選択のステップ2必要な機能や容量とシステム管理負担

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選択のステップ2
必要な機能や容量とシステム管理負担

レンタルサーバーと言っても、大きく分けて「共用」「専用」「仮想専用」の3種類のサービスあり、「専用」「仮想専用」には“マネージド”か“非マネージド”の2種類がある。どのタイプのサービスを利用するべきかは、必要な機能や容量と、システム管理を自分で行えるかによって変わる(図2)。

図2 レンタルサーバーの種類と違い

昔は共用サーバーが低スペックで安価なサービスで、専用サーバーが高スペックで高価なサービスだった。しかし、最近は必ずしもそうとは言えない。共用サーバーでも100GBのディスク容量を使える高スペックなサービスもあるし、専用サーバーでも月額5,000円で利用できるサービスもある。そのため、共用サーバーを選ぶか専用サーバーを選ぶかは、スペックではなく特徴で選ぶことになるだろう。

最も大きな違いは、次のものだろう。

共用サーバー/仮想専用サーバーは1台のサーバーを複数の契約で共有するが、専用サーバーは1台のサーバーを1契約で専有する

たとえばセキュリティの社内規定で、アンケートなどの個人情報を取り扱う場合は他社の契約と同じサーバーを利用できない場合がある。このような場合には、共用サーバーや仮想専用サーバーは利用できない。また、月額利用料が1,000円未満などの安価な共用サーバーでは、1台のサーバーを数百ユーザーで共有しているため、1日数千PV以上あるようなサイトの場合は、よりパフォーマンスに余裕のある上位プランへの移行を促される場合もある。

あなたのサイトが月間100万PVを超えるようなメガサイトの場合や、複数のウェブサーバーを負荷分散して使いたい場合などは、安価な共用サーバーではなく専用サーバーを選ぶべきだろう。

次に注意するべき点はこれだ。

共用サーバーでは利用できない特別なシステム設定やソフトウェアが必要な場合は、システム管理権限をもらえる専用/仮想専用サーバーが必要になる

一般的なHTMLのウェブサイトやちょっとしたCGIを使いたいだけならば、ほとんどの場合は共用サーバーで十分だ。最近の共用サーバーでは、ブログシステムやちょっとしたCMS(コンテンツ管理システム)、簡易的なアクセス解析の機能は標準で利用できることが多い。

しかし、たとえばアクセス解析のためにアクセスログファイルを自由にダウンロードして解析できるようにしたい場合や、特別なCMSをインストールして動かしたい場合などには、「root」と呼ばれるシステム管理権限をもらえる専用/仮想専用サーバーが必要になる。

ただし、この場合は次のポイントが重要になる。

専用/仮想専用サーバーでは、OSのアップデートなどのソフトウェア的なシステム管理はユーザーが行う必要がある

共用サーバーならば、システムの運用に関する責任はすべてレンタルサーバー事業者が負ってくれる。しかし、専用/仮想専用サーバーで管理者権限を自分が持つ場合には、システム的なセキュリティの確保は事業者は行ってくれず、自分で行う必要があるのだ。

ウェブサーバーのシステムにも日々セキュリティ上の問題点が発見され、随時修正プログラムが公開されている。実際、これらの修正プログラムを適用していないシステムがインターネット上に公開されていると、あっと言う間に悪意を持ったユーザーに攻撃され、個人情報の漏洩などにつながってしまったり、システムに侵入されて他のサーバーを攻撃する踏み台にされたり、スパム送信にサーバーを悪用されたりするのだ。

自由にサーバーの設定を変えたりソフトウェアをインストールしたりといったことを行う、つまり管理者権限を持つためには、公開サーバーのセキュリティを確保し続ける責任が伴うのだ。

とは言え、日々セキュリティ情報をチェックして面倒な修正プログラム適用の作業を行うのは相当大変な管理負担だ。レンタルサーバー事業者もその点は理解しており、最近はそういったセキュリティ確保などのサーバー管理業務を代行するサービスも多い。これが“マネージド”と呼ばれるサービスだ。

専用/仮想専用サーバーでも、“マネージド”サービスを利用すれば、面倒な管理作業を事業者に任せられる

「マネージドサービス」には、前述のシステムセキュリティ確保の業務のほかに、サーバーがちゃんと稼働しているかのチェックを行う「死活監視」や、サーバーにトラブルがあった際にあらかじめ決められた再起動などの動作を行う「一次対応」などが含まれる場合もある。ただし、事業者によって「マネージド」や「フルマネージド」の定義は異なるため、どのようなサービスが料金に含まれるかは各事業者に問い合わせてほしい。

これらの注意点を考慮すると、特に事情がなければ、通常の企業サイトは共用サーバーを選んでおくのがいいだろう。サイトの規模が小さい場合でも、後々のサイトの成長を考えると、ディスク容量で数百MB以上、月額利用料で数千円~1万円程度のサービスを選んでおくのがいいだろう。

セキュリティやパフォーマンスのために専用サーバーや仮想専用サーバーを利用する必要がある場合には、社内や制作会社にリナックスサーバーの管理の知識があるスタッフを確保しておこう。そういったスタッフがいなかったり管理のための工数を割けなかったりする場合は、マネージドサービスを提供する事業者を選ぼう。ただし、マネージドのサービス内容は必ず事業者に確認しておこう。

普通の企業サイトならば月額数千円の共用サーバーで十分。
専用/仮想専用サーバーを選ぶ場合はマネージドサービスを。


地震、水害、そのときサーバーは?

地方では、レンタルサーバーやデータセンターを利用するのではなく、自社でサーバーを管理している企業が多いようだ。しかし、データセンターや、データセンターにサーバーを設置してサービスを提供しているレンタルサーバーは、めったに来ない地震に対しても万全の態勢を整えていることにも目を向けてみよう。データセンターの建物はほとんどが耐震・免震構造になっているうえに、自家発電装置を備えていて、電力会社からの電気の供給が止まっても無停電電源設備で瞬断なく切り替えられる仕組みになっている。

実際に、2004年の新潟県中越地震や、2005年の福岡県西方沖地震でも、現地のデータセンターは問題なく稼働していたことが取材で判明している。

また、地震よりも怖いのが水害だ。サーバーのディスクが壊れてしまっては、復旧すらできなくなってしまうからだ。2004年7月の新潟・福島豪雨災害では、自社で管理していたサーバーが冠水してしまった例が多数あったと言う。

ますます企業にとって重要性が高まるウェブサイトだが、災害時にも稼働し続けられるシステムを確保するには、レンタルサーバーやデータセンターを利用するのが間違いなさそうだ。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.3』掲載の記事です。

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