Googleアナリティクス セグメント100選

意外と知らない!? GAのセグメント5つの制限――ヘルプの記述はウソ? ホント?(第82回)

作成可能なセグメント数、適用できるセグメント数、フィルタの総数などについて、ヘルプを参照しながら解説する。

本連載のタイトルは「Googleアナリティクス セグメント100選」だ。なぜ「100」なのかというと、Googleアナリティクスのヘルプに、「セグメントは、各ビューでユーザーあたり100 個まで」という条件の記述があるからだ。

ところが筆者のアカウントで確認してみたところ、セグメントの総数はどのビューでも300前後利用できるような状態になっていて、(図1緑枠部分)、しかも閲覧権限のあるGoogle アナリティクス アカウント配下のほとんどのビューで、たいていのセグメントが共通に使えるようにしてある。これはどういうことだろうか?

図1:アナリティクス設定のセグメント

公式ヘルプには、たしかに「各ビューでユーザーあたり100個まで」という条件の記述があった。セグメントの数以外にも、Google アナリティクス(無料版)やセグメント機能の利用には、いろいろな制限事項があると公式ヘルプに記述されている。

これまでも折に触れて必要な制限については説明してきたが、他にはどのような制限があるのか、今回はヘルプに記述があった下記の制限事項について、あらためて確認してみよう。

今回検証するGoogleアナリティクスのセグメント制限
  • 作成可能なセグメント数
  • レポートに一度に適用できるセグメント数
  • ユーザーベースのセグメントに適用可能な期間
  • セグメントに対応していないデータやレポート
  • 条件指定できるフィルタの総数

セグメントは何個まで作成可能なのか?

セグメントは何個まで使うことができるのか、ヘルプにはこのように書いてある。

総セグメント数の制限

  • アカウントあたり1,000 個まで
  • 各ビューでユーザーあたり100 個まで
  • ユーザー間で共有されたセグメントはビューあたり100 個まで

こうした制限の対象には、システム セグメントや、独自に作成したか外部から読み込んだセグメントも含まれます。上限を超えてセグメントを作成したり、読み込んだりすることはできません。

標準で用意されているシステム セグメントだけでも22個あるので、「各ビューでユーザーあたり 100 個まで」というのが事実だとすると、新規に作成できるセグメントは80個足らずのはずだが、冒頭に書いた通り、筆者のとあるビューでは300個近く独自のセグメントを利用できる状態になっている。これはどうしたわけだろう。

図1はアナリティクス設定で、とあるビューを選択し(図1赤枠部分)、セグメントの項目(図1青枠部分)をクリックした画面だ。

図1(再掲):アナリティクス設定のセグメント

右側には自分で作成したり、取り込んだりしたセグメントの一覧が表示されるが、その右下を見ると、総数が282個である(図1緑枠部分)ことがわかる。

セグメントは複数のディメンションの項目の組み合わせを作るだけでもあっというまに20個くらい作成できてしまう。たとえばオペレーティングシステム4種類とブラウザ5種類の組み合わせをすべてセグメントとして作成すれば、それだけで4×5=20個になるという具合だ。100の制限はけっこう厳しいように思うし、実際に筆者の場合は100を超えて利用できている。

なぜ100個を超えて利用できているのか?

どういうことなのか調べるため少し実験してみた。100個新しいセグメントを作るのはさすがにしんどいので、「アセットの共有」機能を使って、セグメントの設定20個ずつ(一度に共有できるのは20個までのため)切り出して、別のGoogleアカウントのGoogle アナリティクスの特定の1つのビューに集中的に取り込んでみた。なおアセットの共有については下記記事を参照いただきたい。

すると図2のように、100個を超えた段階で、「セグメントはこれ以上取り込めない」というアラート図2赤枠部分)が出た。

図2:100個を超えるセグメントを共有で移植を試みた結果

確かに100個を超えるセグメントを1つのビューに移植することはできなかったことが確認できた。ヘルプの記述はどうやら正しいようだ。

一方、アセット共有機能を使っても、特定のビューを選択(図2青枠部分)せず、「任意のビュー」を選択(図2緑枠部分)すると、100を超えてもセグメントを取り込むことができた

