Googleアナリティクス セグメント100選

コンテンツマーケティングが本当に役に立っているか分析する方法(第51回)

コンテンツマーケティングが短期的にどれぐらいの効果を上げているのか確認するためのセグメントをECサイトを題材に紹介する。

コンテンツマーケティングがECサイトでどれぐらい効果を上げているのか、確認したい。

価格.comなどを使えば簡単に価格比較ができるところから、eコマースの利用者側はいいものを安く手に入れやすい環境にあるが、逆に言えばECサイト側は、どのように差別化するかが重要な要素になっている。

広告を使えば、てっとり早く集客できるが、効果を出すには費用を掛け続ける必要がある。一方、手間ひまは掛かるが、いったん作れば長期的に効果が持続すると言われ、検索エンジン最適化にも有効な「コンテンツマーケティング」という方法もある。

「コンテンツマーケティング」とは、ざっくり言うと、顧客の関心事や悩みに応える読み物ページなどのコンテンツをサイト内で展開し、商品へのニーズが顕在化していない状態のユーザーを含めてひきつけ、サイトへの慣れや最終的にはコンバージョンに結びつけるものだ。

コンサルタントは、「今はコンテンツマーケティングにじっくり取り組むべきだ」などとお薦めしてくるに違いないが、本当にそういう中長期的な投資に見合う効果が期待できるのだろうか? 「中長期」とは言いつつも、ある程度、短期的な効果検証も必要だろう。

そこで今回は次のセグメントでそれを検証してみよう。

  • ECサイトで「読み物ページ」を閲覧したあとに、商品ページを見たユーザー

ユーザー行動シナリオとしては、今回は短期の効果を見るために、「読み物ページを見て、関連する商品に関心を持ち、最終的には関連商品の購入に至る」というものを想定している。上記セグメントを使って、果たしてユーザーがそのシナリオどおりに行動しているのかを確認してみよう。

コンテンツマーケティングの効果を検証するセグメントの作り方

標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。

まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。

図1:「+セグメント」をクリックする

「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。

図2:セグメント機能(グリッド表示)
注:一覧表示(図2青枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。

新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「シーケンス」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「シーケンス」を選択した画面だ。

図3:「シーケンス」分類のセグメントの画面

今回のセグメントの条件設定は、図3緑枠部分で行う。

今回作成したいセグメントは「読み物ページ閲覧のあとに商品ページを見たユーザー」だ。図4のように条件指定しよう。

図4:「読み物ページ閲覧のあとに商品ページを見たユーザー」セグメントの設定内容

今回はユーザーベースのセグメントなので、「フィルタ」は、

  • 「含める」「ユーザー」図4赤枠部分)

を選択する。その右の「シーケンスの開始」は、

  • 「すべての接点」図4青枠部分)

とする。その下の「ステップ1」は、

  • 「ページ」「先頭が一致」「/column/」図4緑枠部分)

とする。この「/column/」は、読み物コンテンツのURLに共通で含まれるディレクトリ名を指定しているものだ。このディレクトリ配下にあるページ群には、商品の1つ1つを細かく紹介するような商品詳細ページではないページ群、つまり一般的な読み物ページが格納されているものとする。

そのため、この指定は「そうした読み物ページを見た人を対象とする」という意味になる。

自社のサイトで読み物コンテンツが含まれているディレクトリを指定するように、適宜変更してほしい。

続いて、その下の「ステップを追加」図4黒枠部分)をクリックする。ここは「の次のステップは」「の直後のステップは」の2つの選択肢があるが、ここでは前後関係だけの緩い条件とするため、「の次のステップは」を選択(図4黒枠部分)する。

その下の「ステップ2」は、

  • 「ページ」「先頭が一致」「/product/」図5紫枠部分)

とする。「/product/」ディレクトリのページ群には商品紹介ページ群が格納されているものとする。つまり、「商品紹介ページを見たと人を対象とする」いう意味だ。

もちろん、この指定も、自社サイトにおける商品ページのURL構造にあわせて適宜調整してほしい。

これらの条件は、集計期間中の閲覧ページの読まれた順番の条件でセグメントすることになる。「同じセッション内で、読み物ページを先に読んで、その後商品ページを閲覧」しても該当するし、「あるセッションで読み物ページだけ読んで、その後の別のセッションで商品ページを閲覧」しても該当するセグメントということだ。

セグメントの名前を「読み物ページ→商品ページ」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。これで新規セグメント作成作業は終了だ。

該当セグメントの量的な重要度を、相対的に確認するには?

