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誌上検索マーケティング講座7 TPOによって「キーワードの価値」は違う?

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千客万来! 誌上検索マーケティング講座 ~ムダなく費用対効果をアップするキーワード広告術

講座7 TPOによって「キーワードの価値」は違う?

文:芝野徹也 監修:紺野俊介((株式会社アイレップ))

同じキーワードを使っても
ビジネスモデルで価値は異なる

キーワード広告に出稿するキーワードが用意できたなら、次にそれぞれの「キーワードの価値」を考慮した運用方針の策定が重要だ。

たとえば、「ノートパソコン 通販」というキーワードでYahoo!検索し、右側に表示されるキーワード広告の下にある「一覧を見る」をクリックしてみよう。「ノートパソコン 通販」というキーワードに出稿しているスポンサーサイトの一覧では、30強の広告出稿が確認できる(図1)。

ヤフー検索でのスポンサーサイト一覧表示
図1 Yahoo!検索での「ノートパソコン 通販」の結果。パソコンメーカー(直販型ECサイト)と、流通メーカー(量販店型ECサイト)が混在していることが見て取れる。
図1 Yahoo!検索での「ノートパソコン 通販」の結果。パソコンメーカー(直販型ECサイト)と、流通メーカー(量販店型ECサイト)が混在していることが見て取れる。

この広告文を1つひとつ見てみると、2種類のサイトが存在することがわかる。パソコンメーカーの「直販型ECサイト」と、流通メーカーの「量販店型ECサイト」だ。

この場合、一般的な傾向として「直販型ECサイト」のほうが高めのクリック単価を設定し上位掲載しているパターンが多い。いずれも「ノートパソコンをネット販売している」という点では共通するのだが、「直販型ECサイト」のほうが一般的に粗利率の高いビジネスモデルのため、販売1件当りの広告費が高騰しても利益を得やすいからだ。

ここからわかるように、同じキーワードであっても、ビジネスモデルによってキーワードの価値は異なるため、広告掲載の方針は違ったものになる。さらに、競合としては「ショッピングモール型ECサイト」「比較サイト」「アフィリエイトサイト」などのビジネスモデルが存在するし、それぞれにゴール設定が異なっている。同じキーワードでも、かけられる広告費の差がさらに大きくなることも考えられる。

このように、キーワード広告においては、あなたのサイトとビジネスモデルの異なるサイトとで入札が競合していないか注意すべきだろう。ビジネスモデルが異なるサイトと掲載順位を争って入札を続けると、キーワード広告の費用対効果が極端に悪くなってしまう可能性があるからだ。キーワード広告の運用でも、ビジネス全般と同様に、あなたにとっての競合が誰なのかを区別して対策を練ることが重要だ。

語順によっても
キーワードの価値は変わる

キーワード広告に出稿するキーワードの数が多くなってくると、複数語のキーワードを扱う機会も増えるだろう。しかし、複数語のキーワードを出稿する際には、語順に気を付けないと、異なる意図の広告と掲載順位を競ってしまうので、気をつける必要がある。

たとえば、人材紹介のサイトでのキーワード広告を例にして考えてみよう。まず「求人」「転職」というメインキーワードがあるわけだが、実際にはこれらに「アパレル」や「金融」という業種キーワードを組み合わせた「求人 アパレル」や「転職 金融」などの複数語が、最も多くの広告として出稿されている。転職希望者は、実際に特定業界への転職情報を探す際に、こういった複数語のキーワードで検索していることがうかがい知れる。

しかし、この考え方で広告業界への転職希望者向けに「求人 広告」といったキーワードを掲載すると、「転職希望者向け」の広告だけでなく、「求人募集している企業向け」の広告と競合してしまう。「求人 広告」は、組み合わせによる複数語としてではなく、「求人広告」という単ワードで認知されているため、後者の意図で検索している人が多く含まれていると予測できるからだ(図2)。

Yahoo!検索での「求人 広告」の結果。「求人広告」という単ワードで認知されているため、「広告業界への転職希望者」が求めるような情報はほとんど現れない。
図2 Yahoo!検索での「求人 広告」の結果。「求人広告」という単ワードで認知されているため、「広告業界への転職希望者」が求めるような情報はほとんど現れない。

このように、複数語の組み合わせにおいては、語順によってまったく違う意図を持ったキーワードになってしまうケースに注意すべきだろう。もし、転職希望者向けに限定して広告露出するなら、キーワードの順番を入れ替えて「広告 求人」という語順にすることで、広告の意図に近づけることができるはずだ。語順で意味が異なるキーワードを出稿する際は、広告の意図により近い語順まで考慮してキーワードを決定し、それぞれに広告予算配分を設定する必要があるだろう。

単ワードの価値の測り方

ところであなたは、検索窓にキーワードを入力するとき、複数語と単ワードとどちらが多いだろうか?

