ウェブマスター2.0の仕事術

ウェブ管理者の業務内容

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ウェブ管理者の業務内容

以上の前提を元に、ウェブ管理者の業務内容、やらなければならないことを見てみよう。図2がコーポレートサイトにおける、ウェブ管理者のやることだ。

 コーポレートサイトでの3つの業務分野図
図2 コーポレートサイトでの3つの業務分野

たくさんの人を呼び込む

通常、コーポレートサイトでは、SEOが基本的な施策となる。コーポレートサイトという存在自体が基本的にサイトに対して目的を持ったユーザーが訪れるところであるため、広告を出すよりは、サイト内で適切に情報を記述することでサイト内の情報を探しているユーザーに検索エンジンを通して確実に見つけてもらう必要がある。

サービスや製品をサイトで打ち出したいときや、競合製品の中から自社製品を売り出したいときはキーワード広告やバナー広告なども効果的だが、その場合はせっかく来訪したユーザーを逃がさないために、サイトでのもてなしも特別に検討する必要がある。こういった場合は、後述するように特別に力を入れている製品・サービスやキャンペーンなどではサイトを別サイトとして切り出してしまうことも検討しよう。

サイトに適切に人が来ているかどうかはアクセス解析によって検証しよう。サイトへの流入においては、「どういった検索キーワードを用いてサイトに訪れているか」の情報が大変役に立つ。これは、たいていのアクセス解析ツールであれば簡単に調べることができる。このキーワードによって、ユーザーが「何を求めてサイトに訪れているか」がわかるだろう。そして「サイトにどういった情報があればユーザーを満足させられるか」を検討してサイト内の表現をよりユーザーに合わせて変えていこう。

サイトでもてなす

一般のコーポレートサイトでは、訪問ユーザーの目的が「自分に必要な情報を探す」ことであるため、サイトでのユーザーへのもてなしも「情報がきちんと見つけられること」が優先される。そのためのコーポレートサイトの典型的なサイト構造例を図3に示す。

 コーポレートサイトの典型的なサイト構造図
図3 コーポレートサイトの典型的なサイト構造

このサイト構造は、サイトのユーザーに応じてサイトの大カテゴリを分けて、ニーズの異なったユーザーがサイトを訪れた際にすぐに目的にたどりつけることを想定している。こうやって役割の単位でカテゴリやサイトを分けることで、ユーザーは自分がどこを見ればよいかが明確になり、また、リニューアルをしたりアクセス解析をしたりする際にも検証が行いやすくなったりと、メリットが大きい。それぞれのカテゴリで表現内容や運用主体が異なる場合は、単位ごとに別サイトにしてしまうことを検討してもよいだろう(マイクロサイト化と呼ばれる)。

このサイト構造がユーザーニーズに合っているかの検証にもアクセス解析が有効だ。 「きちんともてなしできているか」を検証するための観点では、ユーザーが目的のコーナーやカテゴリに到達できているか、が検証項目となる。

単なるページビュー数でもコーナーごとの来訪者数を計測することはできるが、もっと積極的にユーザーの行動を調べたい場合は、「経路分析」と呼ばれる機能を持ったアクセス解析ソフトが必要となる。この機能によって、ユーザーがサイト内でどのように移動したかが検証できる。

たとえば、会社概要ページから地図ページへの遷移が多い場合、会社概要ページの使われ方として地図や住所を確認するために見られていることが想定される。こういったところからラベル名やコーナー間のリンクのつながり、コンテンツの置き方について検証を行おう。

別の観点として、特に商品広告などを大々的にうっていない企業の場合、ウェブサイトがその企業の表玄関となることを意識しよう。ユーザーはサイトのデザイン、コンテンツ、サービス内容から総合的にその企業の印象を感じ取る。サイトのデザインを考える際には、「自社のイメージが適切に反映されているか」を常に意識しよう。

サイトを効率的に運用する

コーポレートサイトの運用では、ページ情報の修正とプレスリリースなどの情報の追加が主な作業となるだろう。プレスリリースなどの定型化可能な更新内容はCMS化に最も向いていると言える。

CMSといってもこの場合は、バージョン管理や承認機能など高度な機能はあまり必要ではなく、掲示板的な機能があればよく、Movable Typeなどをカスタマイズしてもよいだろう。

また、製品情報なども更新頻度と情報のパターンを考慮して、CMS化を検討できるだろう。製品情報などのCMSは製品データベースといった役割になるため、もともとそれらの情報がどういった運用をされているか、それらの情報から自動的にウェブ用にデータを移行できるかを検討しよう。 製品情報などをデータベース化する場合、ユーザーの視点に合わせて複数の検索経路を用意できる。CMS製品を選定する場合は、こういった検索機能などをカスタマイズできるかどうかも検討しよう。

レンタルサーバーの選定については、一般的なコーポレートサイトの場合、特に大きな負荷がかかったり、アクセスが集中したりする状況が考えにくいため、通常は共有または専有のレンタルサーバーで問題ないだろう。現在このタイプのホスティングでは、単体で購入すると高価なアクセス解析ソフトをASPサービス的に利用できるものも多い。こういった点も評価のポイントとなる。

ただし、問い合わせをサイトで受け付けたり、ユーザーの個人情報を受け取ったりする場合は、その情報の扱いについては注意を払う必要がある。レンタルサーバーやCMSに関しても、セキュリティが確かかどうかを検討するべきだろう。

以上、典型的なコーポレートサイトのつくりと、その中でウェブサイト管理者の役割を考えてみた。もちろん、個々の会社によって状況はケースバイケースであり、具体的な対応や作業は変わってくるが、ここで紹介したような考え方をベースにしてカスタマイズをしていくことによって最適なサイトと業務フローを作ることができるだろう。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.1』掲載の記事です。

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