企業ホームページ運営の心得

マルチプルインカムという方程式。名簿・情報を売るインフォプレナー…から学ぶもの

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐十

「コンサルタント」と一線を画す理由

インフォプレナーは「情報」を資本金のような「元手(資本)」にして起業する人たち「情報起業家」を指す言葉です。金持ち大家さんの「ノウハウ」は、アパート経営から得た実践の妙法でしょうし、右脳を活性化させる速読法だって本を読むのに役立つかも知れません。コンサルタント同様にこれらの「情報」を教えることがベースとなります。「コンサルタント」や「インストラクター」との違いは、年収8桁、いやそれ以上に「非常識に儲ける」ためのビジネスモデルによります。

マルチプルインカムという「方程式」

収益構造の違いが一般的なコンサルタントとの「収入格差」を作り出します。それがマルチプルインカム(複数の収入源)です。

「IT導入コンサル」のインフォプレナーの収益はこうなります。

  1. IT導入のコンサルとして働き報酬をもらう
  2. 導入時の実例をレポートとしてまとめて販売する
  3. 実例をもとにしたセミナーを開く
  4. セミナーの様子を撮影してDVDで販売する
  5. セミナーの参加者を、自分が主催する「IT導入実践会」に入会させる

コンサルフィー、レポート販売(書籍なら印税)、セミナー受講料、DVD、会費と、1つの仕事から5粒の果実を得るという「方程式」です。

更につづきます。実践会から「優良企業」をピックアップしてコンサルテーションし、これまた方程式に当てはめれば、ねずみ算的に「収入源」が増えるのです。

些末でも成功例を作りマルチプルインカムという方程式に当てはめることが、インフォプレナーがビジネスモデルである理由です。

情報もリパッケージで賞味期限を伸ばせる

彼らは、情報の活かし方を熟知しています。

スーパーマーケットで売れ残った肉を挽肉にしたり、味を付けて焼き肉用として賞味期限を延ばす「リパッケージ」が問題となりましたが、「情報」のリパッケージは彼らの得意技です。「IT導入で売り上げ10倍」というネタから、「IT導入コストを10分の1にする驚愕のテクニック」を作ることができます。中身は同じ「売り上げ10倍」でも「相対的に導入コストが10分の1になった」というオチにすればよいのです。

眉根を潜めた方もいるでしょうが、前者は営業・経営者向け、後者は総務・経理担当向けならどうでしょう?

同じ内容でも「切り口」により売る相手を替えれば「リパッケージ」の完成です。

信者に下賜される現金製造機

マルチプルインカムという「方程式」には「顧客名簿」の商品化も含まれています。個人情報保護の流れに反目するようですが、巧みに販売されています。

著名な「カリスマインフォプレナー」は、その信者たちに言います。

短期間で成功したければ顧客名簿を買え。成功した人の名簿を買うことで成功速度が上がる

名簿には勉強熱心な人の名前が並び、成功者が汗水たらして集めた顧客名簿は現金製造機だ

最期に「集客にエネルギーを使うのではなく(名簿を買って)スタートダッシュに心血を注ぐべきだ」と結びます。

こうして、教祖が巻き上げ尽くした顧客(教祖の「情報」に喜んでお金を払う人)の名簿が、欲しいと願う多くの信者に等しく下賜されます。請求書と共に。

記事広告という大人の事情

名簿の売りかたも巧妙です。教祖の発行しているメルマガ、ニュースレターなどで「紹介」することにより、読者は自分の名簿が売られたことに永遠に気がつきません。新聞や雑誌などの「記事広告」と違い、メルマガやニュースレターには何も規制がないのです。

記事広告とは新聞や雑誌などで「PR」や「広告特集」と欄外に掲載されている「記事仕立ての広告」で、取材を受ける側がお金を払っています。インフォプレナーにこれが好きな方が多いようで、お金で買った「取材実績」を自身のサイトで披露していたりします。

私にも元おにゃんこクラブ新田恵利さんがインタビュアーで5万円というオファーがありましたが断りました。永田ルリ子さんなら受けたのですが。

「ビリーズブートキャンプ」の効果とは

インフォプレナーの顧客名簿は本当に価値があります。勉強家は「勉強」が好きですし、「買っただけで満足する人」は買ったという「免罪符」を手にして安心します。

いま通販界で話題の「ビリーズブートキャンプ」も買っただけではシェイプアップできないものですが、情報も実践しなければ意味がないのは同じです。買って満足する免罪符好きな方が購入しスタートダッシュを助けてくれます。

すると、買った人の中からそこそこ成功する人が必ず現れます。学年に一人ぐらい有名人になったり、商売で成功する人がでてくるように、確率の問題です。

名簿を売ったインフォプレナーは誇らしげにこういいます。

「私のもとから一人成功者がでた」

信者から成功者が出てからが、インフォプレナービジネスの本番なのですが・・・これはいずれ機会があれば。

情報価値の最大化から学ぶもの

コンサルタントとインフォプレナーの決定的な違いは、相手にする客が違うところです。

例えるならコンサルタントは家庭教師で客は生徒(の親)、インフォプレナーは代理店を開拓するFC(franchise:フランチャイズ)本部で客はFCオーナーです。商売相手が違うということで、優劣ではありません。FCの成功例は次の参加者を呼びますし、個別指導で全員が東大に入れるわけではないように。

カカクコムを例に挙げるまでもなく、ネットでは「価格の比較」が瞬時に行われます。安売りに対抗するには「情報」の使いかたが重要となります。バックにブランドロゴが入ると価格が急騰するのは、「ブランド」という情報が価格を正当化してくれるからです。

インフォプレナーの武器は情報・・・の「取り扱い方」。「信者化」「リパッケージ」に、名簿まで売り払う「マルチプルインカム」。

実は「情報」を最大限に活用しているのです。

鵜呑みにするのは賛成しませんが、同じく「情報」を扱うウェブ担当者が見習うべき点があると思いませんか?

♪今回のポイント

インフォプレナーになりたい人が客となり、客が客を生むマルチなビジネスモデル。

彼らの持つ情報よりも「取り扱い方」に着目すべし。

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