超えている。これに対して「とくに変化なし」では予算増加が30.0%に対し「ほとんど変化なし」が60.0%だ。評価や重要性認識が高いものに対して予算が付きやすいのは当たり前のことだろう。

図8 社内評価の変化別運営予算の変化
図8 社内評価の変化別運営予算の変化
Copyright © 2007 Web Advertising Bureau. All rights reserved.

「鶴の一声」の予算獲得方法

Web広告研究会の調査では、企業サイトに関する経営層への報告状況も聞いている。複数回答で最も多かったのは「不定期に会議等で報告(39.3%)」で、「不定期にレポートで報告(21.3%)」がそれに続く。「定期的にレポートで報告(14.8%)」「定期的に会議等で報告(13.1%)」はそれより少なく、「このようなことはやっていない」は19.7%だった(図9)。

図9 経営層への報告状況(複数回答)
図9 経営層への報告状況(複数回答)
Copyright © 2007 Web Advertising Bureau. All rights reserved.

さらに分析すると、この1年で企業サイトに対する社内評価や重要性認識が高まった企業は、9割弱が企業サイトの運営状況を経営層に何らかの形態で報告しているのに対し、社内評価に変化のない企業の報告実施率は65%にとどまっている(図10)。サイトの運営予算は経営層の「鶴の一声」で決まることも多い。普段から経営層や社内に状況を説明し課題を共有してもらう努力が、サイトの予算獲得や上手に運営していくうえでは欠かせない。

図10 社内評価別・経営層への報告実施状況
図10 社内評価別・経営層への報告実施状況
Copyright © 2007 Web Advertising Bureau. All rights reserved.

効果を上げるには社内の巻き込みも重要

企業サイトの効果を上げるには、PDCAサイクルを回す改善活動やサイトの管理体制を構築するだけでなく、経営層や社内の協力体制も重要だ。日々の運営に追われていると、トラブルなくコンテンツを追加していくことが目的になってしまい、ウェブサイトの本来の目的が二の次になったり、社内の巻き込みがおろそかになったりしがちだ。

「Web担当者Forum」や『Web担当者 現場のノウハウ』で先進事例として紹介されるような企業でも、自社サイトのトピックスの紹介や、社外から講師を呼んだ勉強会を開催して社内の啓蒙活動を行っている。

まずはこうした調査結果を社内で共有して、自社の位置づけを皆で考えるところから始めてみてほしい。

Web広告研究会「第3回企業ホームページ運営状況調査 結果報告書」

http://www.wab.ne.jp/topics/websitestudy3.html

この記事では、インプレスR&Dによる調査「インターネット利用動向調査〈ウェブ担当者編〉2007」に加えて、「第3回企業ホームページ運営状況調査」の調査結果もとりあげている。

この調査は、社団法人 日本アドバタイザーズ協会、Web広告研究会 調査委員会が2007年6月に発表したもの。「企業ホームページ運営状況調査」は2003年、2004年と行われており、今回で第3回となる。おもな分析軸としては、企業の規模(従業員数)、業種タイプ、制作・予算体制タイプの3種類から、継続的な変化を捉えているのがポイントだ。

●「第3回企業ホームページ運営状況調査 結果報告書」調査概要
  • 2006年12月6日~12月28日に、Eメール告知によるウェブアンケートを実施。
  • 日本アドバタイザーズ協会(旧:日本広告主協会、JAA)、Web広告研究会(WAB)の会員社のうち、官公庁と個人を除く475社。
  • 回答者は、調査対象企業で「自社サイト(ホームページ)のウェブマスターまたはトップページの管理を担当している人」。
  • 回収61社(回収率12.8%)。
参考リンク
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