「ユーザー間で共有されたセグメントはビューあたり 100 個まで」というヘルプの記述は、「各ビューでユーザーあたり 100 個まで」に加えてという理解でいいのだろうか。しかし「こうした制限の対象には、システム セグメントや、独自に作成したか外部から読み込んだセグメントも含まれます」とも書いてある。全体でビューあたり100個までと読み取れるので、よくわからない。念のため英語のヘルプに切り替えてみても、翻訳に間違いがあるようには思えなかった。なかなかややこしい仕様のようだ。

ビュー数×100個のセグメントを使える!?

量も多いので、しっかり仕様を確かめるためにこれ以上テストはしなかったが、セグメントを新規作成する場合も、共有で他からセグメントの設定を移植する場合も、特定のビューに対してだけでセグメントを作成することをしなければ、実際には保有しているビュー数×100個のセグメントを作成できるのではないだろうか(もちろん違うかもしれないが)。

万が一、セグメントの作成がこの仕様の上限に達して図2のように取り込めなくなった場合は、ビューの作成に余裕があれば(ビューの作成は1プロパティに対して25個までだが)、実際には使わないビューを新たに作って、そこでセグメントを作成するという手が使えそうだ。

はっきりした結論らしき断言はできないが、実際は冒頭に記述したヘルプに書かれている制限よりは緩そうだということと、実際に上限に引っかかったとしても新たなビューを作るなどの回避策もありそうだということがわかった。

セグメントは一度にいくつ適用できるのか?

セグメントを掛けられるレポートにおいては、同時に適用できるセグメントは4つが上限図3赤枠部分)で、それ以上は指定できない(セグメントを掛けられないレポートの種類については後述する)。これはヘルプに書いてあるとおりだ。

図3:4つのセグメントを掛けたレポート表示画面

多数のセグメントを同時に掛けてもレポートは見にくくなるので、同時に適用できるセグメント数が少ないと文句を言う必要はないだろう。多くのセグメントを掛けたければ、また別の4つのセグメントを掛けて順番にレポートを見ていけばよい。

複数セグメントを利用したうえで、期間の比較や「グラフに表示」機能も同時利用が可能だ。期間の比較と「グラフに表示」機能については、それぞれ下記を参照してほしい。

たとえば「2期間×4セグメント」という実質8つのセグメントでデータを見ることもできるし、「グラフに表示」機能を使えば折れ線には6つ表示可能なので、「6×8=48個の折れ線」を同時表示することも可能だ。めったにないとは思うが、必要になったときには、思い出していただきたい。

ユーザーベースのセグメントは最大何日まで適用できるのか?

ヘルプには次のような記述がある(強調とリスト化は編集部による)。

  • ユーザー セグメントでは、最大90日までの期間をレポートに適用できます。既に90日を超える期間が設定されている場合は、次にユーザー セグメントを作成するときに、期間が自動的に90日にリセットされます。
  • [最初のセッションの日付] を使用した場合、セグメントの期間は31日に制限されます。

1つ目は情報としては古いだろう。上の1つ目で言えば、確かに昔は90日だったと記憶している。90日というのは場合によっては3か月間をフルに選択できないという不自由さの指摘が多かったのだろうか、現在は最大93日まで指定できる。

たとえば図4は、標準で用意されている「コンバージョンに至ったユーザー」というユーザーベースのセグメントを[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートに掛けた画面の上部だ。

図4:ユーザーベースのセグメントは最大93日間まで

たとえレポート対象期間(図4赤枠部分)を「2015年1月~4月」と4か月間にして、該当のセグメントを掛けても(図4青枠部分)、アラートが出現し(図4緑枠部分)、結局は強制的に「2015/01/01 – 2015/04/03」(図4赤枠部分)と、対象期間が93日間に修正されてしまうのだ。

2つ目の[最初のセッションの日付]のセグメントというのは、セグメントを新規作成する画面の「最初のセッションの日付」(図5赤枠部分)で設定できるセグメントのことだ。このセグメントは初回訪問の時期をセグメントしたいときに使う。

