衣袋教授の新・Googleアナリティクス入門講座

「リピートの間隔がゼロ」の2つの意味を知っていますか? 施策の頻度と訪問頻度を比較する[第18回]

「リピートの間隔が0」には2つの意味が含まれている。ここでは、Googleアナリティクスにおける「リピートの間隔」の定義と活用方法を解説する。

今回も、Googleアナリテクスにおける「リピート」に関する2つのディメンションを取り上げる。前回は「リピートの回数」を解説したが、今回は「リピートの間隔」を解説していく。「リピートの間隔」はその名のとおりなので誤解する可能性は少ないが、「リピートの間隔が0」といわれるとピンとこないのではないだろうか?

まずは「リピートの間隔」が、Googleアナリティクスで実際にどのようなレポートとして表示されるのかから解説を始めよう。

この記事で学べること:
  • 「リピートの間隔」の意味を理解する
  • サイトの更新頻度とユーザーの訪問間隔を比較する

[リピートの回数や間隔]レポートの[セッションの間隔(日数)]を見る

「リピートの間隔」は前回の「リピートの回数」と同じユーザー系のレポートで確認できる。[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポートだ(図1赤枠部分)。このページの「分布」タブ(図1青枠部分)に、「セッション数」と「セッションの間隔(日数)」という2つのリンクが用意されている。

図1:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート
図1:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート

デフォルトでは「セッション数」が選択されているが、その右隣にある「セッションの間隔(日数)」(図1緑枠部分)が、「リピートの間隔」に対応するものだ。「間隔」は日数単位で表示されるので「何日ぶりのセッション(訪問)か」という意味なのかとおおよそ想像がつくだろう。今回はそのとおりだ。

「セッションの間隔(日数)」を選択すると、図2のような表が表示される。これは見たとおりに「セッションの間隔(日数)」の分布を示している。

図2:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート
図2:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート

左の1列「セッションの間隔(日数)」(図2赤枠部分)が「リピートの間隔」を日数別に表しており、0日から7日までがそれぞれ1行ずつ、8日以上は複数の日数でグルーピングされている(図2青枠部分)。

「セッションの間隔(日数)」は「何日ぶりのセッション(訪問)か」という意味なので、「3」であれば「3日ぶりのセッション(訪問)」という意味になるわけだ。では「0」の場合は何を意味するのだろうか。例を挙げながら、もう少し詳しく定義を説明していこう。

リピートの間隔(日数)の厳密な定義は?

前述したとおり「リピートの間隔(日数)」とは、集計対象期間の各セッション(訪問)が、「前回訪問とどのくらいの間隔(日数)をおいた訪問か」を意味している。

次の2つが「リピートの間隔(日数)」=「0」に含まれていることが、ここでのポイントだ。

  • 初回訪問のセッション
  • 同日に再訪問したセッション

初回訪問は、その前の訪問がないので、引き算するものがなく計算しようもないので、便宜的に「0」と表記しているのだろう。

具体例で話をしよう。ある計測対象サイトにおいて、ユーザーAとユーザーBが、そのサイトに訪れた訪問履歴が図3のようになっていたとする。なお各セッション時(訪問)のページビュー数も括弧内に記述しておいた。

月日ユーザーAユーザーB
8月5日 初回セッション(1ページビュー)
9月1日初回セッション(2ページビュー)2回目のセッション(2ページビュー)
2回目のセッション(1ページビュー)
9月7日3回目のセッション(3ページビュー)3回目のセッション(3ページビュー)
図3:ユーザーAとユーザーBの訪問履歴(全体)

ユーザーAがこのサイトに初めて訪問したのは9月1日で、その日のうちにもう1回訪問し、さらに9月7日に1回訪問している。

一方、ユーザーBがこのサイトに初めて訪問したのは8月5日で、2回目の訪問が9月1日、3回目の訪問が9月7日だったとする。

次に、図3で何回目のセッションかという記述の部分を、何日目ぶりの訪問か(訪問間隔)に書き換えたのが図4だ。前述したとおり、初回訪問を0日目の訪問とするところが重要だ。

月日ユーザーAユーザーB
8月5日 訪問間隔0日(初回訪問なので)
9月1日訪問間隔0日(初回訪問なので)訪問間隔27日(9月1日と8月5日の差)
訪問間隔0日(同日の訪問なので)
9月7日訪問間隔6日(9月7日と9月1日の差)訪問間隔6日(9月7日と9月1日の差)
図4:ユーザーAとユーザーBの訪問履歴(全体)

この状態で、9月の月次レポートとして「リピートの間隔(日数)」のレポートでは、それぞれの訪問がどのように扱われるかを見ていこう。まず対象となる9月の行動履歴は次のように絞られる。図4で記述した括弧書きは省略し、その代わりに図4で省略したページビュー数を復活して、「訪問間隔とページビュー数」を表示したのが図5だ。