一般にインターネットユーザーの検索キーワードは、単ワードでの検索ボリュームが飛び抜けて多く、複数語の検索ボリュームは単ワードよりも少ない傾向がある。インターネットユーザーの検索行動が成熟しているとはいえ、いつも複数語で検索しているとは限らないのだ。このように単ワードでの検索は顧客へリーチする範囲が広いため、積極的に広告出稿したいところだろう。しかし一方で、複数語の検索ほど明確な意図は読み取れないため、「単ワードで検索するユーザーの意図がわからない」=「ユーザーの意図が広告意図と一致しない」と考え、出稿をあきらめている場合もないだろうか。

たとえばあなたが関東地方でマンスリーマンションを提供するサイトを運営している場合、「マンスリーマンション」という検索キーワードに対して広告を出稿すべきだろうか? 単ワードで検索するインターネットユーザーにもそれぞれニーズは存在する。そのニーズが検索キーワードという形に顕在化していないだけなのだ。検索キーワードに地域をあらわすキーワードが含まれなくても、インターネットユーザーの脳裏には、自分が滞在する地域が思い描かれているはずである。

「マンスリーマンション」のように、検索キーワードに顕在化していない(インターネットユーザーの脳裏に描かれているだけの)ニーズを推測する手法の1つとして、「キーワードモチベーション分析」を紹介しよう。

キーワードモチベーション分析とは、核となるキーワードに加えて検索される語句がどういったものかをモチベーション別に区分し、検索数とともに集計することで、核となるキーワードのセグメント及び市場ボリュームを浮き彫りにする手法である。

ここでは「マンスリーマンション」における地域別検索ニーズを分析してみよう。まず、「マンスリーマンション」を含む検索キーワードを上位100件まで収集し、地域名ごとにカウントする(図3)。

「マンスリーマンション」を含む検索キーワードを上位100件まで収集し、地域名ごとにカウントした結果。オーバーチュアキーワードアドバイスツールでの調査結果(2006年10月時点)をもとに独自の算出方法により作成した(総計14万8461件)。
「マンスリーマンション」を含む検索キーワードを上位100件まで収集し、地域名ごとにカウントした結果。オーバーチュアキーワードアドバイスツールでの調査結果(2006年10月時点)をもとに独自の算出方法により作成した(総計14万8461件)。

このケースでは、総計14万8461件のうち、地域名がなかったものが55%含まれていた。今度はそれらを除外し、地域名が含まれていた件数内のみで、地域の比率を分析する。そうすると地名を含めて検索するインターネットユーザーの約41%が、関東地方のマンスリーマンションを探していることがわかる(図4)。

地域情報がなかった検索を除外し、地域名が含まれていた45%の部分のみで、各地域の比率を分析し直し。地名を含めて検索したユーザーのうち、約41%が、関東地方のマンスリーマンションを探していることがわかる。
地域情報がなかった検索を除外し、地域名が含まれていた45%の部分のみで、各地域の比率を分析し直した。地名を含めて検索したユーザーのうち、約41%が、関東地方のマンスリーマンションを探していることがわかる。

このことから、“地名を含まない検索キーワードを利用した55%のインターネットユーザーの中にも、同様に4割程度が関東地方のマンスリーマンションを探している”と推測されるのだ。

このように、単ワードの検索を行うユーザーに対しても、モチベーション分析を行うことによりニーズを把握し、あなたにとっての広告出稿する価値のあるキーワードであるかどうかを検討できるのだ。

キーワードの意味と価値。
ユーザーにとって意味あるキーワードなのか、あなたにとって価値あるキーワードなのか。
それが広告出稿の決め手となる。

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