図5:「最初のセッションの日付」セグメント

ヘルプにある「セグメントの期間は31日に制限されます」というのは、この条件設定で指定する期間の範囲(図5青枠部分)が最大31日であることを言っている。図5の例では2015年12月1日から2016年1月1日で、指定した範囲が32日になるので、そういう指定はできませんというアラートが出現しているのだ(図5緑枠部分)。

なお、これもユーザーベースのセグメントなので、「レポートの対象期間」は1つ目の93日ルールが適用される。

セグメントに対応していないデータやレポートがあるので注意しよう

ヘルプには次のような記述がある。

AdWordsの費用データはセグメントに対応していません。費用データを含むAdWordsレポートにセグメントを適用すると、費用データの値はすべて 0 になります。

確かにこれはそのとおりに動作する。セグメントを掛ける前は費用データの数値があるのに、セグメントを掛けるとゼロになってしまう。

少し違うが、セグメントを掛けるとリセットされる機能がある。それは「加重並び替え」機能を使ってレポート表示をカスタマイズした後に、セグメントを適用すると「加重並び替え」がリセットされ、かつ機能自体も利用できなくなるというものだ。「加重並び替え」機能については下記を参照いただきたい。

たとえば図6は[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートで、直帰率でソートし(図6赤枠部分)、加重並び替えを選択した(図6青枠部分)画面だ。

図6:加重並び替えを選択した画面

ここに、たとえば「リピーター」というセグメントを掛ける(図7赤枠部分)と、加重並び替えがリセットされ(図7青枠部分)、機能自体が利用できなくなる(図7緑枠部分)

図7:加重並び替えをしたレポートにセグメントを掛けた画面

セグメント機能に対応していないこの他のレポートについては、下記の記事を参照して頂きたい。

セグメントには、最大何個のフィルタを適用できるのか?

ヘルプには「セグメントには最大20個のフィルタを適用できます」とある。最後はこれについて説明しよう。

結論から言えば、最大20個のフィルタが適用というのは正しい。また何を「1つのフィルタ」と数えるかと言えば、セグメント新規作成画面の1つ1つの設定項目あるいは、条件やシーケンスの設定における「フィルタ」が該当するということだ。

たとえば図8の設定例で説明しよう。これはセグメント新規作成画面で「テクノロジー」が選択されている(図8赤枠部分)ところだ。

図8:「テクノロジー」分類のセグメント

この画面では、たとえば「オペレーティング システム」「含む」「Windows」(図8青枠部分)といった条件指定を8種類設定している(図8緑枠部分、スクロールしないと見えない部分にもう1つ隠れている)。これら1つ1つの設定条件が1つの「フィルタ」としてカウントされるということだ。

設定を行うと各画面で何個の条件設定をしたのかを数字で表してくれる。図8は「テクノロジー」の画面以外の「ユーザー属性」で4つ、「行動」で4つ、「トラフィック」で4つ、合計で20個(図8黒枠部分)そういった条件を設定していて、そのためもう上限の20個になりましたというアラートが表示されている(図8紫枠部分)のだ。

そして「条件」や「シーケンス」の設定画面(図9赤枠部分、図10赤枠部分)では、この各設定画面上の1つ1つの「フィルタ」(図9青枠部分、図10青枠部分)を利用すると、それぞれが1つのフィルタとカウントされる。

図9:「条件」分類のセグメント
図10:「シーケンス」分類のセグメント

どちらの例も2つのフィルタを使用しているため、それぞれ「2」とカウントされている(図9緑枠部分、図10緑枠部分)のが確認できる。

ただし、フィルタ内の設定の「AND」や「OR」(図9黒枠部分、図10黒枠部分)で複合条件を指定しても、使用したフィルタは2つ、3つとならずに、相変わらず1つとカウントされる。いずれにしても20個もフィルタ条件を指定するようなケースはまずないと思うので、数としては十分ではないだろうか。


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用語集
AdWords / Googleアナリティクス / クロール / コンバージョン / セグメント / セッション / 直帰率 / 訪問
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