フィードを“発信”させる新事業「modiphi」 小川浩の新たな挑戦

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[フィードビジネス・サミット開催直前 特別対談] フィードを“発信”させる新事業「modiphi」 小川浩の新たな挑戦

小川 浩(株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター)
安田 英久(Web担当者Forum編集長)

2006年末にフィードパス株式会社を退社し、その動向が注目されていた小川浩氏。休眠中と思われていたこれまでの3か月の間も小川氏は積極的な活動を行っており、新たにサンブリッジのEIR(Entrepreneur In Residence)という立場でフィードの新事業を立ち上げようとしている。日本ではまだ聞きなれないEIRとはどのような制度なのか、今後のフィードはどのように活用されていくのか、「Web担当者Forum」編集長の安田が聞いた。

構成:編集部

EIRという新たな立場で新規事業を開拓する

小川浩の写真1
小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてフィードアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。
Feed Business Syndicationの立ち上げや「フィードビジネス・サミット」の企画にかかわるなど、フィードのビジネス利用・推進のために精力的に活動している。

●安田 なぜフィードパスを辞めて、サンブリッジに移られたのでしょうか。

●小川 元々フィードパスの構想は、フィードの“発信”“受信”“検索”“共有”の4つをすべてまかなうツールを出すことでした。そのため、最初に“受信”と“検索”を行えるフィードリーダーを作りました。しかし、能動的にフィードを“書く”“発生させる”“ホスティングさせる”という重要な部分に関しては、フィードパス内でも理解を得られず、結果的にリリースしたのはブログエディターでした。フィードパスを辞めた理由はさまざまですが、一番やりたかった“フィードを発生させる”という仕組みがなかったということが一番の理由ですね。このテクノロジーをコアとした事業をやりたくて、サンブリッジに移ることになったのです。

●安田 フィードパスでは小川さんのやりたいことを実現できそうになかったと。

●小川 “できなくはない”とは思います。しかし、フィードパスはサイボウズの社内ベンチャーとして生まれた会社ですので、全体の事業の中での優先順位が決まってしまいます。その中で、自分の我ばかりを通すわけにはいきません。それで、やむなくサンブリッジに移ることにしました。

また、フィードを発生させることについて焦っていたのも事実です。フィードパスを立ち上げた直後にフィードを生成する「FeedXs」というサービスが出てきて、その後も「SimpleFeed」などのサービスが生まれてきています。また、「Google Reader」が「feedpath」とそっくりであったのを見ると、リーダー重視のモデルでは差別化が難しいと感じていました。

安田英久の写真1
安田 英久(やすだ ひでひさ)
プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書やインターネットマガジンなどの編集や出版営業を経て、現在ウェブサイト「Web担当者Forum」、雑誌『Web担当者 現場のノウハウ』の編集長。技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿を模索している。

●安田 では、実際にサンブリッジではどういったことをされているのでしょうか。

●小川 事業部としては投資事業部となるのですが、私自身が投資を受ける対象となっています。EIR(Entrepreneur In Residence)というものですが、「住み込み起業家」といった立場ですね。私は中国風に「食客」と呼んでいますけど(笑)。

EIRには、新事業を立ち上げるまでは正社員として給料が保証されるという利点があります。また、ベンチャーキャピタルであるため、さまざまなビジネスモデルに経営者として入っていけるチャンスが広がり、事業プランを作成するときに役立つのも大きな利点です。私の場合は、やりたいビジネスモデルは決まっているので、プラン自体は固まっていますけど。

modiphiサービスでフィードだけを流通させる

●安田 それらのプランがそろそろ実現される時期ではないかと思うのですが、どのような計画がありますか。

modiphiの画面ショット
小川氏が新たに手がけるフィードサービス「modiphi」。

●小川 まず、「modiphi」(モディファイ)というサービスを立ち上げようとしています。これは、フィードのフォーマットによるウェブ構築およびホスティングサービスとなります。コンテンツやデータの配信サービスですね。

●安田 ということは、(サービスとしての)WWWやHTMLに縛られないフィードだけのサービスとなるのですか。

●小川 フィードは検索されないので、実際にはRSSなどのデータを置いておく場所(サイト)は必要です。しかし、基本となるデータはすべてフィードだけでリーダーやリーダーの機能を持ったウェブブラウザで見るサービスとなります。

●安田 コンテンツはHTMLでは流れず、フィードだけを流通させるということですね。どのようなユーザーを対象としているのでしょうか。

●小川 基本的に、ウェブサイト代わりにブログで情報発信している人や企業は対象となります。また、メールマガジンを発行しているユーザーも含まれますね。メールマガジンはオプトインとしての限界がありますが、フィードは完全なオプトインですから。

小川浩の写真2

クラシファイなどのデータや、売りたい/買いたいのような三行広告、ニュースリリースや記事そのもの、求人情報や求職情報なども対象となるでしょう。できれば、実際に電子チラシを配布することで、分散したEコマースを作れるようになるといいですね。ペイメントなどの情報をフィードの中に書き込んでリンクとすれば、リンクの先にある「PayPal」のような仕組みと連動させられます。

modiphiのサービスは、イベント告知のようなある程度の時間軸に沿ったデータやパーマネントなデータに加え、更新したらすぐに登録者に伝えたいデータにも適しています。たとえば、ケータイの番号を変更したらすべての友達に通知が行くといったことも考えられますね。非常にセマンティックなデータの配信となります。

●安田 無理してHTMLを無くしてしまう必要もない気がしますが。

●小川 サービスとしては、HTMLも出してしまうとブログと同じになってしまいますよね。この事業は、フィードだけの発信に集中するべきだと考えました。

実は、“ブログとそのフィード配信”と“フィード配信だけ”の大きな違いは“カテゴリー”にあるのです。たとえば、安田さんのブログの中に「仕事」「趣味」「食べ物」などのカテゴリーがあるとしましょう。ブログのフィードはカテゴリーに関係なく吐き出されるため、安田さんの「食べ物」の話だけを読むことができません。

これを解決するため、最初はフィードリーダー側でカテゴリー別に分けようと考えました。しかし、われわれだけが努力しても他のフィードリーダーがその機能を持たなければ意味がありません。発信側で処理しなければならない問題だと思ったのです。カテゴリー分けしやすいデータ発信のための道具を出すことがスタンダードとなれば、キレイなデータが世の中を回ることになります。

●安田 メディアの視点から見ると、フィードがデータベースのようなデータのまとまりとなっている点がおもしろいと思います。これまで、求人情報などのデータはいったんデータベースに格納され、検索のインターフェイスで情報が提供される形でした。この形のフォーマットはSQLなどのデータベースの構造だったのですが、今後はフィードとして1つのまとまりになる、という考えですよね。

●小川 実際、マイクロソフトもフィードを新しいOfficeの基本フォーマットとして採用していますし、各ポータルサイトでもフィードを配信しています。フィードは流通性が高く、再符号できるオープンなデータになると考えているので、ウェブの世界はHTMLだけではなくなるでしょう。もちろん、HTMLベースのウェブサイトが消えてしまうということはありえません。バランスの問題で、現在はカテゴリーやジャンル分けの部分でフィードの利用に傾いてきているのだと思います。

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