Web 2.0がクチコミを連れてきた!

事例から読み取る成功に導く3つの視点(2)新商品サンプルや関連情報を特定層に先行提供して彼らからクチコミ発生を狙う

事例から読み取る成功に導く3つの視点(2)
新商品サンプルや関連情報を特定層に先行提供して
彼らからクチコミ発生を狙う

日本でもプロダクトシーディングなどといわれるこのアプローチは、商品自体の革新性や発展途中のカテゴリなど、商品そのものを体験することが「人に話したくなる特別な驚き」がある場合に有効だ。

P&Gのタイド(Tide)という洗濯洗剤で実施したキャンペーンはその好例である。

日本では不思議に感じるかもしれないが、これまで北米の洗濯洗剤は温水を使わないと汚れが落ちないものが主流だった。そこで2004年に発売されたのが、常温水でも汚れが落ちる画期的なタイドの新商品。常温水で汚れが落ちるタイドを使うことで、(1) 環境保全、(2) 省エネ、(3) 100万人の参加登録にチャレンジする、という「タイド・コールドウォーターチャレンジ」と銘打った大規模な参加型キャンペーンを展開した(図6)。

図6 「タイド・コールドウォーター」のウェブサイト。現在チャレンジキャンペーンは終了したが、現在も環境保全と省エネのメッセージを打ち出している。
http://www.tide.com/en_US/tidecoldwater/index.jsp

キャンペーンは、このチャレンジに参加する人をマス広告をはじめさまざまなメディアで広く呼びかけ、ウェブサイトでの参加登録を促進した。

登録者には新商品の無料サンプルが送られてくるのだが、これは参加者への具体的メリットでもあると同時に、企業にとっても大規模でトライアルを促進できる効果的なやり方だといえる。一般に、洗剤のように誰でも使う商品のサンプリングでは、相手の興味の有無に関わらず(路上などで)ばらまくことも多いため無駄も出てしまう。しかしこのようにテーマ性のもとに呼びかけることで、自ら興味を持ち主体的に登録してくれた人に重点的にサンプルを送り届けることができ、無駄のない効果的なサンプリングを実現している。

そしてこのキャンペーンのポイントは、クチコミを広げやすいツールを周到に用意した点にある。参加者が友人にも「チャレンジ登録」をオススメできるようにSNSを活用し、北米全土の地図上で参加者の広がりが視覚的にも確認できる仕組みとした(図7)。

図7 「チャレンジ登録」を行ったタイド試用者の広がりが地図上に示されることで、視覚的に確認できる仕組みを提供。参加意識を高めて、連帯感を作り出すことに成功した。

時間が経つごとに参加者がその友人をどんどん巻き込んでいく様子が“ムーブメント感”として伝わり、連帯感を作り出すことに成功している。

さらに、商品の特徴を反映した社会貢献への配慮として、参加者の数に応じた環境保全団体などへの寄付もあらかじめ公約し、参加者の動機付けを後押ししている。結果は目標の100万人を上回る参加者を獲得し、販売も好調となった。画期的な商品の特徴を活かしながら、社会性の高いテーマと参加型施策により大きくクチコミが広がった成功事例だと言えよう。

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