月日ユーザーAユーザーB
9月1日訪問間隔0日(2ページビュー)訪問間隔27日(2ページビュー)
訪問間隔0日(1ページビュー)
9月21日訪問間隔6日(3ページビュー)訪問間隔6日(3ページビュー)
図5:ユーザーAとユーザーBの訪問履歴(9月)

この行動データを訪問間隔の日数別に整理し直したのが図6だ。

たとえば図5の訪問間隔0日の2つ(図5赤字部分)を図6ではまとめて(図6赤字部分)、図5の訪問間隔6日の2つ(図5青字部分)を図6ではまとめた(図6青字部分)わけだ。

訪問間隔内訳総訪問(セッション)数総ページビュー数
0日ユーザーA(2ページビュー)、
ユーザーA(1ページビュー)
2(ユーザーAの2回)3(2+1)ページビュー
6日ユーザーA(3ページビュー)、
ユーザーB(3ページビュー)
2(ユーザーAとユーザーBの1回ずつ)6(3+3)ページビュー
27日ユーザーB(2ページビュー)1(ユーザーBの1回)2ページビュー
図6:何回目の訪問かという回数別に整理し直した図(9月)

これをふまえて、実際のレポートをもう一度見てみよう。図7の[リピートの回数や間隔]レポートでは、図6の「訪問間隔」「総訪問(セッション)数」「総ページビュー数」の列が、それぞれ「セッションの間隔(日数)」「セッション」「ページビュー数」に対応している(図7赤枠部分)。

図7:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート
図7:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポート

たとえばこの集計対象期間では、セッションの間隔(日数)が「0」なのが2,685セッションあり、そのセッションでの総ページビュー数は4,549だった(図7青枠部分)という見方になる。

またセッションの間隔(日数)別の分布なので、日数別のセッション(数)とページビュー数(図7緑枠部分)を単純合計すると、それぞれサイト全体のセッション(数)とページビュー数(図7黒枠部分)に合致する。

「リピートの間隔」から何を読み解くか?

では、このレポートから何を読み解くことができるのだろうか。実は、このレポートからすぐに何かを読み取ることは難しい。それはセッションの間隔(日数)が「0」とは、2つの意味が混ざっているからだ。

そのため、この2つを分離してレポートを見た方が理解しやすい。具体的には「新規ユーザー」と「リピーター」のセグメントをこのレポートにかけ合わせるとよい。それが図8だ。

図8:「リピートの間隔」レポートに「新規ユーザー」と「リピーター」のセグメントを掛けた
図8:「リピートの間隔」レポートに「新規ユーザー」と「リピーター」のセグメントをかけ合わせた例

セグメント機能については別途解説するのでここでは詳しく触れないが、同じ「0」のセッションでも、「新規ユーザー」セグメントをかけ合わせることで、セッションの間隔(日数)が「0」の内訳を「初回訪問と同日の2回目訪問」とに分離できる。「新規ユーザー」セグメントに該当する方が初回訪問で(図8赤枠部分)、「リピーター」セグメントに該当する方が同日の2回目訪問ということだ(図8青枠部分)。

初回訪問と同日再訪問を分けてサイトの施策サイクルと比較する

この例で、初回訪問(図8赤枠部分)の1セッションあたりのページビュー数を計算してみよう。「2,701(ページビュー数)÷1,887(セッション)=1.43」と、初回訪問では平均して2ページも回遊していないことがわかる。

一方、同日の2回目訪問(図8青枠部分)の方を計算してみよう。こちらは、1,848(ページビュー数)÷798(セッション)=2.32」と平均して2ページを超えていることがわかる。後者は同じ日に繰り返して見にきたわけだから、より強い関心をもってサイト閲覧しており、初回訪問よりもサイト内回遊が多くなるのは自然なことだろう。

そして、セッションの間隔(日数)の日数が多い部分のデータ(図8緑枠部分)は、日数が多いほど「久しぶりの訪問」になるので、このカテゴリーではサイト内回遊は必ずしも多くないと想定される。実際、このサイトでも1セッションあたりのページビュー数は2未満に落ちている。

もちろん、サイトの種類や集客施策によってそのサイトへの訪問サイクルは変わってくる。たとえば、次のような要素が関係してくるだろう。

  • 同じカテゴリーの記事の更新が1週間に1回
  • メルマガの配信が3日おき
  • キャンペーンの実施間隔が10日おき

ユーザーがサイトの「おなじみさん」になればなるほど、サイトの施策や更新のサイクルに合致したセッションが多くなる。あるいは、1セッションあたりのページビュー数が多くなるといった特徴が出てくるに違いない。

「リピートの間隔」は、「自分のサイトでの集客施策やコンテンツ更新のサイクルに合致したユーザー行動になっているか」といった視点で、上手に活用するのがよいだろう。

◇◇◇

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