次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。まずは[ユーザー]>[サマリー]レポートに該当のセグメントを追加で掛けよう(図5赤枠部分)。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
  4. 今回作成したセグメントを「適用」する(図5赤枠部分)
図5:[ユーザー]>[サマリー]レポートに該当のセグメントを追加で掛けた画面

該当セグメントが相対的にどの程度のボリューム感があるのか(図5青枠部分、あるいは図5オレンジの折れ線(黒矢印の先))を確認し、まずは量的重要度を確認しておく。

さらに、それぞれの「ページ/セッション」や「平均セッション時間」「直帰率」「新規セッション率」の指標(図5緑枠部分)を見較べておこう。

読み物ページから商品ページにまで関心を寄せている人たちなので、「ページ/セッション」が多く、「平均セッション時間」は長く、「直帰率」は低く、「新規セッション率」は低いのが普通だが、実際のところそうなっているだろうか。

ユーザーがどのチャネルから来ているのか、確認するには?

次はこういった自然な形で商品情報まで辿り着くユーザーを多く連れてくるチャネルはどこか、確認しておこう。[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートに該当セグメントを掛けよう(図6赤枠部分)。該当セグメントの特徴がわかるように、「すべてのセッション」セグメントより先に該当セグメントを掛けるのがよい。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
  3. メニューが開くので、[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]を順にクリックする
  4. 今回作成したセグメントを「適用」する(図6赤枠部分)
  5. 「すべてのセッション」セグメントを「適用」する
図6:[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートに該当のセグメントを追加で掛けた画面

上記のセグメントの順番に掛ければ、該当セグメントの割合の高い順に並んでいるので、上位の「参照元/メディア」で全体と比較して相対的に高い割合(図6青枠部分)になっている「参照元/メディア」がないかを確認しよう。

図6の例では、数値のほとんどがマスクされているため判読できないだろうが、第1位がヤフー自然検索(図6緑枠部分)からの流入で全体の割合よりも高いという、ありがちな(想定どおりの)結果になっていた。

しかもコンバージョン指標で「eコマース」を選択(図6紫枠部分)して、eコマースのコンバージョン率を確認してみると、該当セグメントを掛けた方のコンバージョン率が高い図6黒枠部分)という、良い結果になっていた。この場合、思惑どおり読み物コンテンツが成果にも結びついていることがわかった。

該当するユーザーの来訪している割合が高いランディングページを確認するには?

次に[行動]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートに該当セグメントを掛けよう(図7赤枠部分)。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サイト コンテンツ][ランディング ページ]を順にクリックする
  4. 今回作成したセグメントを「適用」する(図7赤枠部分)
  5. 「すべてのセッション」セグメントを「適用」する
図7:[行動]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートに該当のセグメントを追加で掛けた

扱い商品が多いサイトだと、ランディング ページ(閲覧開始ページ)の種類も多くなり、あまり特徴は出ないかもしれないが、該当セグメントで割合の高い(図7青枠部分)のランディング ページ(図7緑枠部分)はないだろうか。

また該当セグメントの方で、eコマースのコンバージョン率(図7黒枠部分)が相対的に高い、つまり成果に結びついているランディング ページに特徴はないだろうか。

該当セグメントで売れている商品に何か特徴がないか、分析するには?

最後は[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポート該当セグメントを掛けよう(図8赤枠部分)。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
  3. メニューが開くので、[eコマース][商品の販売状況]を順にクリックする
  4. 今回作成したセグメントを「適用」する(図8赤枠部分)
  5. 「すべてのセッション」セグメントを「適用」する
図8:[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポートに該当のセグメントを追加で掛けた

扱い商品が多いサイトなら、プライマリ ディメンションは「商品カテゴリ」(図8青枠部分)を選択して、まずはざっくり見るなどの工夫をしてほしい。

このレポートでも基本的な見方は今までと同じだ。該当セグメントで割合の高い、つまり売れている商品に特徴が出ているのかといった点になる。

もちろん季節性もあるだろうし、読み物ページに関係のある商品という直接効果があったのか、あるいは直接的な関係はなく間接的な効果なのかといったところが確認するポイントになるだろう。

読み物とECサイトを別のサイトにしている場合の設定方法

なお今回の例は、サイト内におけるコンテンツと商品購入の関係だったが、サイトを「読み物サイト」と「ECサイト」の2つに分割しているようなケースであれば、

  • 「外部の自社の読み物サイト(blog.example.jp)」→ECサイトの「ランディング ページ」→「商品ページ」→「コンバージョン」

といった流れを想定したうえでセグメントを作成し、データを見てみよう。

図9:「自社の読み物サイト閲覧のあとにECサイトの商品ページを見たユーザー」セグメントの設定内容

たとえば、図9ではステップ1を特定のページ閲覧ではなく、「外部の自社の読み物サイトからの流入」という条件(図9赤枠部分)に変更してみたものだ。

サイトの状況によって、いろいろなパターンが想定されると思うので、各自自社サイトに適したセグメントになるようにカスタマイズして、試してみてほしい。


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Googleアナリティクス / アクセス解析 / グローバルナビゲーション / コンバージョン / コンバージョン率 / セグメント / セッション / ディレクトリ / 検索エンジン / 直帰率 / 自然検索
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